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三戸政和, サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門

タイトル通り、個人M&Aを推奨する本。なにもないところから会社を立ち上げるゼロイチ起業で成功するのは難しいため、10年生き残って軌道に乗っている企業を個人でM&Aすることを勧めている。ただし、著者はM&Aコンサルを生業にしている以上、どうしてもそのバイアスがあるので注意が必要。 内容は頷ける部分も多いが、 中小企業は最新モデルを知らないと断言するなど、中小企業をどこか見下しているような物言いが気になる。また、内情をよく知っているはずの従業員が引き継がずに後継者が不足している理...
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加谷珪一, お金は「歴史」で儲けなさい

お金の歴史を学ぶことで、より高い確度で儲けていけるという主張。日本株130年の超長期チャートは新鮮。米国では長期の分析があるが、日本株の分析は珍しい。著者によるとこの130年間は年間平均7%の株価上昇を記録しており (配当金の扱いやインフレ補正の詳細は不明)、米国からは劣後する。日本企業に投資するならば米国の市場拡大の恩恵を受けられる企業を選ぶべき。ハイパーインフレの歴史も興味深い。ドイツのハイパーインフレでは、為替、金、物価、不動産、株価の順で価格が上昇した。株価は案外に動...
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堀江貴文, 儲け方入門 100億稼ぐ思考法

見開き2ページを一項目として要点のみを書くスタイルは実に堀江貴文らしい。初めて氏の著作を読む方にはもう少し補足が必要だと思うが、背景がわかっている人にはこれで必要十分だろう。ビジネスのヒントも惜しみなく公開されている。その中で、利益率が高くて元手がかからないことをやるというのは他の多くの起業家たちの意見と共通している。例えば、プッシュカートビジネスが勧められているのと本質は同じ。
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川村元気, 億男

小説仕立ての自己啓発マネー本。2014年に映画化もされている。お金との付き合い方や幸せな人生を考えるヒントが散りばめられている。充分なお金を得ることで欲が奪われてしまう気持ちは良く理解できる。
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高田かや, お金さま、いらっしゃい!

お金を徹底して排除したカルト村の価値観を引きずっているのが他のマネー本とは一線を画している。それだけに、見ていてハラハラするところが多いが。ご主人とそのご実家がかなりお金にルーズなところも将来が心配になってしまう。
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田渕直也, 投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について

デリバティブ出身の著者による投資と金融のガイドブック。投資のヒントや今までの常識を見直すきっかけが詰まっている。効率的市場仮説は完全に成り立つものではなく心理バイアスによって歪められているが、ほとんどの人は市場の不合理性を突いて勝つことはできない。ファンダメンタルズ分析も万能ではなく、株式アナリストが推奨する銘柄が取り立てていいパフォーマンスを残している証拠はない。テクニカル分析 (チャート分析) で将来を見通すことはできないが、投資アイディアを引き出すためには有効。また、自...
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スコット・A・シェーン(著), 谷口功一(訳), 中野剛志(訳), 柴山桂太(訳), 〈起業〉という幻想 アメリカン・ドリームの現実

華やかに見える米国のスタートアップも、その実態は大きく異ることをデータで示している。米国はそもそも起業が盛んなわけではなく、その起業もハイテク産業ではなく建設業や小売業などの枯れた業種が中心。起業の動機も、世界を変えるという華々しいものは少数派で、他人の下で働きたくないという理由が多い。起業した結果、雇われていたときよりも長時間労働かつ低収入に陥っていることも多い。それでも、起業自体が幸福度を挙げることにつながっているのは救い。他人のために働くよりも自分のために働いたほうが幸...
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架神恭介, 至道流星, リアル人生ゲーム完全攻略本

"人生" という名のネットゲームの運営者視点でその攻略法を解説するスタイル。構成は目新しく、運営者の掛け合いも楽しめるが、内容はやや薄め。マネー本をある程度読んでいる層にはあまり目新しい話はないかもしれない。また、天地創造から現代まで全世界の人類史を俯瞰できる神の視点でありながら、後半はほぼ現代日本に限定された話になってしまっているのも残念。
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村上世彰, 生涯投資家

その物言いで批判を受けることも多い著者だが、本書を通読すると、その思想が一貫していることがよく分かる。本書で繰り返し述べられているのは、日本の上場企業の内部留保が多く、ROEを低下させていること。新しい事業にきちんと投資できないのならば、自社株買いや配当で株主に還元することが経済を回すことになるという思想には強く共感できる。
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出口治明, 働く君に伝えたい「お金」の教養

聞き手付きの講義スタイルのマネー本。基本的なお金の知識やマネープランの話はあまり新味がないが、お金の使い方と保険の話は含蓄がある。体力と気力がある時期にお金と時間を使うほうが、ずっと濃密な体験ができる。ライフステージ別のオススメ保険リストは、最低限の保険を考える上で参考になる。もっとも保険が必要となる子どもありの家庭であっても、就業不能保険と教育費分の死亡保険があれば充分なことが多い。