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橋本進吉, 古代国語の音韻に就いて 他2篇

既に絶版なので古書で入手。表題作の "古代国語の音韻に就いて" は、万葉仮名の上代特殊仮名遣の研究成果をまとめたもの。講演録を元にしているため、部外者にも読みやすい。上代特殊仮名遣とは、現代五十音の一部において、古代国語で甲類と乙類の万葉仮名の書き分けが見られる現象のこと。具体的には、エ、キ、ケ、コ、ソ、ト、ノ、ヒ、へ、ミ、メ、モ、ヨ、ロの14音について、甲乙の万葉仮名の書き分けが見られる。この書き分けの理由は音韻 (発音) が甲乙の二種類に分かれていたため、とされる。
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逆転裁判4

シナリオに強引なところはあるが、それはむしろこの作品の味というもの。テキストの質が良いので、細かな矛盾もあまり気にさせない。基本的に一本道ゲームなので繰り返し遊べるものではないが、プレイ時間は十分に楽しませてくれる。おすすめ。
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江畑謙介, 安全保障とは何か 脱・幻想の危機管理論

まずは冷戦後の大きな紛争要因である資源問題や通商ルート問題を中心とした、現代の安全保障の構造の解説。冷戦中の東西ブロック構造から冷戦後の共同体を基盤とした構造への変化がよくわかる。さらに、アジア・太平洋の安全保障を考える上で重要なプレイヤーとなる米国、中国、ロシアのそれぞれの思惑と戦力が分析されている。不明な点や比較が困難なパラメータはきちんとことわっているため、トンデモ率が低く抑えられているのは評価できる。
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青井夏海, スタジアム 虹の事件簿

東海レインボーズのオーナーにも関わらず野球素人な虹森多佳子を主人公とした安楽椅子探偵モノ。覚えたての野球を例え話に事件を解説するスタイル。野球部分は意外とまとも。端々に野球好きをうならせる様なネタも。例えば、フライ捕球後のリタッチが間に合わずに刺された場合、フォース扱いではなくタイムプレイになるところなどは野球好きの人間でも誤解している人が多そう。
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栄陽子, 留学で人生を棒に振る日本人 “英語コンプレックス”が生み出す悲劇

アメリカの大学を卒業したのに就職できない、そんな留学の間違いをまとめた本。これから留学を考えている人には参考になるであろう情報が多い。たとえばアメリカの大学のシステム。一口にアメリカの大学と言ってもリベラルアーツ・カレッジとコミュニティ・カレッジでは全く設立された背景や目的が異なり、当然のことながら教育内容も大きく異なる。また、あまり良心的とは言えない留学エージェントの現状も参考になる。こちらは、不安ならば著者の栄氏の経営する「栄陽子留学研究所」へ、というメッセージが少々透け...
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秋元大輔, Jリーグクラブをつくろう! 新規参入を目指すクラブを紹介

Jリーグ (J1, J2) への参入を目指すクラブの紹介。JFLのみならず、地域リーグレベルのチームも多数収録されている。1チームあたり4〜6ページなのそれほど深い紹介ではないが、クラブに問題点がある場合はきちんと指摘しているのが好印象。全体を通して、地域に密着していくことの重要性が強く伝わってくる。
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山本弘, アイの物語

7本のSF短編からなる作品だが、それぞれの短編を繋ぐインターミッションが素晴らしいデキ。1話目の "宇宙を僕の手の上に" を読み始めた頃は今ひとつな印象だったが、2話目からグングンと引き込まれた。特に6話目の "詩音が来た日" は間違いなくおすすめできる作品。泣いた。著者が自身のホームページで、ここに収めた物語はどれも泣ける話である。僕自身、自分で書いてて泣いたのだから、間違いない。と語っているだけのことはある。
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遠藤秀紀, 解剖男

また遠藤氏の著作を読む。これで3冊目。相変わらず知的好奇心にビンビンとくる本。おすすめ。
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英語が苦手な大人のDSトレーニング もっとえいご漬け

前作のえいご漬けが終わったのでその続編をはじめてみる。前作はひたすらディクテーションというノリで少し単調すぎるところがあったが、今作は飽きさせない工夫を感じる手書き文字の癖を登録できるのはありがたい。しかしその弊害か、認識速度と未登録時の認識率の (ほんのわずかな) 低下を感じるこれから始める人は前作ではなくこちらを強くお勧めする
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ロビン・ウィルソン(著), 茂木健一郎(訳), 四色問題

四色あればどんな地図でも隣り合う国々が違う色になるように塗り分けることができる、という四色問題が解かれるまでを追った数学ノンフィクション。手加減のない内容で片手間に読んでいると理解が難しいので、集中して一気に読む時間を確保することをお勧めする。