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竹中正治, ラーメン屋vs.マクドナルド エコノミストが読み解く日米の深層

エコノミストの書いた日米比較論。タイトルは少し狙いすぎな気もするが、内容はマトモ。 全体的に広く浅くの内容なのだが,やはり著者の専門である経済の話題が面白い。特に日米の投資行動比較の項における、"日本人は文化的にリスク回避志向だから" という良く語られる論に対する反論。文化的な背景を持ち出さなくとも、金融資産の分布格差で説明が可能というのは説得力がある。
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川井龍介, これでも終の住処を買いますか

日本の住宅環境にケチをつける本。 個別事例がほとんど脈絡なく挙げられているだけで、日本の住宅はこうあるべきという芯の通った主張が感じられないが、住宅の専門家ではない新聞出身のジャーナリストなので仕方がない。読み物としてはそこまで悪くない。
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富永直久, ワープロONE DAY 1日あれば10本指で打てる

古本で見つけて、懐かしくなって購入。 中学生時代に (当時はお金もなかったので) 図書館で借りて授業中に練習をしていたら、本当に一日でタッチタイプができるようになったことを思い出す。 教授法そのものに加えて、やる気にさせてくれるサイドストーリーが地味に良い。"熱中没頭の1日は、3万日を凌駕する" のフレーズは今も忘れられない。
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河合雅雄(編), ふしぎの博物誌 動物・植物・地学の32話

いわゆる科学雑学本。小ネタが32本の構成なので電車のお供に。 一般向けの啓蒙書にも関わらず妙に狭くて深いネタもあるが、そこはさすがに専門家が執筆しているだけのことはある。
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服部文祥, サバイバル! 人はズルなしで生きられるのか

食料や装備をできるだけ持たず、長期に渡り道なき道を歩く "サバイバル登山" の提唱。 そのコンセプトには強い魅力を感じるが、都合によりルールを安易に曲げてしまっている箇所が見られるのが残念。この手の挑戦は原理主義的なまでにルールを守るこだわりが重要ではないかと思う。
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上原善広, 被差別の食卓

自身も「むら」出身である著者が、世界の被差別民のソウルフードを訪ねて旅する。 この難しいテーマを扱いながらも読後感が悪くないのは著者の筆力のおかげか。
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岩崎元郎, 登山不適格者

運動靴で富士登山、携帯電話で救助隊要請といった問題のある方々に対する愚痴の様なもの。 一部の特殊ケースを一般化し過ぎているところや、自身の登山観に拘りすぎているところが見受けられるが、正論といえるところも多い。
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水野俊哉, 知っているようで知らない 法則のトリセツ

仕事や職場で役立つ様々な法則をまとめた本。 様々な法則を一気読みでき、読み物としても満足できる。文献も充実しているので、インデックス本としてもどうぞ。
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城山三郎, 価格破壊

中内功をモデルにした (とされる) 経済小説。 初出は昭和44年の週刊読売の連載と少し前の作品だが、そのエッセンスは古くなっていない。少々後味の悪い箇所があるものの、エンターテイメントとしても上々。
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郷田マモラ, サマヨイザクラ 裁判員制度の光と闇 (上) (下)

タイムリーな裁判員マンガ。 欲張って色々と詰め込みすぎている感はあるが、裁判員制度の闇という主題がしっかりしているため、一気に読めてしまう。