sociology

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東浩紀, 北田暁大, 東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム

東京の光景から現代思想を覗いてみようという対談本。お二人の本を読むのは初めてで思想背景がよく分かっていないせいかもしれないが、その場の思いつきで主観を話しているようにしか感じられない。東京の各所に対する印象も私とは大きく異なる。
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高橋洋一, 日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える

高橋先生の新刊。少々断定的すぎるように見えるのと、一冊に多くのネタを詰め込みすぎているのが難だが、相変わらず切れ味鋭い内容。現在の民主党政策に関する部分も多いので、賞味期限中にどうぞ。
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浅川芳裕, 日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率

自給率という指標が様々な問題を抱えているというのは周知の通り。本書の前半はその様に問題のある指標が生み出された背景として、農水省の利害を指摘している。後半は少しポジティブな話題で、日本農業の強さと将来の展望を扱う。この手の話題では避けて通れない食料安全保障の問題もきちんと扱われており好感が持てる。食糧事情に少しでも興味のある方には自信を持っておすすめできる。
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久保大, 治安はほんとうに悪化しているのか

治安が悪化しているというのは近頃よく耳にするが本当のところはどうなのか、という本。公開情報である犯罪白書を少し注意して読むだけで、様々なカラクリが見えてくる。リテラシ本としても上々。
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齊藤正明, 会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ

実際にマグロ船で働いた人が書いた本の様に見えるが、実は40日ほどマグロ船に見学者として乗り込んだだけ。とはいえ、それでもマグロ船の人々の言葉にはいくつか気付きがある。普段あまり接点のないマグロ船の生活も興味深い。
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山田昌弘, 結婚の社会学 未婚化・晩婚化はつづくのか

少し古い本だが、内容はまだ古くなっていない。結婚難の原因をハイパーガミーと経済の低成長化に求めるという議論は今読んでも新鮮。
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冷泉彰彦, 「関係の空気」 「場の空気」

最近とみに語られることの多い "空気" というものに真っ向から挑んだ一冊。特に "空気" と権力の関係という視点からの分析には納得できる部分が多い。
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高橋洋一, 竹内薫, 鳩山由紀夫の政治を科学する (帰ってきたバカヤロー経済学)

帰ってきたバカヤロー経済学という副題が付いているが、今回は政治のお話がメイン。前作では諸事情から名前を出せなかった高橋洋一先生も、今回は実名で登場。政権奪取後の民主党の動きを見ていると支離滅裂に見えるときがあるが、"支持層のための政治" という視点で見ると (それが日本の国益にかなうかは別として) 実に首尾一貫していることがよくわかる。おすすめ。
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高橋秀実, からくり民主主義

マスコミで良く取り上げられる現場の "現地民の日常の空気" を取材したお話が中心。諫早湾干拓、上九一色村、沖縄米軍基地、若狭湾原発、富士青木ヶ原樹海などマスコミ報道を見ていると大騒動に感じられる場所でも、現地に行ってみると案外醒めているというのはよくある話なのだろう。
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神永正博, 学力低下は錯覚である

世間で良く語られる "ゆとり教育による学力低下" 論がきちんとしたマクロデータで検証されている。学力低下の主原因はゆとり教育ではなく少子化、理工系離れは女子の進学率向上が原因で男子の理工系学生は減っていない、といったあたりは言われないとなかなか気付かないもの。良くある論説に騙されないためのリテラシー本としてもおすすめ。