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小野博明, なぜゴルフ場は18ホールなのか ビジネスに使える、どうでもいい数字の話

一応数字をテーマにしているものの、実態はただの雑学蘊蓄本。特に何かの役に立つ本ではないが、手軽に読める通勤のお供としては悪くない。
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山口周, 外資系コンサルのスライド作成術 図解表現23のテクニック

これは、と思うところに付箋を付けながら読み進めていたら、読み終わる頃には付箋だらけになってしまった。決してボリュームのある本ではないが、非常に密度が高い。スライド作成をテーマにしているが、小手先のテクニックに走ることなく、メッセージを伝えるための本質に正面から取り組んでいる。実例も豊富ですとんと腹落ちする。おすすめ。
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村上福之, ソーシャルもうええねん

最近5年分のブログを選り抜きしたもので、文章量は少ないが中身は濃い。自身の体験談や経験則が中心で、非常に地に足のついた内容。ヘタに高所からの目線を入れないところが実に良い。日本のネット界隈の裏話の面白さはもちろんのこと、ライフハック的なネタも質が高い。中でも、"nullなり適当な値をつっこんでコンパイルする勇気が必要" という話は素直に共感できる。複数の人気連載を持っていただけあって、見事に読ませる文章。皮肉の効いた表現も良い。おすすめ。
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川島博之, 「食料自給率」の罠 輸出が日本の農業を強くする

「食糧危機」をあおってはいけない以来の、世界的な食料余りのスタンスは全く変わらず。今作ではそれをさらに発展させ、日本の農業を産業して成り立たせるための方策を論じる。端的に言ってカロリーベースの食料自給率を上げるということは、儲からない穀物の生産を無理に押し上げることであり、採算を取ることは難しい。無理に辻褄を合わせるのならば農地の大規模化を推し進めるしかないが、これはこれで政治的な理由により難しい。となると、現実的に可能なのはオランダ型の農業となる。オランダは穀物自給率 (カ...
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中田亨, 「事務ミス」をナメるな!

ヒューマンエラーの専門家による事務ミスの本。ヒューマンエラーの本というと生産現場に関するものが多く、事務処理に焦点を当てたものはやや珍しい。理論とケーススタディの双方をきちんとカバーしており、実に理解しやすい。特にケーススタディの方は多くの企業で見られる様なケースを適切に抽出してあり、すとんと腹落ちする。おすすめ。
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野口大, 労務管理における労働法上のグレーゾーンとその対応

労務トラブル本の世界では労働者側に立った本が主流だが、こちらは徹底して企業経営者側に立った本。元々グレーゾーンが広い世界ではあるが、過去の判例から裁判所が重視する要素が抽出されておりわかりやすい。また、徹底して実務寄りの対処方法が示されている点も心強い。
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新雅史, 商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道

それなりに歴史があると思っていた商店街の大半が、実は第一次世界大戦後の離農者対策として政治的に作られたものであることは新たな発見であった。そこを出発点とすると、戦後の商店街の発展を経て、オイルショック後に急激に崩壊し圧力集団となっていく流れがすとんと腹落ちする。
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ダニエル・ジロディ(著), アンリ・ブイレ(著), 松岡智子(訳), 美術館とは何か ミュージアム&ミュゼオロジー

ミュゼオロジーの入門書であるが、事前知識なしで読める構成なので、素人でも楽しめる。美術館や博物館はただの見世物小屋ではなく、それらを中心とした街作りまで踏み込んで考えるべきものであることを認識させられる。美術館の中の空間作りにも詳しく、どのような意図で展示されているかを考えるための助けになる内容。また、図版の質も高く、眺めているだけでも楽しい一冊。
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佐藤義典, 新人OL、つぶれかけの会社をまかされる

ライトノベル仕立てのマーケティング入門書。いくらライトノベルとはいえストーリーはご都合主義が過ぎる気もするが、肝心のマーケティング部分はそれほどトンデモでもなくマトモな内容。数十分で気軽に読める本としては悪くない。
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安西洋之, 中林鉄太郎, 「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力

ローカリゼーションの重要性を説くビジネス書。前半はマルちゃん (東洋水産) 、キッコーマン、TOTOといった成功事例分析が中心。それぞれのエピソードは読み物としては面白いが、失敗事例との比較が不十分なので、説得力が不十分。後半はもう少し高い視点を目指しているものの、成功事例から適当にそれらしい要素をチェックポイントとして抜き出した様にしか見えず、普遍的な知識となっていない。