book

book

川上和人, 鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

鳥類学者 無謀にも恐竜を語るに続いてもう一冊。こちらはもう少しエッセイ寄りだが、相変わらず軽快な文章で読ませてくれる。なかなか知ることができない絶海の無人島の調査の実態は実に興味深い。自身の英語力のなさをネタにする正直さも好感が持てる。
comic

しりあがり寿, ジャカランダ

マンガというよりは前衛芸術と言った方が適切かもしれない。作品の意図もテーマもわからないまま、なぜか惹き込まれてしまう。しりあがり寿なのでオチへの壮大な前フリかとも思ったが、最後までギャグなしのままで肩透かしを食う。
book

更科功, 残酷な進化論 なぜ私たちは「不完全」なのか

分子古生物学者による啓蒙書。生物学者には常識なのかもしれないが、門外漢にはなるほどと思わせる小ネタが多数。あまり動かない生物は円形に近かったり左右非対称だったりするが、活発に動き回る動物はたいてい左右対称の "左右相称動物"。ただし動くときに関係ない体内はあまり左右対称になっていない生殖年齢を過ぎてもう子供を作らない個体に何が起きようが、自然淘汰は一切関知しない脳が大きい生物は空腹に弱い。ヒトの脳は体重の2%しかないが、エネルギーの20-25%も使う長い動物の歴史の中で、飛翔...
comic

池波正太郎(原作), 山田芳裕(漫画), 仕掛暮らし

へうげものの流れで時代モノ。迫力ある見開きこそないものの山田芳裕らしさがそこかしこからにじみ出ているのが良い。
book

スクウェア・エニックス(編集), 堀井雄二(原著), ドラゴンクエスト30thアニバーサリー ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ!

ファミコン時代から最新作まで幅広くドラクエの名言を抑えた企画本。内容はやや薄めで、堀井雄二もいくつかの項目にヒトコトを入れる程度。
comic

吉本浩二, 定額制夫のこづかい万歳 月額2万千円の金欠ライフ (1)

一部ではディストピア漫画などと呼ばれているようだが、読んでみるとその意味がよく分かる。著者自身はおそらくこづかい制の悲哀をユーモアたっぷりに描いている以上の意図はないのだろうが、定額で増える未来が見えないこづかい、即物的な快楽に偏った消費、異常にポジティブな登場人物たち、といった要素が重なるとやはりディストピアという言葉が浮かんでしまう。
book

ジョシュア・ガンズ(著), 松田和也(訳), 子育ての経済学

経済学者の視点から見た子育て本。子育ては子供との交渉ごとであり、子供は手強い取引相手とみなすとすべてがしっくりと来る。報酬に関して明確かつ客観的なルールを決めるのはどの親でも一度は試みることだろうが、子供たちはそんなルールに対して容易にルールのすきを突いてくる。トイレの成功にチョコレートの報酬を設定すれば、子供は一度のトイレで全部出しきらずに何度もチョコレートをせしめる戦略を覚えるのだ。
book

高橋名人, 高橋名人のゲーム35年史

高橋名人の自伝とゲーム史。名人は1959年生まれで社会人になりたての頃にマイコンが出始めた世代のため、ちょうど自伝とゲーム史が重なっている。やはり面白いのは名人の裏話の数々。特に人気絶頂期のキャラバンはかなりギリギリの中で実現していたことがよく分かる。また、PCエンジンの誕生とともに「ファミコンの高橋名人」が一旦姿を消し、「ハドソンの高橋名人」としての活動が増えていく様子も、高橋名人のビジネスマン姿が垣間見えて興味深い。
book

小島拓(著), 弁護士法人畑中鐵丸法律事務所(法律監修), 融資地獄 「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策

かぼちゃの馬車事件を題材として、サラリーマン大家の実態や融資地獄に陥った場合の対処法などを解説している。根底にあるのは、本来は先祖代々の地主や資産家が行ってきた不動産投資に、知識も資産も銀行との取引実績もないサラリーマンが参入するという歪み。これには、日本銀行の方針による金融緩和を受けて生まれたサラリーマン大家向けの融資が大きく関係している。こうして、多くのサラリーマン大家が採算の取れない物件を掴まされ、融資地獄に陥っている。後半の融資地獄に陥った場合の対処法も良い。「借りた...
book

お知らせ, 世界最強麻雀AI Suphxの衝撃

天鳳10段を達成したSuphxの解説書。外部のプレイヤー (第14代四麻天鳳位) による牌譜の解説のみで、開発者の手による解説はなし。Suphxの打ち筋で特徴的なのは、将来の押し引きを想定した手牌のスリム化。浮き牌の安全度を常に意識した見切りや早めの生牌字牌の処理などは、今後の打ち筋の標準になっていく可能性が高いと感じる。