sociology

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中村敏雄, メンバーチェンジの思想 ルールはなぜ変わるか

中村敏雄の著作には、いつも自分のスポーツに対する無知を気付かされる。いくら現行のルールに基づいた戦術の良し悪しや個々の選手の技能を論じたところで、そのスポーツの成立した背景やその背後にある文化を知らなければただ虚しいだけとなる。本書はそのスポーツの歴史や思想に真っ向から切り込んだ論考をまとめたもの。現代の表面だけのスポーツジャーナリズムに満足できない方にはぜひ手に取っていただきたい。
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子安大輔, ラー油とハイボール 時代の空気は「食」でつかむ

外食系コンサル本。事例分析が中心なのは良いのだが、分析が後付け的なものばかり。さらりと目を通す読み物としては及第点。
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西口敦, 普通のダンナがなぜ見つからない?

著者はコンサル出身で、現在はオーネットのマーケティング部長を務めている方。女性対象の本だが、男性が読んでも面白い。数値やデータはどこからか拾い集めたものが中心で見たことがあるものも多いが、全体的に読み物としては悪くない。
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中村敏雄, スポーツの見方を変える

スポーツの高度化ばかりに注力し大衆化が軽視されてきた日本の姿を皮切りに、近代スポーツの本質や体育との違いを論じる。スポーツ文化を語る人は多々あり、Jリーグ立ち上げ後はスポーツと地域社会の関わりに踏み込んだ本も多いが、本書はそれらとはまた違った高度化と大衆化という対立軸を提供する。最終章の、競泳を例に挙げたスポーツや体育のあり方は、近代スポーツの限界をはっきりと自覚させてくれる好例。様々な報道で取り上げられる競泳はまるで水泳の代表の様な顔をしているが、実は水泳の様々な要素のうち...
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門倉貴史, 雇用クライシス取材班, リストラされた100人 貧困の証言

派遣切りに遭った人々、内定を取り消された学生、リストラされた正社員、ワーキングプア、貧困ビジネス等の近年話題となっている事例のケーススタディが中心。週刊誌的な興味はそそられるが、それ以上の深い考察は感じられない。
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ちきりん, ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法

Chikirinの日記に大幅に加筆修正して単行本化したもの。"ゆるく" と言いながらその実きちんとしたポリシーが感じられるのは読んでいて気分がいい。
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青砥恭, ドキュメント高校中退 いま、貧困がうまれる場所

著者は公立高校の教諭出身の研究者であり、豊富なフィールドワークによる実例が並べられている。あまりにリアルな高校中退の実例の数々は、読むだけで虚しさがこみ上げてくる。高校中退によって生じる貧困は、決して本人だけの問題ではなく環境要因が大きいことが良くわかる。家庭の事情により基本的な生活習慣を確立することができず、小学校低学年で勉強について行けなくなり、そこからの復帰手段がないままずるずると高校中退となる多くのケースを見せられると、著者の主張するサポート体制の強化や高校の義務教育...
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平井寿信, 3.11東日本大震災 君と見た風景

言戯の管理人が震災後に一気に書き下ろしたコミックエッセイ。比較的被害の軽かった山間部や仙台市内が舞台なので、本格的に被災した人々の生活ではなくその周辺の様子が中心。それでも、被災地から離れた場所に住んでいる人間は体験しなかったことも多い。
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西川潤, データブック 食料

食料をテーマにした冊子だが、農業と畜産がほぼ全てを占めており、水産はほんの付け足し程度。また、全体的に悲観的なトーンに偏っている点や、現代の農業とは切り離せない経済の問題も申し訳程度にしか触れられていないのがやや難。それでも、世界の農業を俯瞰できる内容となっており、トンデモ度も低めで資料も充実しているので、この分野を学ぶ一冊目として読むには悪くない。
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丸山健二, 田舎暮らしに殺されない法

定年退職後の田舎暮らしを考えている人たちをひたすら批判する本。概ね正論だが、さすがに少々脅かしすぎではないかという気はする。また、田舎暮らしそのもの以外に、そこに至るまでの人生をも持ち出して説教してくるので、叱られ慣れていない人は読まない方が良いかもしれない。