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清家篤(編著), 金融ジェロントロジー

本書の大半は高齢化社会に関する一般論や関連するテクノロジー、法制度に占められており、表題の金融ジェロントロジーに関する記載は後半の第7章に少しあるのみ。高齢化社会全般の基礎知識を学ぶ上では良書だが、金融ジェロントロジー、特に高齢者の資産管理の部分を手っ取り早く掴もうと読み始めると肩透かしを食うだろう。
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広瀬隆雄, MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法

一般的な優良企業の見分け方として営業キャッシュフローの重要性などを説いており、それ自体は定性的には正しそうに見える。しかしながら、それらの優良企業に投資すれば儲かるのかという肝心な点がまったく検証されていない (しているのかもしれないが、少なくとも本書中では一切触れられない)。先物取引に関する記述も同様。優良会社を見極めて投資すれば超過利益が得られるはずという素朴な仮定を置いているように思える。
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ブルック・ハリントン(著), 庭田よう子(訳), ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番 世界トップ1%の資産防衛

著者自らがthe Society of Trust and Estate Practitioners (STEP) の資格を取得し、ウェルス・マネジャーのインサイダーとして同業者たちへのインタビューを行っている。こうした同業のよしみを活かしてかなり踏み込んだ情報を引き出しているのはさすがとしか言いようがない。本書で扱う富裕層は日本でよく取り上げられる野村総合研究所の定義よりは一段上で、3,000万ドル以上の運用可能残高が最低ラインとされている。彼らは従来の有閑階級とは異なる種...
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加谷珪一, 世界のお金持ちが20代からやってきた お金を生む法則

今作はかなり自己啓発本寄り。ビジネスや投資の成功者を引き合いに出しての教訓話だが、表面をなぞっただけの話が多い。天才的な成功者ではなく地味ながら着実な成功を掴んだ者を真似よ、という主張は納得できる。
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吉本佳生, 金融工学の悪魔 騙されないためのデリバティブとポートフォリオの理論・入門

かなり噛み砕いたデリバティブの入門書。デリバティブを構成する先物取引、スワップ取引、オプション取引が一通り理解できる。細かな数式は用いず、大まかな確率分布 (例えば円相場予想の説明では5円刻み) のみで説明するので、数学が苦手な向きでも大筋は理解できるだろう。確率分布をきちんとした対数正規分布に置き換えたところで大勢に影響はない。FX普及前の書籍のためそのあたりには言及していないが、外貨預金や住宅ローンといった身近な活用例も触れられている。
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大村大次郎, 脱税の世界史

国家につきものの税金だが、その歴史は常に脱税と共にあった。古代ギリシャからビートルズまで、古今東西の脱税を取り上げている。著者は元国税調査官ということもあり、徴収側の理屈に偏っているのは注意。
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レガシィマネジメントグループ, 100億円相続事典 1億円との徹底比較で見えてくる違い

目の付け所は良い本だが、繰り返しのネタが多く水増し感がある。100億円規模の富裕層は大きく相続組と起業組に分かれるが、両者が混ざって記述されているので混乱を招いている。同様に1億円の富裕層も資産運用に成功した人々とそれらには手を出さずに出世とマイホーム購入で無意識に富裕層になった人々が十把一絡げになっている。
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江口亮介, 本当に家を買っても大丈夫か? と思ったら読む 住宅購入の思考法

タイトル通り、不動産購入を検討している人がとりあえず読むには良い本。ただし、(この本の立ち位置からして仕方ない部分はあるが) かなり不動産屋視点で売らんかなの姿勢が見え隠れする点には注意が必要。
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甚野博則, ルポ 超高級老人ホーム

週刊誌をそのまま書籍にしたような内容。表題も小見出しも扇情的なものばかり。入居予定者を装った施設見学と身分を明かしての業務体験が一度づつある他はインタビュー取材のみで、超高級老人ホームの実態に迫ったかと問われると心もとない。
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長沼伸一郎, 現代経済学の直観的方法

現代経済学と銘打っているが中身はほぼマクロ経済学で、ミクロ経済学はほぼ触れられない。それでも、古典派経済学とケインズ経済学の基礎を大づかみするという目的だけに絞れば良書といえる。それぞれの経済学の生まれた時代背景も添えられているのもわかりやすい。最後の第9章のみは既存経済学の解説から離れて自説を展開しており、他の部分とだいぶ毛色が異なるので注意が必要。著者の専門である物理学の縮退や囲碁の概念を用いて経済を説明しようという試みは面白いが、別の著作で展開するべきだったと思う。