sociology

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烏賀陽弘道, 「朝日」ともあろうものが。

ネットに普及に伴い、朝日新聞をはじめとするマスコミ各社への批判を見聞きすることが確実に増えた。その中で、偏向報道や妙な特権意識、捏造記事などの問題は一通り知っているつもりでいたが、このような内部からの告発はやはり迫力が違う。文章も構成もよく練られている。お勧め。
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ウォルター・ブロック, 橘玲(訳), 不道徳教育

リバタリアン (自由原理主義者) である著者が、「自由」とは何であるかを語るため、あえて本来は不道徳と思われる者たちを擁護する。売春婦、麻薬密売人、恐喝者、ダフ屋、闇金融、幼い子どもをはたらかせる資本家等は、現代社会では不道徳と見なされているが、リバタリアンの視点から見ればどれも何の問題もない人間同士の自発的な取引に過ぎない。 本書は橘玲氏のカラーが強く出た一冊となっている。翻訳はかなりの超訳で、日本の現状に合わせた大幅な改版をおこなっている (例えばSlandererとLi...
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多賀敏行, 「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった

文藝春秋やふらんすに掲載された原稿に書き下ろしを加えた、誤訳や誤解に関するエピソード集。 表題にもなっている、日本人批判とされる言葉の誤解がおもしろい。ウサギ小屋、日本人は12歳、エコノミック・アニマル、これらの言葉は日本人批判として知られているが、本来は否定的な意味を持っていなかった。これらの言葉がなぜ誤解されるに至ったのか、ECの報告書、マッカーサーの上院答弁などの原典にあたり検証している。これらの誤解は、相手の言語に対する知識不足や発言背景への理解不足が元で生まれ、一人...
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パオロ・マッツァリーノ, 反社会学の不埒な研究報告

前作のに比べ、落語やコント形式など少々凝った構成のものが目立ちすぎているものの、その他は相変わらずの軽妙な文体がすばらしい。 ネタも、真面目と不真面目のバランス感覚が見事。特にGDPのいい加減さへのツッコミは的確で、お勧め。
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古森義久, 井沢元彦, 稲垣武, 朝日新聞の大研究 国際報道から安全保障・歴史認識まで

朝日新聞の偏向ぶりについては、いろいろなところで取り上げられているのでご存じの方も多いかと思う。その具体例をまとめた本。 大研究というタイトルが付いているものの、過去の捏造や偏向報道のまとめが大半を占めており、もう少し研究の名に値する様な掘り下げが欲しいところ。読み物としては十分におもしろいのだけれど。
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ベンジャミン・フルフォード, 日本マスコミ「臆病」の構造

日本のマスコミがそれほど立派なものではないというのは、みんな薄々勘付いていることだと思う。どの新聞にも似たような記事ばかりだし、差別問題などタブーとして扱われずにスルーされる話題も多々ある。 日本マスコミがなぜそんな現状に陥っているのか、外国人記者という利点を活かして暴露した本。記者クラブなどのよく取り上げられる問題点に加え、新聞に書けない記事が週刊誌や海外の新聞へリークされる構造など、マスコミの背景に切り込んでいるのは非常に興味深い。メディアリテラシーの向上にもつながる一冊...
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川又三智彦, 二極化ニッポン

最近、かなりの数の破綻本が出版されている。しかし、その多くは、あまりに話が飛躍しすぎていたり、煽るだけ煽って特定の金融商品へ誘導しようとしていたり、ただのトンデモ本だったりと、正直読むに耐えない。 そんな中、比較的まともに読めたのが本書。論理の飛躍も少なく (まったくないとは言わない) 、データの裏付けも類似本の中ではかなりまとも。 繰り返される官僚批判がちょっと鼻に付くが (これはツカサのウィークリーマンションの立ち上げ時に許認可が得られなかった恨みも含まれていると思う) ...
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小倉千加子, 結婚の条件

現在の結婚難、またそれが引き起こす少子化現象について、女性の生の声を中心に語られる。特に女学生の生の声が (収集の段階で大きくバイアスがかかっているにしろ) 多数おさめられているのはおもしろい。 エッセイ形式なので、あまり数値的な裏付けは触れられない。実例やインタビュー、雑誌へのツッコミを中心に語られるので、あまり厳密さを期待せずに読み物として楽しむべき本。 とはいえ、内容的には実感しているものと近い部分も多々ある。特に本書全体を通じて、表現を変えながら繰り返し語られる、 少...
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溝上憲文, 超・学歴社会

採用にあたって学歴不問と明言する企業も多いわけだが、それがタテマエであることは多くの人が勘付いていることだと思う。 そんな現状をとらえ、実際にはまだまだ学歴信仰が根強く残っていることを示した本。具体的にどうあるべきかという提案や、将来学歴の扱いがどう変化していくかについてはほとんど触れていない。あくまでも現在、学歴は一定の地位を保っているという重い事実を示すだけである。大学進学を控えた高校生あたりにぜひ読んでもらいたい本。 人事関係者のインタビューはソースもわからずどこまで信...
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倉田真由美, 山崎元, ダメだ!この会社 わが社も他社も丸裸

共著の体裁になっているが、メインは山崎さんの方。くらたまファンの方には物足りないかもしれない。 ダメ会社を身も蓋もなく斬りまくる。実に痛快。就職活動中の学生さんに是非読んでもらいたい。事例は金融業界中心だが、他の業界にも当てはまる処世術やノウハウも盛りだくさん。もちろん、今の職場を見つめ直したい向きにもお勧め。