sociology

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高橋洋一, さらば財務省! 政権交代を嗤う官僚たちとの訣別

高橋洋一が小泉・竹中改革に携わっていた頃の話が中心。まさに "抵抗勢力" との対立真っ盛りの時期を描いているので、官僚システムの負の部分がよく分かる。当時の大きな動きの原因と結果を直接的に繋げて見せてくれるので非常に読みやすいのだが、それが逆に他の多くの要素を切り捨ててしまっていないかが気になる部分がある。あくまで高橋洋一個人の視点からの回顧であることには注意が必要。
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清水浩, 脱「ひとり勝ち」文明論

電気自動車Elicaの開発者による本だが、技術よりももう少しメタなお話。あまりに良いことばかりが書いてあるのでつい疑ってみたくなるが、納得させられる部分も多い。脱「ひとり勝ち」の考え方は、本書中でも触れられている通り、のストーリーに通じるものがある。
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高橋久仁子, フードファディズム メディアに惑わされない食生活

フードファディズム批判本。内容は概ね真っ当だが、食料自給率を無批判に取り上げている箇所が見られたり、本論との関係が薄い男女共同参画に丸々一章を割いていたりするのは疑問。
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谷岡一郎, はじめての刑法入門

著者買いだが、他の著書に比べると少々キレがないか。雑多に盛り込みすぎで、散漫な印象。この著者ならば、賭博罪あたりに絞って一冊書いてしまった方が魅力的だったのではないか。
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東浩紀, 北田暁大, 東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム

東京の光景から現代思想を覗いてみようという対談本。お二人の本を読むのは初めてで思想背景がよく分かっていないせいかもしれないが、その場の思いつきで主観を話しているようにしか感じられない。東京の各所に対する印象も私とは大きく異なる。
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高橋洋一, 日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える

高橋先生の新刊。少々断定的すぎるように見えるのと、一冊に多くのネタを詰め込みすぎているのが難だが、相変わらず切れ味鋭い内容。現在の民主党政策に関する部分も多いので、賞味期限中にどうぞ。
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浅川芳裕, 日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率

自給率という指標が様々な問題を抱えているというのは周知の通り。本書の前半はその様に問題のある指標が生み出された背景として、農水省の利害を指摘している。後半は少しポジティブな話題で、日本農業の強さと将来の展望を扱う。この手の話題では避けて通れない食料安全保障の問題もきちんと扱われており好感が持てる。食糧事情に少しでも興味のある方には自信を持っておすすめできる。
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久保大, 治安はほんとうに悪化しているのか

治安が悪化しているというのは近頃よく耳にするが本当のところはどうなのか、という本。公開情報である犯罪白書を少し注意して読むだけで、様々なカラクリが見えてくる。リテラシ本としても上々。
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齊藤正明, 会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ

実際にマグロ船で働いた人が書いた本の様に見えるが、実は40日ほどマグロ船に見学者として乗り込んだだけ。とはいえ、それでもマグロ船の人々の言葉にはいくつか気付きがある。普段あまり接点のないマグロ船の生活も興味深い。
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山田昌弘, 結婚の社会学 未婚化・晩婚化はつづくのか

少し古い本だが、内容はまだ古くなっていない。結婚難の原因をハイパーガミーと経済の低成長化に求めるという議論は今読んでも新鮮。