sociology

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冷泉彰彦, 「関係の空気」 「場の空気」

最近とみに語られることの多い "空気" というものに真っ向から挑んだ一冊。特に "空気" と権力の関係という視点からの分析には納得できる部分が多い。
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高橋洋一, 竹内薫, 鳩山由紀夫の政治を科学する (帰ってきたバカヤロー経済学)

帰ってきたバカヤロー経済学という副題が付いているが、今回は政治のお話がメイン。前作では諸事情から名前を出せなかった高橋洋一先生も、今回は実名で登場。政権奪取後の民主党の動きを見ていると支離滅裂に見えるときがあるが、"支持層のための政治" という視点で見ると (それが日本の国益にかなうかは別として) 実に首尾一貫していることがよくわかる。おすすめ。
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高橋秀実, からくり民主主義

マスコミで良く取り上げられる現場の "現地民の日常の空気" を取材したお話が中心。諫早湾干拓、上九一色村、沖縄米軍基地、若狭湾原発、富士青木ヶ原樹海などマスコミ報道を見ていると大騒動に感じられる場所でも、現地に行ってみると案外醒めているというのはよくある話なのだろう。
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神永正博, 学力低下は錯覚である

世間で良く語られる "ゆとり教育による学力低下" 論がきちんとしたマクロデータで検証されている。学力低下の主原因はゆとり教育ではなく少子化、理工系離れは女子の進学率向上が原因で男子の理工系学生は減っていない、といったあたりは言われないとなかなか気付かないもの。良くある論説に騙されないためのリテラシー本としてもおすすめ。
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アレックス・バーザ(著), 小林浩子(訳), ウソの歴史博物館

古今東西の世間を騒がせてきたウソを集めたもの。いわゆる hoax の類が中心で、読んでいて爽快なのが嬉しい。
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河岸宏和, “食の安全” はどこまで信用できるのか 現場から見た品質管理の真実

著者は畜産を中心に、食肉処理場から食品工場、大手スーパーまでを経験された方。食品流通の暴露話はやっぱり面白い。流通側の視点から "コンビニエンスストアの食品ほど安全なものはない" という言葉が出てくるのは示唆に富む。コンビニ弁当は対面販売の食品と比較して、真空冷却後のチルド輸送などの温度管理やpH管理がきちんとなされていること、衛生管理体制が整っていること、大量生産をする必要があるため毎日原材料から作り上げていること、などは言われてみれば納得の内容。
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川井龍介, これでも終の住処を買いますか

日本の住宅環境にケチをつける本。個別事例がほとんど脈絡なく挙げられているだけで、日本の住宅はこうあるべきという芯の通った主張が感じられないが、住宅の専門家ではない新聞出身のジャーナリストなので仕方がない。読み物としてはそこまで悪くない。
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上原善広, 被差別の食卓

自身も「むら」出身である著者が、世界の被差別民のソウルフードを訪ねて旅する。この難しいテーマを扱いながらも読後感が悪くないのは著者の筆力のおかげか。
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郷田マモラ, サマヨイザクラ 裁判員制度の光と闇 (上) (下)

タイムリーな裁判員マンガ。欲張って色々と詰め込みすぎている感はあるが、裁判員制度の闇という主題がしっかりしているため、一気に読めてしまう。
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草下シンヤ, 裏のハローワーク

怪しげな職業の取材をまとめた本。テーマがテーマだけにゴシップ的な内容だが、気軽に読むには申し分ない。