business

book

細谷功, 会社の老化は止められない 未来を開くための組織不可逆論

亜紀書房ZEROの連載が良かったので書籍の方も。 いわゆる組織論の本だが、不可逆性に焦点を絞った説明は読みやすく、人間の老化のアナロジーも頷ける部分が多い。
book

倉部史記, 文学部がなくなる日 誰も書かなかった大学の「いま」

タイトルはやや営業用で、実際には大学の生き残りのための方策などに重点が置かれている。 著者は大学職員や予備校の総合研究所を経験してきたこともあり、大学側と受験生側の両方の視点を備えているのが良い。大学側の視点では、入試と入学後の教育が連携していない大学が凋落すると説く。悪い評判も多いAO入試も、入学後の教育方針に沿った学生を集めるための手段として活用するのならば効果的となるだろう。受験生視点では高校生がどのように進路選択するべきかが語られる。単純な偏差値と学部名だけで選択する...
book

福島文二郎, 9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方

ディズニーランドの良いところだけを書いた精神論本。読者が一番知りたい、なぜディズニーランドではこれが実践できているのに他の多くの企業ではできていないのか、はまったく書かれていない。また、期待していたディズニーの裏話もほとんどなし。
book

金子哲雄, 「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ

見た目も内容も薄めの、今時の新書本。 半分程が持ち家と賃貸の比較、残り半分がビジネスの話題。持ち家と賃貸の比較は各所で行われていることもあり、あまり新味はない。後半のビジネスの話は小ネタの寄せ集め感はあるものの、読み物としては面白い。
book

小野博明, なぜゴルフ場は18ホールなのか ビジネスに使える、どうでもいい数字の話

一応数字をテーマにしているものの、実態はただの雑学蘊蓄本。 特に何かの役に立つ本ではないが、手軽に読める通勤のお供としては悪くない。
book

山口周, 外資系コンサルのスライド作成術 図解表現23のテクニック

これは、と思うところに付箋を付けながら読み進めていたら、読み終わる頃には付箋だらけになってしまった。決してボリュームのある本ではないが、非常に密度が高い。 スライド作成をテーマにしているが、小手先のテクニックに走ることなく、メッセージを伝えるための本質に正面から取り組んでいる。実例も豊富ですとんと腹落ちする。おすすめ。
book

村上福之, ソーシャルもうええねん

最近5年分のブログを選り抜きしたもので、文章量は少ないが中身は濃い。 自身の体験談や経験則が中心で、非常に地に足のついた内容。ヘタに高所からの目線を入れないところが実に良い。日本のネット界隈の裏話の面白さはもちろんのこと、ライフハック的なネタも質が高い。中でも、"nullなり適当な値をつっこんでコンパイルする勇気が必要" という話は素直に共感できる。 複数の人気連載を持っていただけあって、見事に読ませる文章。皮肉の効いた表現も良い。おすすめ。
book

川島博之, 「食料自給率」の罠 輸出が日本の農業を強くする

「食糧危機」をあおってはいけない以来の、世界的な食料余りのスタンスは全く変わらず。今作ではそれをさらに発展させ、日本の農業を産業して成り立たせるための方策を論じる。 端的に言ってカロリーベースの食料自給率を上げるということは、儲からない穀物の生産を無理に押し上げることであり、採算を取ることは難しい。無理に辻褄を合わせるのならば農地の大規模化を推し進めるしかないが、これはこれで政治的な理由により難しい。 となると、現実的に可能なのはオランダ型の農業となる。オランダは穀物自給率 ...
book

中田亨, 「事務ミス」をナメるな!

ヒューマンエラーの専門家による事務ミスの本。ヒューマンエラーの本というと生産現場に関するものが多く、事務処理に焦点を当てたものはやや珍しい。 理論とケーススタディの双方をきちんとカバーしており、実に理解しやすい。特にケーススタディの方は多くの企業で見られる様なケースを適切に抽出してあり、すとんと腹落ちする。おすすめ。
book

野口大, 労務管理における労働法上のグレーゾーンとその対応

労務トラブル本の世界では労働者側に立った本が主流だが、こちらは徹底して企業経営者側に立った本。 元々グレーゾーンが広い世界ではあるが、過去の判例から裁判所が重視する要素が抽出されておりわかりやすい。また、徹底して実務寄りの対処方法が示されている点も心強い。