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夏坂健, 美食・大食家びっくり事典

主に西洋史と中国史の食に関するエピソードを集めたもの。いかにもな法螺話も多いが、それが良い味を出している。出典や参考文献などと野暮なことを言ってはいけない。
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安島太佳由, 日本戦跡を歩く

日本全国の戦跡を巡り写真を撮り続けた労作。特に掩体壕への愛は素晴らしい。現存している戦跡は全国に散らばっているため、なかなか気軽に見に行けるものが少ないのは残念。2002年の発行のため、幾つかは既に失われている点にも注意。
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北村賢志, 虚構戦記 研究読本

いわゆる仮想戦記でよく用いられるIFを批判するという体裁。取り上げているIFの出処が不明な点が残念。どこまでが本当に仮想戦記で用いられたものなのかが検証できない。また網羅性も不明で、叩きやすいIFだけを取り上げているようにも見える。解説は自説に都合の良い事実のみを持ちだしているように思える部分があるものの、定性的には大筋は納得できる。
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水木しげる, コミック昭和史 (第6巻) 終戦から朝鮮戦争

ようやく終戦したものの、今度は戦後の混乱期。水木も生計を立てるべく、様々な仕事に手を染めていく。運命に流されながらも、絵を描くことだけは忘れなかった結果としてか、最後に紙芝居作家に流れ着くあたりに水木のたくましさを感じる。
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水木しげる, コミック昭和史 (第5巻) 太平洋戦争後半

太平洋戦争も佳境を迎え、水木二等兵の最前線も凄惨な状況となってくる。マラリアの羅患、理不尽な命令、逼迫する食糧事情など、多少コミカルに脚色されたマンガをもってしても見るに耐えない部分が増えてくる。
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押切蓮介, ピコピコ少年TURBO

ピコピコ少年の続編。相変わらず同世代で同じ様な生き方をしてきた人間には共感できる点ばかり。まだまだ続編を書く気が満々な様なので今後も楽しみ。
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佐藤勝彦, 眠れなくなる宇宙のはなし

宇宙に関する研究の歴史をまとめた啓蒙書。サイモン・シンの著作よりも易しめで、一冊目に読むにはおすすめできる。
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水木しげる, コミック昭和史 (第4巻) 太平洋戦争前半

ついに太平洋戦争が本格化し、水木しげるもパラオからラバウルへ。そんな中、戦地でもどこかとぼけたままの水木しげるの姿に和まされる。
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礒崎敦仁, 澤田克己, LIVE講義 北朝鮮入門

北朝鮮の入門書・教科書となることを目指して書かれたというだけあり、北朝鮮の基礎的な事項がよくまとまっている。市民の生活についての情報はやや控え目だが、政治や外交、歴史については必要事項が過不足なくまとめられている。金正日存命中の2010年の出版ながら、当時は後継者候補に過ぎなかった金正恩の情報もきちんと押さえられており、古さを感じさせない。巻末の参考文献もしっかりしており、一冊目の教科書としても間違いなくおすすめできる。
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斎藤充功, 脱獄王 白鳥由栄の証言

五寸釘寅吉と並ぶ脱獄王として知られる白鳥由栄を追ったドキュメンタリー。その白鳥の4度に渡る脱獄を、当時のマスコミ記事と本人の証言から丹念に追いかけている。1979年の白鳥の他界寸前によくぞここまでのインタビューを実現してくれたものと思う (底本の出版は1985年)。白鳥の脱獄にかける執念やその鮮やかな手口に加え、人間としての白鳥を描くことに力を注いでいるのが印象的。直に接した刑務官らとの交流までも緻密な取材が行われ、恩義を感じた人間への義理堅さなど白鳥の性格が垣間見える。