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山本皓一, 日本人が行けない「日本領土」 北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記

日本の離島を扱っているが、興味本位での上陸ではなく領土問題に関する政治的なメッセージを強く含む本。2007年の著作だが、今の情勢から見てもあまり古くなっていない。第1次安倍内閣時代の安倍総理を含む、領土問題に関連の深い政治家との対談を多数含んでいるのも特徴。
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明石散人, 謎ジパング

日本史ミステリ謎解き本。ネタは邪馬台国から桃太郎まで幅広いが、"失われた大四元" として麻雀も取り上げられている。馬吊から看虎、三章、扯五章を経て紙牌に至る麻雀成立の定説から見ると与太話に過ぎないが (巻末の参考文献を見ても、著者が麻雀の歴史を本格的に調べたとは考えにくい) 、読み物としては面白い。
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マックス・ギュンター(著), 林康史(監訳), 石川由美子(訳), マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール

面倒な言葉遊びをせずに "投機" と言い切って推奨してしまうところが潔いマネー本。かなり精神論寄りではあるが、投機に最も必要な自己統制を学ぶには良い本。一見すると現代ポートフォリオ理論と真っ向から対立する様な記述も多いが、この著書の立ち位置からすると理論の及ばない範囲の事柄に対する心構えということになるだろう。
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津野海太郎, 電子本をバカにするなかれ 書物史の第三の革命

電子書籍をテーマに扱った本だが、電子書籍を礼賛するでもなく難癖を付けて批判するでもなく、広い意味での書物史の中での位置付けを探ろうとする姿勢が素晴らしい。"季刊・本とコンピュータ" 誌を中心に掲載された記事を掻き集めていることもあり、後半は電子書籍から外れた話が多いのがやや残念か。
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海東鷹也, 怪しい世界の歩き方

三才ブックスか鉄人社の本かと思って読み始めたら彩図社だった。海外旅行エッセイマンガなのだが、異常なまでに行動力のある格闘家という時点で面白くないわけがない。トラブルを招きやすい体質らしいのも良い。
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橘玲, 日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル

橘玲の新刊。今作のテーマは、今後実施される大規模な金融緩和の結果がどちらに転んでも対応できる資産防衛法。この種の破綻本にありがちな「未来はこうなる (だからこれを買え) 」という断言はなく、様々なシナリオを想定した上で適切な金融商品を考えるスタイル。最も多くのページを割いている破綻シナリオの投資先には、国債ベアファンドや物価連動国債ファンドなど一般に余り馴染みのないものも含まれているが、理論的に考えると合理的な選択肢の一つとなる。
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山岸凉子, ブルー・ロージス 自選作品集

少女漫画の中になぜか混ざっている "パエトーン" 。チェルノブイリ原子力発電所事故をきっかけに描かれた原発批判マンガで、当時の原発批判派の考えや空気を知るのに役立つ。
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日本プロ麻雀連盟, イメージする麻雀観

出されるお題に連盟のプロ5名が個別に回答するスタイル。単純な何切るよりはもう少し広い麻雀観を問うような出題が多いのは良い。残念なのは回答者がオカルト派ばかりの点。連盟でそれなりに名前が売れているプロの中から選択するという縛りがあるので仕方がないのだろうが、何とか一人くらいはデジタル派を入れられなかったものかと思う。オカルト派の話も1人や2人ならば笑って読めるが、さすがに5人も続くとキツい。
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倉部史記, 文学部がなくなる日 誰も書かなかった大学の「いま」

タイトルはやや営業用で、実際には大学の生き残りのための方策などに重点が置かれている。著者は大学職員や予備校の総合研究所を経験してきたこともあり、大学側と受験生側の両方の視点を備えているのが良い。大学側の視点では、入試と入学後の教育が連携していない大学が凋落すると説く。悪い評判も多いAO入試も、入学後の教育方針に沿った学生を集めるための手段として活用するのならば効果的となるだろう。受験生視点では高校生がどのように進路選択するべきかが語られる。単純な偏差値と学部名だけで選択するの...
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小関順二(監修), プロ野球スカウティングレポート2013

フォーマットは昨年度版から大きな変更はなし。打者の球場別成績が消えたのと、ピッチングフォーム・バッティングフォームの寸評が加わった程度。データ提供も昨年度と同様にデータスタジアム。そのお陰で、BISの契約に伴うドタバタの影響とは無縁。選手の顔写真も無くなったまま。一部球団との関係は改善していないらしい。