politics

book

吉田一郎, 国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ!

世界中の奇妙な52ヶ国をピックアップした雑学本。 国ごと音信不通になったナウル共和国、女人禁制の聖山修道院自治州、領土を持たないマルタ騎士団などなど。これらをみていると、世界の国家という枠組みが実に危ういものに見えてくる。
book

江畑謙介, 安全保障とは何か 脱・幻想の危機管理論

まずは冷戦後の大きな紛争要因である資源問題や通商ルート問題を中心とした、現代の安全保障の構造の解説。冷戦中の東西ブロック構造から冷戦後の共同体を基盤とした構造への変化がよくわかる。 さらに、アジア・太平洋の安全保障を考える上で重要なプレイヤーとなる米国、中国、ロシアのそれぞれの思惑と戦力が分析されている。不明な点や比較が困難なパラメータはきちんとことわっているため、トンデモ率が低く抑えられているのは評価できる。
book

小室直樹, 論理の方法 社会科学のためのモデル

論理 (ロゴス) を使いこなすために必要なモデルの作り方を、多数の例を用いて説明している。そのモデルの例は、マルクスのモデルに始まり、経済学のモデル、ケインズ・モデル、一神教モデル、丸山真男教授の日本政治モデル、平泉澄博士の国史モデルと幅広く、小室先生の博識ぶりにいつもながら圧倒させられる。もちろん、小室先生の軽妙な語り口も健在。おすすめ。
book

ジェシカ・ウィリアムズ, 世界を見る目が変わる50の事実

途上国と先進国の格差を扱ったテーマが多い。「地雷によって毎時間一人は負傷している」、「拷問は一五〇カ国以上で行われている」、「世界では七人に一人が日々飢えている」など、ショッキングな数字が並ぶ。 読み物としては非常に興味深いが、100人の村 (の第二部) の様な政治色を少し感じる。この内容ならばやや左寄りになってしまうのは仕方がないのだろう。
book

鯖田豊之, 日本人の戦争観はなぜ「特異」なのか 日本と欧米の比較にみる戦争と人間の風土

肉食の思想と同じく40年前の本の復刊だが、これも全く古さを感じない。 鯖田先生の専門である西洋中世史の知識に基づき、欧米の戦争史を眺めることで、日本と欧米の戦争観の違いを探る。そもそもの近代国家の成立までの道のりが全く異なる以上、戦争観が食い違うのも当然のことのように思える。 また、後半は「死」の概念について、日本と欧米の違いを探っているがこれも興味深い。改めて、自分の死生観が日本人のものであることを認識する。
book

福原直樹, 黒いスイス

スイスという国は、日本ではなぜか非常に良いイメージでとらえられている。しかしながら、軍ヲタにとっては、先の大戦中のナチスとの関係などの強烈な負の側面をもって知られているのも事実だ。 本書は、先のナチスへの協力に加え、核計画やマネーロンダリングなど、スイスの負の面にスポットを当てている。さらに、毎日新聞外信部ブリュッセル支局長という立場を生かし、キーとなる人物へのインタビューを盛り込んでいるのも素晴らしい。
book

池田信夫, 電波利権

かつてNHK中の人だったこともあり、テレビ局の利権構造やNHKの内実などが非常によく描かれている。電波に関する本といえば技術に関するものが大半を占めている中、政治やビジネスの観点からまとめられた本書は評価できる。 技術的な知識なしでも読めるように配慮されているので、この分野の入門書としてもお勧めできる。
book

兵頭二十八, 別宮暖朗, 戦争の正しい始め方、終わり方 小さな戦争が大きな戦争を食い止める…

「戦争反対」が戦争を招くとして、欧州の戦史に沿った解説が行われているのは分かりやすい。 後半では北朝鮮の今後についても語られているが、現代軍事については他の論者の意見も合わせて読んだ方が良いかも。
book

ドネラ・H・メドウズ, デニス・L・メドウズ, 地球のなおし方

装丁をみると軽めのエコ本のようだが、中身は硬派。 環境汚染、資源の枯渇といった環境問題をそれぞれ単独でみるのではなく、全体をシステムとして捉えている。個々の問題にとらわれすぎることなく全体として何をするべきかを考えているのは実に興味深い。 また、地球のモデル化とコンピュータシミュレーション (明記されていないが、おそらくJay ForresterのWorld Dynamicsのモデルによるものと思われる) を行っているのも興味深い。技術や市場の力だけでは破綻を回避することがで...
book

河原俊昭, 山本忠行, 多言語社会がやってきた 世界の言語政策Q&A

新幹線の中で読破。2ページ見開きで完結するQ&A形式で、一つまた一つと読んでいるうちに読み切ってしまった。 言語と政治の関係の深さやドロドロした部分を改めて認識させられる一冊。お勧め。