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ティム・ハーフォード(著), 遠藤真美(訳), 人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く

世の中の一見不合理な行動を行動経済学で解釈する試み。ジャーナリストの著作だが、研究による裏付けもしっかりしている。特に興味深いのは、企業の給与体系とそれに伴うインセンティブの分析。広く普及しているトーナメント型のインセンティブが士気を高める一方で裏切りを生み出すことも、行動経済学の視点で見ると合理的であることがわかる。
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KAPPA, 超・株式投資

東大卒医師が教える科学的「株」投資術の続編。まずは長期投資でリスクが減るという説の検証。リスク (ボラティリティ) の絶対額は投資期間長期になればなるほど広がるという考えてみれば当たり前の話。 期待リターンが同じであっても 標準偏差が大きいほど損する投資家が増えることが示され、投資対象の標準偏差が非常に重要であることがよく分かる。やはり長期投資の優位性はリスク低減よりも売買コストの削減や課税繰延効果などにあると考えるべきだと思う。いくつかのアノマリーについても検証されており、...
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ルイズ・アームストロング(文), ビル・バッソ(絵), 佐和隆光(訳), 続・レモンをお金にかえる法

レモンをお金にかえる法の続編。前回の経営学から打って変わって経済学のお話。インフレと不況の発生メカニズムとその対処法が主題。ケインズ主義の立場からの対策のみだが、巻末の解説で訳者がその限界にきちんと触れているのは良心的。
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ケネス・S・ロゴフ(著), 村井章子(訳), 現金の呪い 紙幣をいつ廃止するか?

高額紙幣を廃止しレスキャッシュ (キャッシュレスではないことは再三言及されている) を実現することで、現金の犯罪利用を減らし、同時にマイナス金利などの金融政策が可能となるという主張。平易な文章ながら専門的な議論もしっかりと押さえられており、データの裏付けも豊富。様々な公的調査を組み合わせる搦め手で現金がどのように利用されているかその実態をあぶり出しており、発行枚数と各家庭の実際の現金所有との大きなギャップから非合法な目的の現金利用を推定している。高額紙幣の廃止によるレスキャッ...
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佐藤雅彦(原作), 菅俊一(原作), 高橋秀明(画), 行動経済学まんが ヘンテコノミクス

流行の経済学をまんが形式で。ヘタウマ系のユルめの印象だが、内容はまとも。行動経済学を体系立てて学べるような本ではないが、人に話したくなるような小ネタを探している向きにはおすすめできる。
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三木義一, 日本の税金 新版

直球のタイトルだが、その看板に偽りなし。日本の税金がどのような仕組みで成り立っているかが高い視点から解説されており、小手先の節税本などとは一線を画している。即座に役に立つ本ではないが、税の基本を学ぶ教科書としておすすめできる。
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池田信夫, 希望を捨てる勇気 停滞と成長の経済学

池田信夫の書き下ろし。当時のブログの内容をより深掘りしたような作品。日本経済の長期停滞の原因である正社員の既得権益がもたらす格差と財政政策の失敗に関する分析が中心で、トンデモ度は低め。全体的にネガティブ基調が過ぎる様に感じるが、出版時点の2009年の空気に引きずられている部分もあるのかもしれない。
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ポール・コリアー(著), 甘糟智子(訳), 民主主義がアフリカ経済を殺す

最底辺の10億人の続編的内容。最底辺国の独裁者の視点に立って民主主義を取り入れる際のオプションを検討する思考実験は、見事に彼らの行動原理をあぶり出しており興味深い。翻訳はあまり読みやすいものではなく、特に抽象度の高い部分はかなり苦しい。
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ジョン・マクミラン(著), 瀧澤弘和(訳), 木村友二(訳), 市場を創る バザールからネット取引まで

市場の設計に関する経済学の観点からの論考。啓蒙書のためか、数式はほぼなし。著者の専門であるゲーム理論やオークション理論に重みがある印象。世界の様々な市場を題材に扱っており、机上の空論となっていないのが良い。
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ルイズ・アームストロング(文), ビル・バッソ(絵), 佐和隆光(訳), レモンをお金にかえる法

お金のリテラシー絵本。経済というよりは経営の基礎ではあるが、子供のためのお金のしくみ入門書としてみると良い出来。