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小島正美, こうしてニュースは造られる 情報を読み解く力

毎日新聞の編集委員が書いたリテラシー本。著者は環境や健康、食の問題を担当してきたこともあり、その方面の情報が中心。リテラシー本として見るとあまり新しい情報は無いが、マスコミ内部からこういった自己批判が出てきたことは評価できる。
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ジュリアン・バジーニ(著), 向井和美(訳), 100の思考実験 あなたはどこまで考えられるか

哲学の議論で用いられているものを中心に、思考実験を集めた本。帯には "これは「読む」本ではありません。「考える」本です。" とあるが、本数が多いのと各項の解説が淡白なため、やや読み飛ばし気味になってしまう。読み物としてみれば十分に面白い。
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荒井一博, 学歴社会の法則 教育を経済学から見直す

まずは表題ともなっている学歴社会の "法則" 。人的資本論やシグナリング理論といった主要な学説に加え、両親の学歴と子供の学歴の関係などをデータに基づいて論じる。このあたりは著者の専門分野でもあり、納得できる内容。後半は教育にまつわる雑多な話題をいくつか。経済学の視点からのバウチャー制度批判やいじめ対策、学級規模の最適化などは文献もきちんとしており非常に興味深い提言となっている。一方、著者の思い入れが感じられる英語教育論は個人的な経験に偏りすぎているように見える。随筆として読む...
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松原仁(編著), コンピュータ将棋の進歩

本棚を整理して発掘された1996年発行の幾分古い本だが、小谷善行による "コンピュータ将棋の今後" と題した予測が興味深いので紹介したい。この記事で小谷はコンピュータ将棋の棋力が最も強い人間 (最強の棋士) に達するのはいつ頃かを単純な外挿で予測しているが、結果としてこれが正解であった。コンピュータ将棋は1986年ごろにアマ10級程度の強さで始まり、この記事の描かれた1995年にはアマ2段近くの強さに達している。これはレーティングでは600と1700程度に相当するため、年率で...
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西尾泰和, コーディングを支える技術 成り立ちから学ぶプログラミング作法

現代のプログラミング言語で使われている各種の技術がどのように生まれてきたのかを歴史的な経緯から追っていく。最新の言語仕様だけを見ているとなぜこのような形となっているかわかりにくい機能も、どういった問題点に対する解決策として生まれてきたかを含めてみると腹落ちする。年配のプログラマからすると常識的と思われる様なことも多いが、それだけにわざわざ一冊の書籍としてまとめられているのは貴重。最新の言語からプログラミングの世界に入った人にはぜひ読んでもらいたい一冊。おすすめ。
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ジョエル・バーカー(著), 仁平和夫(訳), パラダイムの魔力 成功を約束する創造的未来の発見法

トーマス・クーンの著作を下敷きにしているが、著者の経験を生かした実例が豊富に加わっており非常に読みやすい。パラダイムが人間の思考をも支配してしまうことが良くわかる。
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岡田友輔, 鳥越規央, Student, 三宅博人, 道作, 蛭川皓平, 森嶋俊行, 高多薪吾, プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート 1

大きく二部構成のセイバーメトリクス本。前半は岡田友輔による12球団の2012年度シーズンの戦力分析 (完全に読む次期を逸してしまった) 。特典価値を重視した分析が特徴的。また、選手の年齢分布から数年後のチーム作りを見据えた補強戦略などを分析しているのも面白い。後半は雑多なセイバーメトリクス関連レポート集。高多薪吾による "日本シリーズ投手酷使史" はセイバーメトリクスかというとやや疑問な記事ではあるが、読み物としては文句なしに面白い。蛭川皓平の "年齢の変化と成績の関係" は...
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坂詰真二, やってはいけない筋トレ

比較的まともな筋トレ本。本格的なビルダー向けではなく、あくまでも細マッチョを目指す人が対象。内容は基礎的だが、初心者の勘違いしやすいポイントをよく押さえている。
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石井健一郎, 「情報」を学び直す

シャノンの情報理論の入門書。教科書と言うほど固くはなく、手軽に読める。情報工学を学んだ人にはあまり新しい情報は無いかもしれないが、百人一首 (競技かるた) の詠み札を例に挙げた解説は非常に分かり易く、一読の価値あり。
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ブライアン・ワンシンク(著), 中井京子(訳), そのひとクチがブタのもと

邦題だけを見ると軽めのダイエット本の様だが、中身は質実剛健。著者は食行動や食心理学、食マーケティングの専門家で、豊富な実験例を元に人間の食行動がいかに環境に左右されやすいものかを示してくれる。おすすめ。