review

book

山田昌弘, 結婚の社会学 未婚化・晩婚化はつづくのか

少し古い本だが、内容はまだ古くなっていない。結婚難の原因をハイパーガミーと経済の低成長化に求めるという議論は今読んでも新鮮。
book

花里孝幸, 自然はそんなにヤワじゃない 誤解だらけの生態系

本職の生物学者が書いた環境本。そこらの環境保護団体が自分の好む一部の生物だけを保護せよと叫ぶのとは一線を画し、より大きな視点からの生態系観を与えてくれる。そもそも理想的な自然環境とは何なのか、生物多様性を高めるということはどういうことなのか、生態系は誰のためにあるのかなど、今まで何となく刷り込まれてきた自然への見方が大きく揺さぶられるテーマが盛りだくさん。おすすめ。
book

内田百けん, 第二阿房列車

第一阿房列車の続編。今回もヒマラヤ山系をお供に列車の旅へ。旅につけて語られる、相変わらずのトボケた屁理屈の数々が、人生の深さを感じさせてくれるのが不思議でならない。
book

冷泉彰彦, 「関係の空気」 「場の空気」

最近とみに語られることの多い "空気" というものに真っ向から挑んだ一冊。特に "空気" と権力の関係という視点からの分析には納得できる部分が多い。
book

ジョージ・フリードマン(著), 櫻井祐子(訳), 100年予測 世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図

20年以上の長期スパンでの世界情勢を予測したもの。過去の歴史をそのタイムスケールで見てみると、未来が現在の空気とは大きく異なる方向に動くということには異論の余地がない。日本、トルコ、ポーランドが長期的には大きな力を持つという著者の予測はそこまで突飛なものとも思えないが、基本的にはSFだと思っていた方が良いだろう。一部、宇宙プラットフォームを活用した戦争のくだりなどはなどは、さすがにSFとしても筆が滑りすぎているように思う。
book

非日常研究会, 地球滅亡後の生き残り方

いざ地球滅亡というときの生き残り方を、滅亡の原因別にまとめてある。この手の本は隅々まで本気で追い込んでこそ面白いものだと思うが、所々に著者が正気に返ってしまっているところが見えると興が醒める。最後まできちんと騙して欲しかった。
book

おがいよしお, HITLER選挙戦略 現代選挙必勝のバイブル

いろいろあって絶版・回収となった本だが、内容はそこまでとんでもないものではない。からの引用が少々あるものの、選挙のための組織作り一般の内容がほとんど。
book

小関順二(監修), プロ野球スカウティングレポート 2010

昨年度版と全く同じフォーマット。解説は充実しているが、やはりデータにもう一工夫欲しい。一般に売られているデータ本の中では一番まともな本ではあるが、やはり競争がないと発展していかないのだろうか。
book

戸田智弘, 働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。

仕事に関する名言を集めた本。分野を問わず脈絡無く集めているような気もするが、これだけ幅広く当たっていれば一つくらいは心に響く言葉が見つかるだろう。さりげなく色川武大の言葉が何度も取り上げられるあたりが私と趣味が合う。
book

北寺尾ゲンコツ堂, 「ゲテ食」大全

そこらの新緑やドングリに始まり、果ては犬猫まであらゆるものを食べてみたレポート。"ゲテ食" というタイトルが付いているが、それほど悪ふざけな内容ではない。むしろ、あらゆる生物は人間の食材として平等であるという強いポリシーが感じられ、哲学的ですらある。どの食材も入手方法から調理方法まで事細かに書かれているので実食してみたい向きにも。もちろん、興味本位だけでも十分に楽しめる。おすすめ。