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サラ・ウォリス(編著), スヴェトラーナ・パーマー(編著), 亀山郁夫(露語訳), 河野万里子(仏語訳), 関口時正(波語訳), 赤根洋子(独語訳), 田口俊樹(英語訳), 私たちが子どもだったころ、世界は戦争だった

第二次世界大戦期の各国の若者が綴った日記をまとめたもの。ナチスの侵略の直接的な被害者だけではなく、英国王立空軍に志願した若者、遠く離れた米国でニュースとして第二次世界大戦を知るユダヤ少年など、レニングラードで食糧難に苦しむ一家など、様々な立場の子ども達の日記を通じて、第二次世界大戦を立体的に描いていく。 欧州の子ども達が中心だが、日本人も二人含まれている。こちらも、一高のエリート青年と、福島県で家業を手伝う少女と、世の中の見方がまったく異なる二人を取り上げており、戦争の見方が...
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今尾恵介, 地図で読む戦争の時代

著者は古地図好きが高じて本職としてしまった方。全編から古地図への愛が感じられる。 地図上の不自然な区割りの理由を探る、植民地の地図を読み解く、戦時改描の歴史など、軍事の歴史と密接に絡んでいる地図を眺めるのは実に楽しい。 欲を言うならば、全編モノクロなのが残念。色が重要な意味を持つ地図だけでもカラーで収録して欲しかった。
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ポール・コリアー(著), 中谷和男(訳), 最底辺の10億人

いわゆる開発途上国よりも悲惨な状況に置かれ、成長への道筋が見えない国々の問題点を探る。 紛争の罠、天然資源の罠、内陸国の罠、悪いガバナンスの罠といった典型的な問題を解説した上で、その解決策を提案していく構成。統計データによる裏付けも豊富で、読んでいて腹落ちする。個別の国の微細な議論に陥ることなく、より高い視点から問題を捉えようとする姿勢も良い。
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武田知弘, ナチスの発明

表題通りのナチスの発明はごく一部で、大半はナチス時代のドイツに少しでも関係ある発明や製品、研究をこじつけたもの。それでも分量が足りなかったのか、後半はナチスの成り立ちや人物紹介で水増しされている。 巻末に参考文献一覧はあるものの、すべて和書で二次資料が中心の上に各項目がどこから引用したものかがまったく示されていないので、話半分で読むのが良いだろう。コンラート・ツーゼが計算機における二進法利用を最初に発案したとするなど、明らかな誤りも見られる。
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高部正樹, 傭兵の生活

コンバット・マガジンの連載をまとめたもの。時期的にはイラク戦争頃のネタが多い。 体系的に軍事を学ぶような本ではないが、傭兵の生の声が聞けるのは類書が少なく貴重。
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江畑謙介, 強い軍隊、弱い軍隊

日本の安全保障をお題に、軍事の初歩から学べる構成。思想の押しつけがなく、徹底して事実の分析にのみこだわる姿勢は好感を持てる。 2001年の出版のため、日本を取り巻く状況が現在とは異なる点には注意が必要。またところどころ校正が甘く、日本語として不自然な個所があるのはご愛敬。
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大波篤司, 図解ミリタリーアイテム

主要な軍装品101種の解説。イラスト豊富な見開き構成で読みやすい。ミリタリーに興味を持ち始めた方の入門用に。
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津田信, 幻想の英雄

小野田寛郎のやその元となった雑誌連載のゴーストライターによる暴露本。原著は入手困難だが全文がWebで公開されているので、そちらを少し加工してKindleで読んだ。 暴露本だけにあまり上品な内容ではないが、英雄視されがちな人物の本当の姿を描いたという点は価値がある。本書のために新たな取材をした様には見えず、裏が取れていない推測が多く見られるのが残念。
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安島太佳由, 日本戦跡を歩く

日本全国の戦跡を巡り写真を撮り続けた労作。特に掩体壕への愛は素晴らしい。 現存している戦跡は全国に散らばっているため、なかなか気軽に見に行けるものが少ないのは残念。2002年の発行のため、幾つかは既に失われている点にも注意。
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デビッド・パークス(著), ロス・ブライアン(著), 友清仁(訳), 最強軍団アメリカ海兵隊

アメリカ海兵隊の解説書。 著者は海兵隊の広報誌の編集などに携わっていることもあり、ところどころに広報の匂いがする。しかしながら、その分を差し引いても入門書としては非常に優れており、海兵隊という組織を大掴みするには十分な内容。