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スー・シェパード, 赤根洋子(訳), 保存食品開発物語

乾燥、塩、酢漬けといった伝統的な方法から、冷凍、フリーズドライといった最新の方法まで、保存食品の歴史を網羅した本。あまり日本人になじみのない食品も多く収録されており、雑学本として楽しめる。ほぼ時系列順に並んでいるのを通して読むと、食糧の保存こそが文明の源であることを強く感じる。
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三戸祐子, 定刻発車 日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?

よく日本の鉄道の正確さは世界一だというようなことを聞く。今までは漠然と日本人の几帳面さが原因くらいに考えていたが、本書はさらに一歩踏み込み、正確さの起源を江戸時代の参勤交代にまで求めている (さすがにちょっと眉唾だと思うところもあるが) 。定刻発車を維持するための工夫の数々は、他のジャンルでの運用、たとえば通信や各種サーバ管理などに携わる方々にも参考になる部分は多くあると思う。いかに並列化を行うか、いかに障害の波及範囲を押さえるか、いかに回復しやすい設計を行うかなど。少々説明...
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速水融, 歴史人口学で見た日本

歴史人口学というのはこの本で初めて知ったのだが、いわゆる歴史学以上に推理の要素を含み、イデオロギーの要素も少なく、私のような人間の興味をそそる。本書は速水先生の自分史のようなところもあり、研究を進める上での苦労がしのばれるのも興味深い。中でも史料データベースの作成に伴う苦労がたびたび述べられているが、このあたりは自分のようなコンピュータ屋やデータベース屋とうまく連携できる仕組みが何かできないものか、と強く思う。
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鯖田豊之, 日本人の戦争観はなぜ「特異」なのか 日本と欧米の比較にみる戦争と人間の風土

肉食の思想と同じく40年前の本の復刊だが、これも全く古さを感じない。鯖田先生の専門である西洋中世史の知識に基づき、欧米の戦争史を眺めることで、日本と欧米の戦争観の違いを探る。そもそもの近代国家の成立までの道のりが全く異なる以上、戦争観が食い違うのも当然のことのように思える。また、後半は「死」の概念について、日本と欧米の違いを探っているがこれも興味深い。改めて、自分の死生観が日本人のものであることを認識する。
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ドゥニ・ゲージ(著), 南条郁子(翻訳), 藤原正彦(監修), 数の歴史

読み終わるまで気付かなかったが、監修は最近話題の藤原正彦。数が生まれてから近代数学に至るまでの流れを俯瞰できる。特に、数の記録と計算の間のギャップが埋まるまでのくだりは実に興味深い。また、図版の美しさは特筆もの。これを眺めているだけでも幸せな気分になれる。お勧め。
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巨人軍タブー事件史

巨人の黒歴史をまとめたムック。良くも悪くも週刊誌やスポーツ新聞的な内容で、読むにはおもしろいが、特に新しい決定的な事実が明かされるわけではない。
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NTTインターコミュニケーションセンター, 信用ゲーム おかねって何だっけ?

前半は相良伸彦さんによるおかねの話。物々交換に始まり、金本位制を経て管理通貨制度に至るまでの流れの解説。後半は2001年に行われた「信用ゲーム」展のカタログ。船田巧 (船田戦闘機) やクワクボリョウタ、デヴィッド・バーンといった意外な名前があるのは楽しいが、やはり現物を見たかった。
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鯖田豊之, 肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見

日本と欧米諸国の食生活パターンの違いを元に、宗教や身分制度、結婚観、果ては社会意識の違いまでを解明する。少々コジツケにみえる論旨もあるが (本書の性質上、食生活以外のところをバッサリと切り捨てているのでやむをえないが) 、自分が触れてきた欧米諸国の人々を思い出してみても非常に共感を覚えるところが多い。40年前の本なのでさすがにデータが古くなっているところもあるが、論旨自体は今でも古さを感じない。
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中村敏雄, スポーツルール学への序章

スポーツのルールにはなぜこのようなルールがあるのかと思うものが多い。なぜ野球のルールにだけ「勝つことを目的とする」とわざわざ明記してあるのか、なぜサッカーは手を使用してはいけないのか、なぜ野球やクリケットではプレイヤーからのアピールがないと判定が行われないケースがあるのか。それらのルールが生まれた過程は、生まれたときにはあまりにも自明であったがために、殆ど記録には残っていない。そんなルールの変遷を、僅かな情報を元に推測していく本書は、推理小説の様でもある。
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藤原明, 日本の偽書

上記、竹内文献、東日流外三郡誌、秀真伝といった有名な偽書がどの様なプロセスで人々を魅了するに至ったのか。と学会の様におもしろおかしく紹介するわけでもなく、また少数の有名偽書を深く掘り下げる形式なので、正直言って骨太すぎるところもある。しかしながら、捏造が行われるプロセスとして "言説のキャッチボール" を重視しているのは興味深い。これは、捏造者が他の専門家 (捏造に携わっている自覚なし) との対話で得られた情報を取り込み、出土品を "創造" するということ。類例としては、(偽...