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久住昌之, ひとり家飲み通い呑み

久住昌之の食エッセイ。今回のテーマは家飲み。やや酔っ払い気味の文体で軽く読める。別の著作で既出のネタの再利用が見られるのは、最近の出版過多のせいか。
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新久千映, ワカコ酒 (1)

女性の一人呑みマンガ。目の付け所が良い。食の蘊蓄はあまり全面に出ておらず、共感して楽しむタイプ。マンガとしての構成もよく練られている。
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別冊宝島編集部(編), パクリ・盗作 スキャンダル事件史

良くも悪くも宝島らしい本。パクリをテーマにまとめられてはいるものの、様々な意見を持ったライターの寄稿の寄せ集めで質も玉石混交。ただし、出版当時までの主要な事件はひと通りカバーされているので、類書の少ないこの分野の概要を知るには悪くない。
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秋口ぎぐる, ひと夏の経験値

TRPGをテーマに据えたボーイ・ミーツ・ガール小説。TRPGから派生した作品は数あれど、TRPGのプレイヤーを扱った作品は珍しい。主なターゲットは現在30代中盤から40代中盤の男性で、1990年台前半頃の日本のTRPG全盛期に青春時代を過ごした層。登場するゲーム名など、懐かしさがこみ上げてくるものが多い。当時の草食系TRPGプレイヤーの心理をこれでもかと突いてくる描写は見事。人によっては痛いところを突かれて立ち直れないかもしれない。私は立ち直れなかった。タナケンのエピソードな...
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肉子, 100回お見合いしたヲタ女子の婚活記

実録お見合いエッセイマンガ。先に読んだ31歳BLマンガ家が婚活するとこうなると同様、こちらも腐女子。その腐女子の伝統として自虐ネタ満載。決してマンガが上手いわけではないが、ところどころキレのあるネタがあり飽きさせない。
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李在根(著), 河合聡(訳), 北朝鮮に拉致された男 30年間のわが体験記

漁船の操業中に北朝鮮警備艇に拿捕された韓国人の半生記。一度は朝鮮労働党に入党し北朝鮮社会に溶け込んだ人物だけあり、平壌を中心とした都市部の生活実態がリアルに描かれている。
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近藤武史, 榎木英介, わたしの病気は何ですか? 病理診断科への招待

あまり聞きなれない "病理診断" の実態を語った本。著者はどちらも現役の病理医。豊富な図版と実例で、実際の病理診断の流れがよく分かる。
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岩貞るみこ, 青い鳥文庫ができるまで

児童書の編集部をテーマにした小説。小説とはいえ非常に生々しい内容で、出版編集の実態を知りたい向きにもお勧めできる。出版業をテーマにした作品は他にもあるが、児童書ならではの心遣いを随所に織り込んでいるのが嬉しい。子どもたちの懐事情を気にかけたり、子どもたちの読むものに誤りは許されないと校正に力を注いだりといった姿は素直に共感できる。(判型は大きく異なるものの) 青い鳥文庫の装丁を真似ているあたりも心憎い。
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鬼頭莫宏, のりりん (5)

自転車の組立からツーリングまで、本格的に自転車入門マンガになってきた。自転車未経験者が楽しめているのかやや心配になる。ラブコメ要素は申し訳程度。
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星新一, つぎはぎプラネット

没後16年目の新刊。過去の単行本未収録作品をまとめたもの。出典は児童誌や企業のPR誌など様々で、比較的初期の作品が多い。テーマも品質も大きくバラつきがある。星新一の作品とも思えないようなものも混ざっているので、あまり期待し過ぎると裏切られるかもしれない。コレクターズアイテムとしては重要な一冊。