book

book

内藤忍, 内藤忍の資産設計塾 あなたの人生目標をかなえる新・資産三分法

個別の商品選びよりも、どのタイプの金融商品に資産を配分するかの方が遙かに重要という趣旨には強く同意。金融商品の解説は、株、債券、投資信託(ETF)、不動産(REIT)、外為と、一通り押さえられている。それぞれの解説も中立を意識しているようで、例えばインデックス投資とアクティブ投資の双方を並列に扱っており、優劣については明示的には述べていない。また、プランニングの例が10万円コースからのせられているのも、これから資産運用を考えようという人には親切 (実際には10万円では効率的な...
book

鯖田豊之, 肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見

日本と欧米諸国の食生活パターンの違いを元に、宗教や身分制度、結婚観、果ては社会意識の違いまでを解明する。少々コジツケにみえる論旨もあるが (本書の性質上、食生活以外のところをバッサリと切り捨てているのでやむをえないが) 、自分が触れてきた欧米諸国の人々を思い出してみても非常に共感を覚えるところが多い。40年前の本なのでさすがにデータが古くなっているところもあるが、論旨自体は今でも古さを感じない。
book

中村敏雄, スポーツルール学への序章

スポーツのルールにはなぜこのようなルールがあるのかと思うものが多い。なぜ野球のルールにだけ「勝つことを目的とする」とわざわざ明記してあるのか、なぜサッカーは手を使用してはいけないのか、なぜ野球やクリケットではプレイヤーからのアピールがないと判定が行われないケースがあるのか。それらのルールが生まれた過程は、生まれたときにはあまりにも自明であったがために、殆ど記録には残っていない。そんなルールの変遷を、僅かな情報を元に推測していく本書は、推理小説の様でもある。
book

藤原明, 日本の偽書

上記、竹内文献、東日流外三郡誌、秀真伝といった有名な偽書がどの様なプロセスで人々を魅了するに至ったのか。と学会の様におもしろおかしく紹介するわけでもなく、また少数の有名偽書を深く掘り下げる形式なので、正直言って骨太すぎるところもある。しかしながら、捏造が行われるプロセスとして "言説のキャッチボール" を重視しているのは興味深い。これは、捏造者が他の専門家 (捏造に携わっている自覚なし) との対話で得られた情報を取り込み、出土品を "創造" するということ。類例としては、(偽...
book

多賀敏行, 「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった

文藝春秋やふらんすに掲載された原稿に書き下ろしを加えた、誤訳や誤解に関するエピソード集。表題にもなっている、日本人批判とされる言葉の誤解がおもしろい。ウサギ小屋、日本人は12歳、エコノミック・アニマル、これらの言葉は日本人批判として知られているが、本来は否定的な意味を持っていなかった。これらの言葉がなぜ誤解されるに至ったのか、ECの報告書、マッカーサーの上院答弁などの原典にあたり検証している。これらの誤解は、相手の言語に対する知識不足や発言背景への理解不足が元で生まれ、一人歩...
book

吉本佳生, 金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか

よく見かける金融広告を例にとり、その商品がなぜダメなのかを解説する。金融広告の例はさすがに実物ではないが、どれもどこかで見たことがあるようなもの。例えば、「年10%のオーストラリアドル定期」、「8年ものの年1%定期預金」、「ファンド・オブ・ファンズ」、「毎月分配型投資信託」など、どれもこれもよく見かける商品ばかり。この本を読んだからと言って、どの金融商品を買えば良いのかがわかるわけではないが、少なくとも絶対に買ってはいけない金融商品ははっきりとわかるようになる。投資に手を出す...
book

池田信夫, 電波利権

かつてNHK中の人だったこともあり、テレビ局の利権構造やNHKの内実などが非常によく描かれている。電波に関する本といえば技術に関するものが大半を占めている中、政治やビジネスの観点からまとめられた本書は評価できる。技術的な知識なしでも読めるように配慮されているので、この分野の入門書としてもお勧めできる。
book

藤原和博, 小川洋子, 世にも美しい数学入門

最近は工学的な仕事ばかりで数学からは離れてしまっている、そんな私に数学の美しさというものを思い出させてくれた。対話形式でサクサク読める上、特に数学の前提知識なしでも楽しめるのでお勧め。
book

板倉雄一郎, おりこうさん おばかさんのお金の使い方

いわゆるファイナンシャルリテラシー本をある程度読んでいる人にはあまり新しい発見はないかもしれないが、とりあえず一冊目に読むには良いかも。文章も平易でサクサク読める。例で出している数字がいくら例とはいえ現実離れしてないかとか、ポイント還元率が商品によって違う場合は必ずしもすぐにポイントを使うのが得とは限らないんじゃないかとか、ちょっとツッコミどころはあるけど。
book

藤原和博, 人生の教科書 家づくり

著者の藤原氏が自分の家を建てる家庭をまとめた本。読み物として十分におもしろい。この本はファミリー向けの家造りの話だが、来月に引越を控えた新居 (こちらは単身向けの部屋だが) の部屋づくりの参考になりそうなところもある。この本で提案されている、コーディネートの際に一つのシンボルから全てを決めていくという手法はおもしろそう。たとえば、気に入っている食器、絵画、その他何でも良いので一つのアイテムを選び出し、そのシンボルに合っているものだけを揃えていく方法。なるほど、これが実践できれ...