money

book

針山昌幸, 中古マンション本当にかしこい買い方・選び方

マンション初心者向けの入門書。 住宅購入で一番大事なことは「正しい知識を身につけること」と「焦らないこと」だと思います。 の言葉通り、まっとうな中古マンションの買い方を教えてくれる。特に住宅診断 (ホームインスペクション) の重要性を強調しているのは良心的。
comic

大谷アキラ(漫画), 夏原武(原案), 水野光博(脚本), 正直不動産 (1) (2) (3) (4) (5)

ビッグコミック連載中の不動産営業マンガ。とりあえず5巻までまとめ読み。 千に三つしか本当のことを言わず "千三つ" と言われる不動産営業ととある理由で嘘がつけなくなったの組み合わせはやはり秀逸。不動産の素人が騙されがちなポイントを学べる構成も良い。
book

リンダ・グラットン(著), アンドリュー・スコット(著), 池村千秋(訳), LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略

人生100年の長寿化時代の生き方を考える本。 従来の3ステージ (教育、仕事、引退) 型の人生が.長寿化で不可能になると説く。3ステージ型で100年を生きる金銭を手にするには仕事のステージを伸ばすしかないが、それは過酷で退屈だ。多くの人は複数の移行を伴うマルチステージの人生に対応しなければならない。 マルチステージ化のために、従来は軽視されていた無形資産を意識して構築していく必要がある。代表的な無形資産は、生産性資産 (スキル、知識、人脈などの所得を増やすための要素) 、活力...
book

野口悠紀雄, 金融危機の本質は何か ファイナンス理論からのアプローチ

ファイナンス理論のまともな入門書。 ややもすると疑似科学扱いされがちなファイナンス理論だが、実はきちんとした科学的な学問である。その証拠に、ファイナンス理論を用いても金儲けはできないとして、ヨーロッパやアメリカの伝統的・禁欲的な大学にも受け入れられている (中には工学すらも学問として受け入れていない大学もあることに注意)。 ファイナンス理論の内容は高度ではあるが、結論は極めて常識的なものだ。詐欺や犯罪行為によらず市場平均より高い収益率を継続的にあげられるのは、他社が追随できな...
book

森博嗣, お金の減らし方

著者らしいひねくれたタイトルだが、"お金の使い方" と考えると腑に落ちる。お金の使い方というのは案外に難しいもので、著者も、 僕から見ると、大勢の方は、自分のためにお金を使っていない。誰か人に見せるために使っているのである。 と指摘する。この指摘は重要で、写真を撮って人に見せることができないとしたらそれを買うかと考えることが、自分にとって価値のあるものに自分のお金を使っているかを考え直すきっかけとなる。逆に本当にどうしてもやりたいことがある人はお金も時間もなんとか工面してしま...
comic

吉本浩二, 定額制夫のこづかい万歳 月額2万千円の金欠ライフ (1)

一部ではディストピア漫画などと呼ばれているようだが、読んでみるとその意味がよく分かる。著者自身はおそらくこづかい制の悲哀をユーモアたっぷりに描いている以上の意図はないのだろうが、定額で増える未来が見えないこづかい、即物的な快楽に偏った消費、異常にポジティブな登場人物たち、といった要素が重なるとやはりディストピアという言葉が浮かんでしまう。
book

ジョシュア・ガンズ(著), 松田和也(訳), 子育ての経済学

経済学者の視点から見た子育て本。 子育ては子供との交渉ごとであり、子供は手強い取引相手とみなすとすべてがしっくりと来る。報酬に関して明確かつ客観的なルールを決めるのはどの親でも一度は試みることだろうが、子供たちはそんなルールに対して容易にルールのすきを突いてくる。トイレの成功にチョコレートの報酬を設定すれば、子供は一度のトイレで全部出しきらずに何度もチョコレートをせしめる戦略を覚えるのだ。
book

小島拓(著), 弁護士法人畑中鐵丸法律事務所(法律監修), 融資地獄 「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策

かぼちゃの馬車事件を題材として、サラリーマン大家の実態や融資地獄に陥った場合の対処法などを解説している。 根底にあるのは、本来は先祖代々の地主や資産家が行ってきた不動産投資に、知識も資産も銀行との取引実績もないサラリーマンが参入するという歪み。これには、日本銀行の方針による金融緩和を受けて生まれたサラリーマン大家向けの融資が大きく関係している。こうして、多くのサラリーマン大家が採算の取れない物件を掴まされ、融資地獄に陥っている。 後半の融資地獄に陥った場合の対処法も良い。「借...
book

ニック・ポータヴィー(著), 阿部直子(訳), 幸福の計算式 結婚初年度の「幸福」の値段は2500万円!?

幸福経済学の啓蒙書。心理学、精神医学 (精神神経免疫学) などの研究成果を根拠とした主観的な幸福度に関する研究の紹介が中心。 個人の消費活動が隣人と張り合う気持ちに左右されるというジェームズ・デューゼンベリーの相対所得仮説は、ミルトン・フリードマンの恒常所得仮説と相容れないこともあり、主流派経済学からは軽視されていた。しかしながら、金持ちはたいてい貧乏人よりも貯蓄率が高いのにすべての国民が豊かになっても平均貯蓄率が上がらないという現象をうまく説明できるのは相対所得仮説の方だ。...
book

クリス・ヒューズ(著), 櫻井祐子 (訳), 1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法

Facebookの共同創業者による自伝と保証所得の提案。 本書の多くの部分を占める自伝は、とてつもない成功体験に対する罪悪感が占めている。さほど裕福ではない家庭に生まれた著者は、マーク・ザッカーバーグのルームメイトになるという幸運 (著者は幸運を強調しているが、努力してハーバード大に入学し初期のFacebookで重要な役割を果たしているので、謙遜のし過ぎだとは思う) から巨万の富を得たが、これが現代の勝者総取り経済が内包する拡大力によるものであると述べる。 こうした経済の負の...