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谷岡一郎, 図解 ツキの法則

基本的にはの内容をベースにしており、新しい情報はほとんどない。しかしながら、元が良書な上に多くの図版が加わったことではるかに読みやすくなっているため、これから初めて読む方はこちらの方がおすすめ。
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池谷裕二, 進化しすぎた脳

大脳生理学の研究者である著者が中高生に講義した内容をまとめたもの。興味を引くネタが山盛りで、科学に興味のある人間なら一気に読み切ってしまうはず。中高生向けの講義とはいえ、教科書的な内容ではなく、論文や雑誌から引っ張ってきている先端の話題が多く、知的好奇心を満足させてくれる。
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Ron Hale-Evans, 夏目大(訳), Mind パフォーマンス Hacks 脳と心のユーザーマニュアル

Mind Hacksの続編の様なタイトルだが内容は別物。最近増えているLife Hacks本の一種のようにも見えるが、そこはそれ、O'REILLYらしい硬派さ。一部に英語依存な箇所があるものの、ちょっとした工夫で日本語にも適用できそう。
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加藤英明, 山崎尚志, 野球人の錯覚

野球統計本。データスタジアムのデータを元に、いわゆる「流れ」論の検証を中心に行っている。リンゼイのモデルは既に盗塁やバントを行ったケースを含んでいるのでそのまま使えない、という指摘は面白いエラーや併殺が流れを変える (次回以降の得失点確率や平均得失点に影響を与える) ということが述べられているが、エラーがあるチームは元々守備が良くない傾向があり、併殺があるチームはたまたま守備が良かったり良い投手が投げている傾向があるというだけの様に思える。そのあたりをコントロールしたデータが...
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高野陽太郎, 鏡の中のミステリー

鏡に映った自分が上下は変わらないのに左右が逆転したように見える、という古典的な謎に答える本。従来述べられてきた仮説 (たとえば人間の体がほぼ左右対称なことに起因するという対称仮説など) がきちんとサーベイされ、それぞれの問題点もよくまとまっている。それらを踏まえて提唱される、筆者独自の多重プロセス理論は見事。人間が無意識のうちに、自身の鏡像と文字の鏡像を全く異なる座標系を用いて処理しているという事実は、指摘されるまでなかなか気づくものではない。
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左巻健男, 水はなんにも知らないよ

タイトルからもわかる通り、に対する見事な批判本。さらに同書の批判にとどまらず、水にまつわる怪しいビジネスの数々を痛快に斬ってくれる。また、水道水とミネラルウォーターの違いや、水のおいしさを決定する要因、浄水器の仕組みなど、水にまつわる話題が効率よく読めるのも嬉しい。おすすめ。
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エドゥアール・ロネ(著), 高野優(監訳), 柴田淑子(訳), 変な学術研究 2

変な学術研究 1の続編。今回は変な死に方にフォーカスしたものなので、ソースの多くが法科学や法医学の専門誌。テーマがテーマだけにさすがにちょっと気分が悪くなるところもあるが、エスプリのききすぎた文章にだいぶ救われている。
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谷岡一郎, データはウソをつく 科学的な社会調査の方法

いわゆるリサーチリテラシー本。一般向けの本のため色々と端折っているところがあるので教科書的に使える本ではないが、世の中で行われている社会調査のいい加減さを知るには良い本。所々に挿入されるいしいひさいちのマンガもいい味を出している。おすすめ。
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ダニエル・タメット, 古屋美登里(訳), ぼくには数字が風景に見える

サヴァン症候群の著者の自伝的内容。内容があまり起伏がなく淡々と綴られるため (これもアスペルガー症候群の症状に関係しているのかもしれない) 、退屈な箇所もあるが、彼らの考え方を知る上では非常に重要な書籍。著者を被験者とした脳の研究も進んでいるようなので、その成果は是非また読んでみたい。
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ジェームズ・R・チャイルズ, 高橋健次(訳), 最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

原発事故から航空機墜落まで、様々な巨大事故の事例を集めた本。最近方々で取り上げられている失敗学に近い考え方と思う。事例を読むだけでも参考になるのだが、やはりもう少し考えながら、自分の仕事と重ね合わせて読むべき本だろう。働くすべての人に読んで欲しい。おすすめ。