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長谷川裕雅, 磯野家の相続

入り組んだ大家族でありながら日本人ならば誰もが知っている磯野家を例題に据えた相続本。例題の力はやはり強力で、様々な相続の事例がすっと頭に入ってくる。中盤以降は磯野家があまり登場しなくなり、一般的な相続本のようになってしまっているのがやや残念。
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坂口一真, 1億円貯まったので、会社を辞めました。

日常の節約の小技が中心で、おそらく1億円を貯めるために必要であったであろう収入を伸ばす方法や資産運用の方法は記載がない。また、会社を辞めた理由もぼんやりとした説明のみで、その後の生活スタイルが今ひとつ見えてこない。
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ひさしApp, バカ売れアプリ生活 自作ゲーの集客とマネタイズぜんぶ教えます!

どうぶつスクールシミュレーターなどで有名なひさしAppによるアプリ開発指南本。アプリ開発の収入で生活することを前提に、徹底して収益化することにこだわった実践的な内容。細かなUIの改善ポイントからマネタイズの方法まで、包み隠さずに公開してくれているのは好感が持てる。また、アプリ開発につきものの爆死への対応方法 (爆死自体はまったく問題ない!) も参考になる。
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宮下規久朗, オールカラー版 欲望の美術史

食欲や愛欲といった人間の根源的な欲望に加えて、金銭欲の視点から美術史を眺めているのが興味深い。美術作品も社会に流通する商品であり、むしろ金銭に執着する芸術家の方が才能に恵まれ多産であることがよく分かる。
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藤野英人, 投資家が「お金」よりも大切にしていること

プロの投資家としての考えをまとめたもの。資産運用会社の経営者としての意見も多い。まずは様々な視点からお金持ちを肯定的に捉えていく。日本のヒーローには多くの公務員が含まれる (科学特捜隊、宇宙刑事、水戸黄門など) のに対し、アメリカのヒーローは基本的に民間人でその多くがお金持ちの実業家である (サンダーバード、バットマン、アイアンマン、チャーリーズ・エンジェル) という指摘は (例外を探せば色々と見つかるにせよ) 示唆に富む。その一方で、株式ポートフォリオゲームを用いた金融教育...
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垣谷美雨, 老後の資金がありません

タイトルからは実用的なお金の話もありそうな印象を受けるが、中身は完全な娯楽小説。お金に余裕がない主人公のネチネチとした心理の描き方は秀逸。中盤以降の超展開は衝撃的だが、そんな無理をせずにみみっちいお金の話一本で押しても良かったかもしれない。
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H・M・エンツェンスベルガー(著), 丘沢静也(訳), 小野寺舞(訳), お金の悪魔 フェおばさんの経済学レクチャー

小説仕立ての経済学本の定番である、経済をよく知る不思議な人物がお金のことを考えたこともない一般人にレクチャーするスタイル。所々に挿入されるお金に関する金言が興味深い。
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岡村恭資, 「アルティメット富裕層」という生き方 経済的な自由を手に入れた超お金持ち達の日常生活

表題にもなっている "アルティメット富裕層" とは、不動産に重点を置いた高資産を有する人とのこと。不動産収入は他の資産よりも安定している (この根拠は本書中では示されない) ために一般の富裕層とは区別しているとのことだが、著者本人が不動産で財を成したという理由が大きいように感じる。アルティメット富裕層に限定する必要があるかはわからないが、富裕層の感情はよく伝わってくる。何でも持つことができるとなると物欲がなくなる。逆に言うと、欲しい物があるうちは富裕層ではない。
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塚崎公義, 経済暴論 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体

暴論という表題だが、内容はかなりマトモ。エコノミストは、経済学者、予想屋、市場予想屋、トンデモ屋を含む広い名前。自称エコノミストを見るときは、どれであるかを考えながら話を聴くのがよさそう。筆者のバブルの見分け方は4つの基準。バブルではなく大丈夫とする理論の登場、景気が良いのにも関わらず金融緩和、今までに投資に興味がなかった人々が一斉に投資を始める (靴磨きの少年)、冷静に見られる外国の人間にバブルと考える人が多い。粉飾決算が起こるのは構造上の問題。ムラ社会では内部告発は起きに...
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林和人, 香港大富豪のお金儲け 7つの鉄則

香港大富豪層を相手にしてきた証券マンが見た彼らの考え方をまとめたもの。徹底的に目立つことを避けるLow Profileな生き方、すべての物事を利害関係でとらえる経済合理性、正しい知識による感情のコントロールなど、彼らに学ぶべきことはたくさんある。