sociology

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中村淳彦, 日本の風俗嬢

前作に続き、風俗業界を扱ったドキュメンタリ。この業界に関する基礎知識はよくまとまっているので、一冊目として読むには悪くない。統計の少ない分野なので仕方ない部分もあるが、各種の数値の推定はさすがに大雑把すぎるか。
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本間龍, 名もなき受刑者たちへ 「黒羽刑務所 16工場」体験記

高齢者、障害者、オカマといった処遇不適格な受刑者が集まる黒羽刑務所16工場の内幕を綴った本。著者は用務者としてその運営に関わっていた方。読み物としての面白さもありながら、それ以上に社会問題としての問題提起が興味深い。治療も各種のケアもできない介護刑務所が結果として再犯を招いている実態はもう少し広く知られても良い。
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エリザベス・ダン(著), マイケル・ノートン(著), 古川奈々子(訳), 「幸せをお金で買う」5つの授業 HAPPY MONEY

白熱教室で取り上げられて話題になったらしい (そちらは観ていない) 幸福学の紹介。名前は精神論的な内容を連想させるが、実態は行動経済学に近く、実験的研究の裏付けもしっかりしている。自身の経験と照らしあわせてみても納得度が高い内容。
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仁藤夢乃, 女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち

JKお散歩やJKリフレの現場で働く女子高生へのインタビューを柱に据えたドキュメンタリ。インタビュー自体は非常に興味深く読ませる内容だが、女子高生に肩入れしすぎるあまりに真偽が不明な話を鵜呑みにしていたり、後半の議論がほぼインタビュー結果のみに頼ったものであるのがやや残念。
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西牟田靖, 本で床は抜けるのか

最初は "本で床は抜けるのか" という素朴な疑問から出発したドキュメンタリが、いつの間にか蔵書を巡る長い旅へ。特に結論や増え続ける蔵書への決定打が出るわけではないが、蔵書の扱いに困っている人間ならば共感を持って読めるのは間違いない。終盤は本論から外れた著者の家庭の事情が強く出る構成で、好みが分かれるところかもしれない。
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増井俊之, スマホに満足してますか? ユーザインタフェースの心理学

スマホに限定しない、ユーザインタフェース全般の小ネタ集。あまり体系だった本ではないが、コンピュータサイエンス分野の幅広い話題で楽しませてくれる。
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小国綾子, アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた

メジャーリーグの仕組みの情報は日本語でも手に入りやすくなってきたが、アメリカの少年野球の仕組みはなかなかまとまった情報がなく、知られることが少なかったように思う。本書はアメリカ駐在妻が息子を少年野球に送り込んだ際の生の情報が見事にまとまっている。アメリカは少年野球でもトライアウトがあって、という通り一遍の情報ではなく、我が子と共に試行錯誤しながら一歩づつ進んだ姿が見事に描かれているのが素晴らしい。アメリカで育った人々の思考の源泉に触れることができる。野球ファンならずとも、アメ...
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まついなつき, まさかわたしがPTA!?

PTA実体験マンガ。現場の実体験中心で、そもそものPTAの成り立ちや法的な位置づけについてはほとんど触れずじまい。それでも実態の一例としては興味深い。
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鈴木みそ, ナナのリテラシー (3)

シリーズ完結編。唐突な終わりに驚きつつあとがきを読むと打ち切りとのこと。みそ吉先生の出版社化など未回収のネタが残っているのは残念。今回の柱となっている表現問題への切り込みはさすが鈴木みそといったところ。娯楽作品として成立させながらも、問題から目をそらさずに論じている点が素晴らしい。
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ロバート・D・ヘア(著), 小林宏明(訳), 診断名サイコパス 身近にひそむ異常人格者たち

心理学の専門家によるサイコパスの解説書。事例が豊富で、サイコパスと一口に言っても実際は幅広い人々が含まれていることがよく分かる。読み物としてもなかなか。