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山田奨治, <海賊版> の思想 18世紀英国の永久コピーライト闘争

現代の期限付きの著作権のきっかけとなった18世紀英国の法廷闘争を仔細に追いかけた作品。著作権の制限が決して遂行な理念だけではなく、海賊出版社の営利を求める姿勢によって生まれたというのは実に興味深い。
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トーマス・クーン(著), 中山茂(訳), 科学革命の構造

実はまだ読んでいなかった古典。パラダイムとはもはや便利に使われる語となってしまっているが、元々は精緻に組み上げられた概念であるのがよく分かる。翻訳が今ひとつこなれていないのが残念。
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松濤明, 新編・風雪のビヴァーク

昭和初期の伝説的登山家、松濤明の各種の著述から遺書までをまとめたもの。紀行文は登歩渓流会の会報に寄稿されたものが中心のため、山をやっている人以外にはあまり楽しめないかもしれないが、戦前戦後の登山事情を知る上では貴重な資料といえる。一方で、スポーツアルピニズム批判などの思想は現代でも通用する内容と感じる。
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ダニエル・コーエン(著), 林昌宏(訳), 経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える

帯の宣伝文は "銃・病原菌・鉄" の経済版の様な印象を与えるが、方向性はだいぶ違う。全時代を通じた大きな仮説がやや弱いが、各時代の個別のエピソードは興味深いものが多い。
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さくら剛(著), しりあがり寿(イラスト), 三国志男

三国志が好きすぎて中国の三国志遺跡を旅してしまった男の旅行記。著者はかなり濃い目の三国志ファンながら原点が横山光輝や光栄にあるので、私のようなライトなファンにも共感しやすい。一昔前のテキストサイトを思い出させるフォントいじりは好みが分かれるか。
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礫川全次, 隠語の民俗学 差別とアイデンティティ

在野の研究者による隠語の世界への導き。先人の研究からきちんと解説しているので、初学者でも楽しめる構成となっている。隠語の性質上、記録が少なく想像に頼らざるをえない部分が多いとはいえ、語源の推定などでやや論理が飛躍している箇所が見られる。
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武田知弘, ナチスの発明

表題通りのナチスの発明はごく一部で、大半はナチス時代のドイツに少しでも関係ある発明や製品、研究をこじつけたもの。それでも分量が足りなかったのか、後半はナチスの成り立ちや人物紹介で水増しされている。巻末に参考文献一覧はあるものの、すべて和書で二次資料が中心の上に各項目がどこから引用したものかがまったく示されていないので、話半分で読むのが良いだろう。コンラート・ツーゼが計算機における二進法利用を最初に発案したとするなど、明らかな誤りも見られる。
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石毛直道(監修), 吉田集而(責任編集), 講座 食の文化 第1巻 人類の食文化

味の素食の文化センターの設立10週年を記念して企画されたシリーズの一冊目。人類の食文化という非常に大きく野心的なテーマを掲げており、地理や歴史はもちろんのこと、考古学から言語学まで様々な方面から仁るの食文化を捉えている。著者陣も非常に豪華で、その道を代表する面々ばかり。気軽に手に取る種類の本ではないが、食に興味がある方はぜひ一読して欲しい。食を捉える視点が広がることは保証できる。
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マルク・レビンソン(著), 村井章子(訳), コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった

現在では海運を中心に広く利用されグローバル・サプライチェーンを支えている貨物コンテナが世界を席巻するまでの流れを、実質的な発明者であるマルコム・マクリーンを中心に描いたもの。発明から普及までの正の部分だけでなく、コンテナ普及の抵抗勢力である労働組合や当局との闘いなどの負の部分が丹念に取り上げられているのも興味深い。企業の経営者が書評で絶賛するのがよく分かる。おすすめ。
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張競, 中華料理の文化史

各種の歴史書をひもとき、古代の中華料理の姿を探ろうという試み。膨大な文献を追い、過去の中華料理の姿を推理していく姿には素直に頭が下がる。こうして再現された古代の中華料理の姿を見ると、現代の中華料理はさほど長い歴史を持っているわけではないことがよく分かる。また、それらの古代の中華料理と日本料理の類似性の指摘も興味深い。