sociology

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尾崎浩一, 危ない! 共同出版 夢を食い物にする錯覚商法

集団訴訟で話題になった新風舎の共同出版商法の糾弾本。被害者側に大きく肩入れしているため、全編を通して新風舎憎しの論調であり、客観性はない。無知なままに共同出版契約を結ぼうとしている著者に注意喚起するという目的は達成されているが、ルポタージュとしての質は低い。新風舎側の人間へのインタビューは、新風舎に嫌気がさして退職した元社員のみ。一番の見所は、その退職者から入手したとされる営業マニュアル。この種の詐欺に遭う人々がどういったキーワードに反応するかは興味深い。
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堤未果, ルポ 貧困大国アメリカ

アメリカが抱える問題は数多くあるが、それらをすべて貧困という切り口で扱ったルポタージュ。映画 "SiCKO" で有名となった医療費の問題、国民病とも言える肥満問題、災害による経済難民問題、貧困の連鎖の犠牲者となる若者たち、戦争の民営化の犠牲者となるワーキングプア、すべてが貧困と密接な関係がある。米国に拠点を置く著者らしく、豊富なインタビューも魅力。
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中村敏雄, メンバーチェンジの思想 ルールはなぜ変わるか

中村敏雄の著作には、いつも自分のスポーツに対する無知を気付かされる。いくら現行のルールに基づいた戦術の良し悪しや個々の選手の技能を論じたところで、そのスポーツの成立した背景やその背後にある文化を知らなければただ虚しいだけとなる。本書はそのスポーツの歴史や思想に真っ向から切り込んだ論考をまとめたもの。現代の表面だけのスポーツジャーナリズムに満足できない方にはぜひ手に取っていただきたい。
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子安大輔, ラー油とハイボール 時代の空気は「食」でつかむ

外食系コンサル本。事例分析が中心なのは良いのだが、分析が後付け的なものばかり。さらりと目を通す読み物としては及第点。
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西口敦, 普通のダンナがなぜ見つからない?

著者はコンサル出身で、現在はオーネットのマーケティング部長を務めている方。女性対象の本だが、男性が読んでも面白い。数値やデータはどこからか拾い集めたものが中心で見たことがあるものも多いが、全体的に読み物としては悪くない。
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中村敏雄, スポーツの見方を変える

スポーツの高度化ばかりに注力し大衆化が軽視されてきた日本の姿を皮切りに、近代スポーツの本質や体育との違いを論じる。スポーツ文化を語る人は多々あり、Jリーグ立ち上げ後はスポーツと地域社会の関わりに踏み込んだ本も多いが、本書はそれらとはまた違った高度化と大衆化という対立軸を提供する。最終章の、競泳を例に挙げたスポーツや体育のあり方は、近代スポーツの限界をはっきりと自覚させてくれる好例。様々な報道で取り上げられる競泳はまるで水泳の代表の様な顔をしているが、実は水泳の様々な要素のうち...
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門倉貴史, 雇用クライシス取材班, リストラされた100人 貧困の証言

派遣切りに遭った人々、内定を取り消された学生、リストラされた正社員、ワーキングプア、貧困ビジネス等の近年話題となっている事例のケーススタディが中心。週刊誌的な興味はそそられるが、それ以上の深い考察は感じられない。
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ちきりん, ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法

Chikirinの日記に大幅に加筆修正して単行本化したもの。"ゆるく" と言いながらその実きちんとしたポリシーが感じられるのは読んでいて気分がいい。
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青砥恭, ドキュメント高校中退 いま、貧困がうまれる場所

著者は公立高校の教諭出身の研究者であり、豊富なフィールドワークによる実例が並べられている。あまりにリアルな高校中退の実例の数々は、読むだけで虚しさがこみ上げてくる。高校中退によって生じる貧困は、決して本人だけの問題ではなく環境要因が大きいことが良くわかる。家庭の事情により基本的な生活習慣を確立することができず、小学校低学年で勉強について行けなくなり、そこからの復帰手段がないままずるずると高校中退となる多くのケースを見せられると、著者の主張するサポート体制の強化や高校の義務教育...
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平井寿信, 3.11東日本大震災 君と見た風景

言戯の管理人が震災後に一気に書き下ろしたコミックエッセイ。比較的被害の軽かった山間部や仙台市内が舞台なので、本格的に被災した人々の生活ではなくその周辺の様子が中心。それでも、被災地から離れた場所に住んでいる人間は体験しなかったことも多い。