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ケネス・S・ロゴフ(著), 村井章子(訳), 現金の呪い 紙幣をいつ廃止するか?

高額紙幣を廃止しレスキャッシュ (キャッシュレスではないことは再三言及されている) を実現することで、現金の犯罪利用を減らし、同時にマイナス金利などの金融政策が可能となるという主張。 平易な文章ながら専門的な議論もしっかりと押さえられており、データの裏付けも豊富。様々な公的調査を組み合わせる搦め手で現金がどのように利用されているかその実態をあぶり出しており、発行枚数と各家庭の実際の現金所有との大きなギャップから非合法な目的の現金利用を推定している。 高額紙幣の廃止によるレスキ...
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三木義一, 日本の税金 新版

直球のタイトルだが、その看板に偽りなし。 日本の税金がどのような仕組みで成り立っているかが高い視点から解説されており、小手先の節税本などとは一線を画している。即座に役に立つ本ではないが、税の基本を学ぶ教科書としておすすめできる。
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フランク・ディケーター(著), 中川治子(訳), 毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962

機密解除された公文書を丹念に精査し、大躍進政策の実態を明らかにした労作。 大躍進政策の期間の拷問・処刑死、餓死者の総計が4500万人以上にのぼるという推計には目を疑ったが、その丹念な調査過程を読み解いていくと、実に真っ当な推計だと納得させられる。中間人民共和国史を学ぶ上で、間違いなく必読と言える一冊だろう。 訳はあまりこなれておらず、学術的な記述が多いことと相まって、今ひとつ読みにくいのが唯一残念なところ。
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橘玲, 「リベラル」がうさんくさいのには理由がある

日本の「リベラル」の失敗してきた過程を辿り、世界標準のリベラリズムへ近づけるための提言を行っている。沖縄集団自決裁判から、集団的自衛権、テロと宗教など、幅広い実例を持ち出してのリベラルの振り返りは興味深い。
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スティーブ・フォックス(著), ポール・アーメンターノ(著), メーソン・トヴェルト(著), 三木直子(訳), マリファナはなぜ非合法なのか?

著者陣は、Marijuana Policy Project (MPP), the National Organization for the Reform of Marijuana Laws (NORML), Safer Alternative For Enjoyable Recreation (SAFER) の各団体の幹部クラスが揃い踏み。いずれもマリファナ合法化を目指している団体だが、きちんとしたエビデンスを重視した上で、平和的に合法化を狙っているのが特徴。 ではそのマリ...
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岩瀬昇, 石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門

三井物産で原油取引や石油開発に携わっていた著者による、石油や天然ガス業界の解説。 科学や軍事の視点は控え目で、ややビジネス寄り。油田開発や原油取引のビジネスの現場を基礎の基礎からしっかり解説してくれる。
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ポール・コリアー(著), 甘糟智子(訳), 民主主義がアフリカ経済を殺す

最底辺の10億人の続編的内容。 最底辺国の独裁者の視点に立って民主主義を取り入れる際のオプションを検討する思考実験は、見事に彼らの行動原理をあぶり出しており興味深い。 翻訳はあまり読みやすいものではなく、特に抽象度の高い部分はかなり苦しい。
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岡田壱花(作), 富田安紀子(画), 日之丸街宣女子

画はどことなく安永航一郎風味と思って調べてみたら、ファンロード出身者であったか。 マンガとして面白いかと言われると少々疑問ではあるが、啓蒙書としては比較的良いつくり。
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吉田一郎, 世界飛び地大全 不思議な国境線の舞台裏

世界飛び地領土研究会の書籍化。企画の勝利と言える作品で、数奇な運命を辿った数々の土地をその歴史と共に楽しめる。机上の調査のみの本で現地の訪問などはないが、その土地の歴史を俯瞰するための本なのであまり気にならない。また、この種の本にしては政治的な姿勢が中立なのも良い。 編集はかなり甘めで、あまり読みやすい本ではない点が残念。せめて文体くらいは統一して欲しい。地図も見やすいものではない。
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神山典士, 北朝鮮にスマッシュ。 ピンポンミステリーツアー

いわゆる北朝鮮入国記だが、ところどころに著者の作家魂が感じられる佳作。 後日の韓国訪問と併せて国境を両者の視点から眺める試みもなかなか。