book 北寺尾ゲンコツ堂, 「ゲテ食」大全 そこらの新緑やドングリに始まり、果ては犬猫まであらゆるものを食べてみたレポート。"ゲテ食" というタイトルが付いているが、それほど悪ふざけな内容ではない。むしろ、あらゆる生物は人間の食材として平等であるという強いポリシーが感じられ、哲学的ですらある。どの食材も入手方法から調理方法まで事細かに書かれているので実食してみたい向きにも。もちろん、興味本位だけでも十分に楽しめる。おすすめ。 2010-03-23 book
book 前田朗, 軍隊のない国家 27の国々と人びと 軍隊を持たない国という目の付け所は面白い。各国の基礎的な情報はよくまとまっており、カタログとしては悪くない。しかしながら、なぜそれらの国が軍隊を持たずにやっていけるのかという基本的な問題にほとんど触れられていないのが残念。各国の紹介でそれぞれの憲法に紙幅を割いているのを見ると、また著者のバックグラウンドからすると、平和憲法があるので軍隊で守る必要がないと本気で信じていそうな気もするが。このあたりはリアリズムと防衛を学ぶの記事がよくまとまっているので、併読すると良いだろう。また... 2010-03-22 book
comic 谷口ジロー, 遥かな町へ 谷口作品の中では少数派の原作なしのオリジナル作品。ストーリーはいわゆる使い古されたタイムスリップもので、目新しさはない。だが、昭和の空気を切り取った美しい絵にはつい引き込まれてしまう魅力がある。 2010-03-19 comic
book 奥村佳史, 法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる 一般人向けの法人税本。法理論などには触れずに、実務視点なので素人にもわかりやすい。読み終わって読後感として強く残るのは、税知識を得たお得感よりも、異常なまでの面倒臭さと税務署の裁量の大きさ (本書は税理士側の言い分なので、税務署側には別の言い分があるのだろうけれど) 。この種の仕事はとても自分には務まりそうにない。 2010-03-18 book
comic あさりよしとお, アステロイド・マイナーズ (1) あさりよしとおの宇宙マンガ。まんがサイエンスで貯め込んだ知識をここぞとばかりに大放出。連作形式だが、どれも当たりばかり。宇宙開発にかかる膨大なコストという裏テーマが感じられ、単に荒唐無稽なSFに終わっていないあたりがさすが。おすすめ。 2010-03-16 comic
book 杉山隆男, 兵士に告ぐ 陸, 空, 海に続いて選ばれたテーマは、島嶼防衛を任務とする西部方面普通科連隊。15年に渡って自衛隊を追いかけている著者だけあって、その人脈を活用した取材はさすが。しかしながら、本作ではそれが逆に多くのことを詰め込みすぎ、ポイントをぼやけさせてしまっている原因とも思える。 2010-03-13 book
book サイモン・シン(著), エツァート・エルンスト(著), 青木薫(訳), 代替医療のトリック 数学、暗号、宇宙に続いて、サイモン・シンが新たに選んだテーマは代替医療。鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法といった代替医療を取り上げているが、それらを頭からオカルトと決めつけるのではなく、きちんとした臨床試験の結果をまとめた系統的レビューによって評価していこうという姿勢には好感が持てる。ただし、タイトルがネタバレになっているのだけは少し残念 (英語版の原題は "Trick or Treatment?" というもう少し中立なものなので、これは日本語版だけの問題)... 2010-03-07 book
book 山本弘, ニセ科学を10倍楽しむ本 と学会会長によるオカルト批判本。タイトルとは裏腹に、普通のリテラシ本の様なオカルト批判に終始しており、楽しむ余裕が感じられないのは少し残念。取り上げられているネタは、水からの伝言、ゲーム脳、買ってはいけない、血液型性格診断など有名どころ中心なので、普段からこの手の情報を追っている人には新味はないものと思われる。女子中学生を主人公に据える必要があるかは疑問ではあるが、これは山本弘の趣味だろう。 2010-03-06 book
book 高橋洋一, 竹内薫, 鳩山由紀夫の政治を科学する (帰ってきたバカヤロー経済学) 帰ってきたバカヤロー経済学という副題が付いているが、今回は政治のお話がメイン。前作では諸事情から名前を出せなかった高橋洋一先生も、今回は実名で登場。政権奪取後の民主党の動きを見ていると支離滅裂に見えるときがあるが、"支持層のための政治" という視点で見ると (それが日本の国益にかなうかは別として) 実に首尾一貫していることがよくわかる。おすすめ。 2010-03-04 book