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鈴木みそ, ナナのリテラシー (2)

ナナのリテラシーの続編。今回のテーマはお得意のゲーム業界。 いわゆる課金ゲームの問題をゲーム会社の視点で取り上げ、ここまで身も蓋もない分析ができるのはさすが鈴木みそと思わせる。
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メアリアン・ウルフ(著), 小松淳子(訳), プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?

言語学と脳科学の見事な融合。書を読むということが脳にどの様な影響を与えるのかという大きな問題への解を見事に示してくれる。 普段何気なく行っている読書という行為が、非常に複雑なプロセスの集合体であることに気付かせてくれる。つい読書を会得した子どもの頃に思いを馳せてしまった。
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広尾晃, プロ野球なんでもランキング 「記録」と「数字」で野球を読み解く

野球の記録で話したいの広尾晃によるセイバーメトリクス本。 この本ならではの新しい指標は特になし。TBA (True Batting Average) などの補正により、異なる時代の記録を比較しようという試みが中心。後半の選手の体格などのプロフィール情報の分析は新味があるが、掘り下げがやや浅いか。
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作家の猫

目の付け所が見事な企画本。 明治期以降の作家が中心で、写真も豊富なフルカラー。
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鈴木みそ, マスゴミ

Kindle限定のマンガ。タイトルからは社会派マンガを想像していたが、思ったよりもフィクション色が強い娯楽作品だった。エンターテイメントと割り切ってみれば上々。 後半には表題作以外の短編も収録。婚活クエストあたりは往年のあんたっちゃぶるを思わせるノリで嬉しくなる。
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小野一光, 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相

尼崎事件のルポタージュ。出遅れ組ながら、地道に周辺人物や地元民との関係を築く取材により独自の視点を得ている。ある程度事件のあらましを理解している読者を対象としており、当時のニュースをあまり追っていなかった場合は事前に概要を予習しておく必要があるだろう。 事件当時に話題になった通り、関係者の相関図の複雑さに滅入ってくる。本書も丁寧な説明を試みているのだが、それでも一読して理解するのは厳しい。
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フェイス・ダルージオ(著), みつぢまちこ(訳), 地球の食卓 世界24か国の家族のごはん. ピーター・メンツェル(著)

世界各国の家族を訪ね、1週間分の食料を見せてもらう試み。経済的にも気候的にも文化的にも幅広く選択されている。 大判を活かした美麗な写真の数々はまさに眼福。個人的な好みもあるが、中国やグリーンランドなど、伝統的な食生活に近代化の波が押し寄せている様子が堪らない。 レイアウトが今ひとつなのが残念。文章の流し込みがまずく、一連の文章が生き別れになっている箇所が散見される。
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アキリ, ストレッチ (1)

やわらかスピリッツの連載が単行本化。 無理にストレッチを入れなくても、と思わないでもないが、日常系マンガとしては安定して良い出来。
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ジョン・ブロックマン(著), 高橋健次(訳), 2000年間で最大の発明は何か

2000年のNHKの正月特番で取り上げられて話題になった本を今更ながら。 回答者は各界の専門家達。本書中でジョン・C・ドゥボラックが指摘している通り、各自の専門分野に引っ張られた回答が多いように感じる。また、これも本書中でヘンドリック・ハーツバーグが指摘していることだが、2000年間というよりは過去数百年の最近のものに偏っているようにも感じる。これらをきちんと統制できていなかったことはやや残念だが、その欠点を差し引いても読み物としては十分に楽しめる。
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ブライアン・カプラン(著), 奥井克美(監訳), 長峯純一(監訳), 選挙の経済学

選挙そのものを経済学で読み解こうというよりは、投票者の持っているバイアスの話題が主。原題の "The Myth of the Rational Voter" の方が内容を的確に表している。 政治に関する知識の有無がバイアスを生むという主張は実に説得力がある。米国の経済意識調査 (SAEE)を中心としたエビデンスも十分。 後半の合理的無知や原理主義者間の対立に関する議論はやや観念的であり、科学的な調査結果を求める向きにはやや退屈かもしれない。