review

book

丸山学, 先祖を千年、遡る 名字・戸籍・墓・家紋でわかるあなたのルーツ

静かなブームとなっている家系図作成の入門書。新書ということもあってほんのさわりだけだが、読み物としてはなかなか面白い。各種史料や現地状況の調べ方など、調査を疑似体験しているような気分になってくる。現代の戸籍調査の具体的な方法などがもう少し細かく補足されているとなお親切だったか。
comic

石田敦子, 球場ラヴァーズ 私を野球につれてって (1)

前シリーズの世界観はそのままに主人公を変えて連載再開。相変わらず野球以外のネタを詰め込みすぎの感はあるが、それなしではただの球場エッセイコミックになりかねないので仕方がないところだろう。球場ネタとしては、ビールの売り子の視点が意外に新鮮。
book

岩谷誠治, 借金を返すと儲かるのか?

会計の入門書だが、非常に分かりやすく噛んで含めるように教えてくれる。類書に良くある "決算書だけ読めればいい" というスタンスではなく、一番の基礎となる簿記から逃げずに (しかも平易に) 解説している点は評価できる。
book

ジュリアン・バジーニ(著), 向井和美(訳), 100の思考実験 あなたはどこまで考えられるか

哲学の議論で用いられているものを中心に、思考実験を集めた本。帯には "これは「読む」本ではありません。「考える」本です。" とあるが、本数が多いのと各項の解説が淡白なため、やや読み飛ばし気味になってしまう。読み物としてみれば十分に面白い。
book

ナシーム・ニコラス・タレブ(著), 望月衛(訳), ブラック・スワンの箴言

やで名を上げたナシーム・ニコラス・タレブによる格言をまとめたもの。どことなく英国風な皮肉に満ちた物言いが心地よい。
book

杉山美奈子, 好かれるメール 嫌われるメール

メールのTIPS集だが、まだガラケー全盛の2010年発行だけあり、ガラケーメールの特有の内容が多い。ガラケーメールのマナーはローカルルールが多いが、それを独善的に決めているように見える点は気になる。一応はビジネスメールを対象としている様だが、妙に馴れ馴れしい表現が混ざっているのも気になる。それでも、考え方としては何とか頷ける点はある。また内容と直接関係はないが、右綴じで横書きは勘弁してほしい。視線が非常に不自然な流れとなる。
book

神戸幸夫, 転落 ホームレス100人の証言

東京周辺でのホームレス100人へインタビューをまとめたもの。基本的に裏をとらずにインタビュー内容をそのまま信じている (と思われる) 内容なので、少し割り引いて読む必要があるかもしれない。それでも事例集として非常に興味深い。購入したのは初版だが、校正不足が目立つのが残念。
book

荒井一博, 学歴社会の法則 教育を経済学から見直す

まずは表題ともなっている学歴社会の "法則" 。人的資本論やシグナリング理論といった主要な学説に加え、両親の学歴と子供の学歴の関係などをデータに基づいて論じる。このあたりは著者の専門分野でもあり、納得できる内容。後半は教育にまつわる雑多な話題をいくつか。経済学の視点からのバウチャー制度批判やいじめ対策、学級規模の最適化などは文献もきちんとしており非常に興味深い提言となっている。一方、著者の思い入れが感じられる英語教育論は個人的な経験に偏りすぎているように見える。随筆として読む...
book

Robin Williams(著), 吉川典秀(訳), 米谷テツヤ(解説), ノンデザイナーズ・デザインブック フルカラー新装増補版

既にを発行当初の1990年代末頃に読んでいたが、改訂版で読み直し。大まかなストーリーは初版と変わらず、近接、反復、整列、コントラストの4原則の繰り返し。本職のデザイナーからすると物足りない内容だろうが、素人脱出には十分効果的。フルカラー化に伴い、色彩の基礎が追加されたのも良い。
book

石井光太, ニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死

在日外国人にスポットを当てたルポタージュ。著者が過去に海外の貧困をテーマに掲げたノンフィクションを書いていたのと関係するのかもしれないが、在日外国人一般ではなく貧困層を選択的に取材している様に感じる。それらを週刊誌的な記事と割りきって眺めるのには良い。