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エリザベス・ダン(著), マイケル・ノートン(著), 古川奈々子(訳), 「幸せをお金で買う」5つの授業 HAPPY MONEY

白熱教室で取り上げられて話題になったらしい (そちらは観ていない) 幸福学の紹介。 名前は精神論的な内容を連想させるが、実態は行動経済学に近く、実験的研究の裏付けもしっかりしている。自身の経験と照らしあわせてみても納得度が高い内容。
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チャールズ・エリス(著), 鹿毛雄二(訳), チャールズ・エリスが選ぶ「投資の名言」

敗者のゲームのチャールズ・エリスの編纂する投資の名言集。 もちろんパッシブ投資寄りのものが多いが、中にはダグラス・ベルモアの様にややアクティブ寄りのものも含まれているのが興味深い。
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グレゴリー・クラーク(著), 久保恵美子(訳), 10万年の世界経済史 (上) (下)

日本語版の表題は "10万年の世界経済史" となっているが、10万年というbig historyよりも、産業革命の背景やその影響が主題。原著の表題の "A Farewell to Alms" の方が著者のメッセージを正しく伝えているように感じる。ダジャレだが。 上巻はマルサスの罠による産業革命以前の停滞が中心。世界各国の人口、出生率、死亡率、生活水準、技術水準、実質賃金の豊富な推移データを元に、短期的な所得の増大が常に人口の増大によって打ち消されてきたことを示す。 下巻では、...
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チャールズ・エリス(著), 鹿毛雄二(訳), 敗者のゲーム 原著第6版

以前読んだ敗者のゲームの改訂版。もはや古典と言える名著であり、まともに資産運用を考えるのならば避けて通れない一冊。 旧版から一貫したメッセージとして長期計画の重要性やインデックス・ファンドの有利さが繰り返し説かれるが、そのどれもが頷ける内容。相変わらず翻訳が今ひとつなところだけがやや残念。
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チャールズ・マレー(著), 橘明美(訳), 階級「断絶」社会アメリカ 新上流と新下流の出現

ここ50年間 (1960年~2010年) で米国に新たに生まれた新上流と新下流という階級。彼らが互いに交わらなくなっている様子やそれが引き起こす様々な問題を豊富なデータで裏付けていく。翻訳の質が高いのも嬉しい。
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ナシーム・ニコラス・タレブ(著), 望月衛(訳), まぐれ 投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか

タレブの代表作の一つ。リスクの数学的な話よりはもう少しメタな話。 皮肉に満ちた語り口は好みが分かれるところだと思うが、世間で生存バイアスが軽視されすぎているという主張自体は納得できる。
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ブライアン・カプラン(著), 奥井克美(監訳), 長峯純一(監訳), 選挙の経済学

選挙そのものを経済学で読み解こうというよりは、投票者の持っているバイアスの話題が主。原題の "The Myth of the Rational Voter" の方が内容を的確に表している。 政治に関する知識の有無がバイアスを生むという主張は実に説得力がある。米国の経済意識調査 (SAEE)を中心としたエビデンスも十分。 後半の合理的無知や原理主義者間の対立に関する議論はやや観念的であり、科学的な調査結果を求める向きにはやや退屈かもしれない。
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岩村充, 貨幣進化論 「成長なき時代」の通貨システム

寓話を用いて貨幣の成り立ちを説明した後、金本位制からニクソン・ショックを経て現代に至るまでの貨幣の流れを駆け足で。貨幣の歴史を大掴みするには良書。
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ダニエル・コーエン(著), 林昌宏(訳), 経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える

帯の宣伝文は "銃・病原菌・鉄" の経済版の様な印象を与えるが、方向性はだいぶ違う。 全時代を通じた大きな仮説がやや弱いが、各時代の個別のエピソードは興味深いものが多い。
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ポール・コリアー(著), 中谷和男(訳), 最底辺の10億人

いわゆる開発途上国よりも悲惨な状況に置かれ、成長への道筋が見えない国々の問題点を探る。 紛争の罠、天然資源の罠、内陸国の罠、悪いガバナンスの罠といった典型的な問題を解説した上で、その解決策を提案していく構成。統計データによる裏付けも豊富で、読んでいて腹落ちする。個別の国の微細な議論に陥ることなく、より高い視点から問題を捉えようとする姿勢も良い。