sociology

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川又三智彦, 二極化ニッポン

最近、かなりの数の破綻本が出版されている。しかし、その多くは、あまりに話が飛躍しすぎていたり、煽るだけ煽って特定の金融商品へ誘導しようとしていたり、ただのトンデモ本だったりと、正直読むに耐えない。そんな中、比較的まともに読めたのが本書。論理の飛躍も少なく (まったくないとは言わない) 、データの裏付けも類似本の中ではかなりまとも。繰り返される官僚批判がちょっと鼻に付くが (これはツカサのウィークリーマンションの立ち上げ時に許認可が得られなかった恨みも含まれていると思う) 、主...
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小倉千加子, 結婚の条件

現在の結婚難、またそれが引き起こす少子化現象について、女性の生の声を中心に語られる。特に女学生の生の声が (収集の段階で大きくバイアスがかかっているにしろ) 多数おさめられているのはおもしろい。エッセイ形式なので、あまり数値的な裏付けは触れられない。実例やインタビュー、雑誌へのツッコミを中心に語られるので、あまり厳密さを期待せずに読み物として楽しむべき本。とはいえ、内容的には実感しているものと近い部分も多々ある。特に本書全体を通じて、表現を変えながら繰り返し語られる、少子化を...
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溝上憲文, 超・学歴社会

採用にあたって学歴不問と明言する企業も多いわけだが、それがタテマエであることは多くの人が勘付いていることだと思う。そんな現状をとらえ、実際にはまだまだ学歴信仰が根強く残っていることを示した本。具体的にどうあるべきかという提案や、将来学歴の扱いがどう変化していくかについてはほとんど触れていない。あくまでも現在、学歴は一定の地位を保っているという重い事実を示すだけである。大学進学を控えた高校生あたりにぜひ読んでもらいたい本。人事関係者のインタビューはソースもわからずどこまで信頼し...
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倉田真由美, 山崎元, ダメだ!この会社 わが社も他社も丸裸

共著の体裁になっているが、メインは山崎さんの方。くらたまファンの方には物足りないかもしれない。ダメ会社を身も蓋もなく斬りまくる。実に痛快。就職活動中の学生さんに是非読んでもらいたい。事例は金融業界中心だが、他の業界にも当てはまる処世術やノウハウも盛りだくさん。もちろん、今の職場を見つめ直したい向きにもお勧め。
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烏賀陽弘道, Jポップとは何か 巨大化する音楽産業

いつの間にか生まれ、気がついたら定着していた、Jポップという言葉。しかし、これだけ広く浸透しているにもかかわらず、誰もがきちんと定義できない言葉。そんな不思議なJポップを、音楽産業の視点から分析していく。よくあるJポップの音楽評論は隅に追いやり、あくまでも産業として分析していく姿勢は斬新。音楽がアナログ (生演奏+レコード) からデジタル (シンセサイザ+CD) へ変化していく中で何が起きていたのか、なぜ見渡す限りタイアップの音楽ばかりになってしまったのか、といったJポップが...
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苅谷剛彦, なぜ教育論争は不毛なのか

複数の媒体に発表した原稿をまとめた本なので、雑多な印象があるが、主張はきちんと一本通っている。従来の教育論争で取り上げられている、ゆとり対詰め込みや、右対左といった対立軸にとらわれ過ぎることなく、社会階層による教育格差の問題をあぶり出している点がすばらしい。
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吾妻ひでお, 失踪日記

吾妻ひでお先生が、自身の失踪、ホームレス、自殺未遂、アル中と転げ落ちていった体験を漫画で綴る。テーマがテーマだけに悲壮な内容となってもおかしくないところを、ほとんどギャグ漫画にしてしまうところが吾妻先生のすごいところ。所々に、窃盗を思わせる表現がみられたりアレなところもあるが、そこさえ目をつむればお勧め。
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D.A.ノーマン, テクノロジー・ウォッチング ハイテク社会をフィールドワークする

で有名なノーマン先生の本。専門の認知工学だけでなく、もっと広い意味でのテクノロジーとのつきあい方について独自の視点から切り込んでいる。なぜ人は二度と見ることのない学芸会のビデオを撮るのか、デザインは進化とどう違うのか、など、門外漢にも興味深く読めるトピックも多く含まれている。おすすめ。
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河原俊昭, 山本忠行, 多言語社会がやってきた 世界の言語政策Q&A

新幹線の中で読破。2ページ見開きで完結するQ&A形式で、一つまた一つと読んでいるうちに読み切ってしまった。言語と政治の関係の深さやドロドロした部分を改めて認識させられる一冊。お勧め。
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伊田広行, スピリチュアル・シングル宣言 生き方と社会運動の新しい原理を求めて

正直言って、何が言いたいのかさっぱりでした。全てが抽象的すぎて。やっぱり普段読まないジャンルの本は厳しいです……。