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清永賢二, 清永奈穂, 犯罪者はどこに目をつけているか

元警視庁犯罪予防研究室長の肩書きを持つ著者による犯罪予防論。何と言っても見どころは経験豊富な犯罪者による解説。彼らがどのような視点でターゲットを選定し、計画を立てるのか、また何を嫌うのかは非常に興味深い。
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佐藤竜一, エンジニアのためのWord再入門講座 美しくメンテナンス性の高い開発ドキュメントの作り方

きちんと構造化された大規模文書を作成するための指南本。Wordの入門書は数あれど、スタイルやフィールドを使いこなすための本は珍しい。チームでドキュメントを管理するための方策が示されているのも良い。例示されているデザインがいかにもエンジニアが作りましたという漢らしいものなのはご愛嬌。
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斎藤駿, なぜ通販で買うのですか

ルームランナーや通販生活を世に送り出してきた著者による通販論。当事者目線でカタログ通販の発展の歴史を追った本は貴重。ややロジックの後付け感があったり、小売の視点に偏りすぎているきらいはあるが、当事者の語りというのはそんな欠点を補って余りある迫力がある。文体の妙な軽さと過去の失敗を反省しているようでしていない様子は好き嫌いが分かれるところだろうか。
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深田洋介(編), ファミコンの思い出

思い出のファミコンの投稿内容を書籍化したもの。ゲームの内容というよりも周辺エピソードが中心。当時は子供も大人もゲームとの付き合い方が良くわからなかったことがうかがえる。ファミコン最初期の直撃を食らった世代ならば共感できる内容が多いはず。
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浅生ハルミン, 私は猫ストーカー

外を歩いている猫をストーキングしてみましたというエッセイ集。イラストは素敵だし猫への愛情もあふれているのだが、全体的に淡白でボリュームも軽すぎる。あまり本格的な猫の生態研究などを期待せずに雰囲気を楽しむための本。
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ジョージ・ソーンダーズ(著), 岸本佐知子(訳), 短くて恐ろしいフィルの時代

奇妙な童話風の物語として始まるが、その裏はどろどろしたものが詰まっている。普通の人間がちょっとしたきっかけで簡単に独裁者となってしまう様子が見事に描かれている。内容も良いが、翻訳も装丁も水準以上。
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いけだたかし, 34歳無職さん (2)

前巻の延長の日常マンガのつもりで読み始めたら、意外な背景が続々と。とはいえ大筋ではやはり何事もない日々が中心なので、安心してゆるりと楽しめる。
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野口悠紀雄, 経済危機のルーツ モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか

1970年代以降の世界経済史。まさにその時代を生きてきた著者の生の感覚や体験談が興味深い。歴史の延長として見た未来に向け日本がなすべきこととして、衰退産業への支援の中止、資本や人的資源のグローバリゼーション、専門教育への投資が挙げられている。いずれも目新しい提言ではないが、歴史を振り返ればそれらがまさに正論であることがよく分かる。
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長野慶太, 英語は恥ずかしいほどゆっくり話しなさい!

非常に実用的な英語テクニック本。著者が苦労して身につけたであろう有用な技術が惜しげもなく公開されている。ゆっくり話すことを推奨する理由は、自身の思考速度に合わせて話すため。単にゆっくり話すだけでは会話に置いていかれてしまうのだが、きちんとフックをかけて自分の話す機会を確保するための技術も併せて教えてくれるなど至れり尽くせり。
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ジョージ・S・クレイソン(著), 楡井浩一(訳), バビロンの大金持ち The Richest Man in Babylon

メソポタミアの古代都市バビロンを舞台にした寓話集。あくまでも寓話形式の成功本であり歴史書ではないので、時代考証は色々と怪しい。成功本としてのメッセージは非常にシンプルで、勤労、倹約、貯蓄、利殖、慎重。寓話として見ると出来は良く、さらりと読める一冊。