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冨田和成, 資本主義ハック 新しい経済の力を生き方に取り入れる30の視点

資本主義社会の攻略本。資本主義の未来を楽観視した上で、アービトラージを推奨する。金融資本の運用一辺倒ではなく、元手を生み出すための人的資本の形成に半分以上を割いているのが特徴。その上で課税や社会保障を "重力" と呼び、重力の大きい人的資本から重力の小さい事業資本へシフトしていくことを勧めている。金融資本の運用部分はプロと競合しにくい長期投資や新興銘柄を推奨。期限を切らない長期の大きな予測は概ね外れず、板が小さい新興銘柄はアービトラージの余地が生じやすい。また、金余りの世界で...
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碓井民朗, 得をするマンションの選び方 プロが教える77のポイント

建築士によるマンションの選び方。立地の話はそこそこに、建築の視点からのマンションの見極め方を指南してくれる。設計者の力量や良心を見極めるための具体的なポイントが示されておりわかりやすい。
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沖有人, マンションは学区で選びなさい

マンションは10年で買い替えなさいに続いてもう一冊。マンションを学区で選ぶべきという主張は良いのだが、肝心の学区の評価がそのエリアの平均世帯年収になっているのが残念。きちんと価格変動や需要予測で評価して欲しいところ。
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永野良佑, 家を買う時 必ず! 読む本

不動産ファンド出身者による不動産入門書。不動産屋出身者に比べてやや投資寄りの視点か。建築コストや借地権、売れ筋価格といった数値の相場が載っているのも嬉しい。
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針山昌幸, 中古マンション本当にかしこい買い方・選び方

マンション初心者向けの入門書。住宅購入で一番大事なことは「正しい知識を身につけること」と「焦らないこと」だと思います。の言葉通り、まっとうな中古マンションの買い方を教えてくれる。特に住宅診断 (ホームインスペクション) の重要性を強調しているのは良心的。
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大谷アキラ(漫画), 夏原武(原案), 水野光博(脚本), 正直不動産 (1) (2) (3) (4) (5)

ビッグコミック連載中の不動産営業マンガ。とりあえず5巻までまとめ読み。千に三つしか本当のことを言わず "千三つ" と言われる不動産営業ととある理由で嘘がつけなくなったの組み合わせはやはり秀逸。不動産の素人が騙されがちなポイントを学べる構成も良い。
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リンダ・グラットン(著), アンドリュー・スコット(著), 池村千秋(訳), LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略

人生100年の長寿化時代の生き方を考える本。従来の3ステージ (教育、仕事、引退) 型の人生が.長寿化で不可能になると説く。3ステージ型で100年を生きる金銭を手にするには仕事のステージを伸ばすしかないが、それは過酷で退屈だ。多くの人は複数の移行を伴うマルチステージの人生に対応しなければならない。マルチステージ化のために、従来は軽視されていた無形資産を意識して構築していく必要がある。代表的な無形資産は、生産性資産 (スキル、知識、人脈などの所得を増やすための要素) 、活力資産...
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野口悠紀雄, 金融危機の本質は何か ファイナンス理論からのアプローチ

ファイナンス理論のまともな入門書。ややもすると疑似科学扱いされがちなファイナンス理論だが、実はきちんとした科学的な学問である。その証拠に、ファイナンス理論を用いても金儲けはできないとして、ヨーロッパやアメリカの伝統的・禁欲的な大学にも受け入れられている (中には工学すらも学問として受け入れていない大学もあることに注意)。ファイナンス理論の内容は高度ではあるが、結論は極めて常識的なものだ。詐欺や犯罪行為によらず市場平均より高い収益率を継続的にあげられるのは、他社が追随できない技...
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森博嗣, お金の減らし方

著者らしいひねくれたタイトルだが、"お金の使い方" と考えると腑に落ちる。お金の使い方というのは案外に難しいもので、著者も、僕から見ると、大勢の方は、自分のためにお金を使っていない。誰か人に見せるために使っているのである。と指摘する。この指摘は重要で、写真を撮って人に見せることができないとしたらそれを買うかと考えることが、自分にとって価値のあるものに自分のお金を使っているかを考え直すきっかけとなる。逆に本当にどうしてもやりたいことがある人はお金も時間もなんとか工面してしまうも...
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吉本浩二, 定額制夫のこづかい万歳 月額2万千円の金欠ライフ (1)

一部ではディストピア漫画などと呼ばれているようだが、読んでみるとその意味がよく分かる。著者自身はおそらくこづかい制の悲哀をユーモアたっぷりに描いている以上の意図はないのだろうが、定額で増える未来が見えないこづかい、即物的な快楽に偏った消費、異常にポジティブな登場人物たち、といった要素が重なるとやはりディストピアという言葉が浮かんでしまう。