sociology

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西原理恵子, 西原理恵子×月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気

元夫の鴨志田穣がアルコール依存症に陥った経験を持つ西原理恵子によるアルコール依存症という病気の紹介。今回はお笑いは一切無し。言ってしまえば "アルコール依存症は病気であるので専門家による正しい対処が必要" というメッセージが繰り返されるだけだが、それだけアルコール依存症が病気として認識されていないということの裏返しだろう。
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宮本弘之, お金持ちのお金はなぜなくならないの?

野村総研での金融コンサルの仕事を通じて出会ったお金持ちたちの生態を描いた一冊。残念ながらお金持ちになる方法はスコープ外だが、彼らの金融資産ポートフォリオや財産への考え方は実に興味深い。
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高橋紳吾, サイコパスという名の怖い人々 あなたの隣りにもいる仮面をかぶった異常人格者の素顔とは

本書で取り上げられている異常犯罪の事例は興味深いが、その考察は後付け的に見えてしまう部分が多い。これは本書に限らず、精神医学系の本の多くに言えることだが。
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岡崎昂裕, 自己破産の現場

著者は長年信販会社で債権管理・回収に携わっていた方。クレジットの法的な問題や社会的な位置付けについては専門外と言うこともあり踏み込みが浅いが、債権管理の立場から見た実エピソードの数々は実に興味深い。
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尾崎浩一, 危ない! 共同出版 夢を食い物にする錯覚商法

集団訴訟で話題になった新風舎の共同出版商法の糾弾本。被害者側に大きく肩入れしているため、全編を通して新風舎憎しの論調であり、客観性はない。無知なままに共同出版契約を結ぼうとしている著者に注意喚起するという目的は達成されているが、ルポタージュとしての質は低い。新風舎側の人間へのインタビューは、新風舎に嫌気がさして退職した元社員のみ。一番の見所は、その退職者から入手したとされる営業マニュアル。この種の詐欺に遭う人々がどういったキーワードに反応するかは興味深い。
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堤未果, ルポ 貧困大国アメリカ

アメリカが抱える問題は数多くあるが、それらをすべて貧困という切り口で扱ったルポタージュ。映画 "SiCKO" で有名となった医療費の問題、国民病とも言える肥満問題、災害による経済難民問題、貧困の連鎖の犠牲者となる若者たち、戦争の民営化の犠牲者となるワーキングプア、すべてが貧困と密接な関係がある。米国に拠点を置く著者らしく、豊富なインタビューも魅力。
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中村敏雄, メンバーチェンジの思想 ルールはなぜ変わるか

中村敏雄の著作には、いつも自分のスポーツに対する無知を気付かされる。いくら現行のルールに基づいた戦術の良し悪しや個々の選手の技能を論じたところで、そのスポーツの成立した背景やその背後にある文化を知らなければただ虚しいだけとなる。本書はそのスポーツの歴史や思想に真っ向から切り込んだ論考をまとめたもの。現代の表面だけのスポーツジャーナリズムに満足できない方にはぜひ手に取っていただきたい。
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子安大輔, ラー油とハイボール 時代の空気は「食」でつかむ

外食系コンサル本。事例分析が中心なのは良いのだが、分析が後付け的なものばかり。さらりと目を通す読み物としては及第点。
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西口敦, 普通のダンナがなぜ見つからない?

著者はコンサル出身で、現在はオーネットのマーケティング部長を務めている方。女性対象の本だが、男性が読んでも面白い。数値やデータはどこからか拾い集めたものが中心で見たことがあるものも多いが、全体的に読み物としては悪くない。
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中村敏雄, スポーツの見方を変える

スポーツの高度化ばかりに注力し大衆化が軽視されてきた日本の姿を皮切りに、近代スポーツの本質や体育との違いを論じる。スポーツ文化を語る人は多々あり、Jリーグ立ち上げ後はスポーツと地域社会の関わりに踏み込んだ本も多いが、本書はそれらとはまた違った高度化と大衆化という対立軸を提供する。最終章の、競泳を例に挙げたスポーツや体育のあり方は、近代スポーツの限界をはっきりと自覚させてくれる好例。様々な報道で取り上げられる競泳はまるで水泳の代表の様な顔をしているが、実は水泳の様々な要素のうち...