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山口謠司, ん 日本語最後の謎に挑む

日本語のひらがなのなかで最後に生まれた "ん" の歴史。 当然ながら、 "ん" の歴史を辿るということは、漢字による音写に始まる日本語の歴史を辿るということになる。読み物としてはやや退屈な部分もあるが、非専門家には新鮮な驚きも多い。
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岡崎洋三, 日本語とテンの打ち方

学校の作文教育ではきちんと教えられないテンの打ち方を一冊丸ごと。 著者なりの体系立った打ち方の理論があるわけではなく、様々な例文を持ち出してきては都度解説をするスタイル。 例文はやや新聞贔屓が過ぎるか。本書中に著者の経歴が書かれていないので想像に過ぎないが、新聞出身かもしれない。
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ダニエル・L・エヴェレット(著), 屋代通子(訳), ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観

いわゆる普遍文法の枠に納まらない (と主張される) ピダハン研究の第一人者による著作。一般向けの啓蒙書で、現地のエピソード中心のため、言語学の知識がなくても楽しめる。 他の多くの言語に見られる数の概念、創造神話、再帰、間接的な体験の表現といった多くの要素が欠けているとされるピダハンの存在には、専門の学者ならずともワクワクさせられる。また本書ではあまり詳しく語られないが、キリスト教の伝道師として現地入りした著者が逆に改宗に至ったというエピソードも実に興味深い。
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町山智浩, 教科書に載ってないUSA語録

週刊文春に連載のコラム "言霊USA" をペーパーバックとしてまとめたもの。アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らないが良かったので買ったまま長らく寝かせていた。 その時々のhotな言葉を数ページで解説するスタイル。ややゴシップ寄りのネタが多めだが、いずれもアメリカの今がよく伝わってくる。澤井健の一コマ漫画も良い。
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メアリアン・ウルフ(著), 小松淳子(訳), プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?

言語学と脳科学の見事な融合。書を読むということが脳にどの様な影響を与えるのかという大きな問題への解を見事に示してくれる。 普段何気なく行っている読書という行為が、非常に複雑なプロセスの集合体であることに気付かせてくれる。つい読書を会得した子どもの頃に思いを馳せてしまった。
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Caleb Melby (Written by), JESS3 (Concept, Design, Illustration), The Zen of Steve Jobs

Steve JobsとKobun Chino Otogawa (乙川弘文) の交流を描いたマンガ。出来過ぎた話が多く、どこまでが史実でどこからが創作がわからないが、読み物としては文句なし。日本のマンガとはまた違ったデザインも良い。
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礫川全次, 隠語の民俗学 差別とアイデンティティ

在野の研究者による隠語の世界への導き。先人の研究からきちんと解説しているので、初学者でも楽しめる構成となっている。 隠語の性質上、記録が少なく想像に頼らざるをえない部分が多いとはいえ、語源の推定などでやや論理が飛躍している箇所が見られる。
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石毛直道(監修), 吉田集而(責任編集), 講座 食の文化 第1巻 人類の食文化

味の素食の文化センターの設立10週年を記念して企画されたシリーズの一冊目。 人類の食文化という非常に大きく野心的なテーマを掲げており、地理や歴史はもちろんのこと、考古学から言語学まで様々な方面から仁るの食文化を捉えている。著者陣も非常に豪華で、その道を代表する面々ばかり。 気軽に手に取る種類の本ではないが、食に興味がある方はぜひ一読して欲しい。食を捉える視点が広がることは保証できる。
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Don Ladigin(著), Mike Clelland(イラスト), Lighten Up!: A Complete Handbook For Light And Ultralight Backpacking

Ultralight Backpackingの入門書。ウルトラライトハイキングの種本の一つ。 Ultralightを目指す人ならば一度は読むべき本。思想から具体的なノウハウまで過不足なくよくまとまっている。一部に北米の環境を前提にした記述が見られるものの、根底にある思想は世界共通のものであり、日本でも活用できそうなノウハウも多い。
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染矢正一, プロ野球英語のウソ (映画で学ぶ生きた英語表現)

日本の野球でよく使われる和製英語を取り上げた本。和製英語と正しい英語表現の対訳形式。いくつかの項目は有名な野球映画で使われた表現のおまけが付く。よく使われる表現は一通り押さえられている印象。 出版時期を反映して、例題に使われている選手の名前が懐かしい。