subculture

book

大原利雄, 命からがら 誰も行けない温泉

既に表紙が出オチな温泉ガイド。そもそも観光地化されていない温泉には様々なリスクがある。辿り着くことが困難な場所にあったり、熊の生息地であったり、噴火の危険があったり、有毒ガスが溢れていたり。そんな温泉だけを選んで出かけようという物好き振りが素晴らしい。
book

小林章, 欧文書体 その背景と使い方

欧文書体の解説書は数あれど、書体の成り立ちの根幹である平筆によるカリグラフィから本気で解説してくれるものは珍しい。書体デザインはもちろんのこと、欧文組版の不思議なルールの数々もその根幹を辿ると極めて合理的に発展してきたことがよく分かる。おすすめ。
comic

和田依子, バーサス! 和田依子作品集 (1)

普通のOLから転身してきたマネージャーとAV女優の奮闘劇。今ひとつ感情移入しにくいタイプの主人公ではあるが、マンガとしてはよくまとまっている。元々アフタヌーンの連載なので、性的な表現はかなり控え目。
book

大槻ケンヂ, サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法

大槻ケンヂの自伝的なもの。これを読んでサブカルで食えるようになるかというと疑わしいが、エッセイとしてみれば良質。新書一冊で出た結論が、サブカルで食うのに必要なのは実家と月15万という身も蓋もない内容。素晴らしい。
book

なかむらるみ(絵・文), おじさん図鑑

町中の "おじさん" を観察し、イラストで紹介する企画本。一部のコラムを除き、あくまで外見的な観察のみで中身にまで踏み込んでいないので、話半分で。軽い読み物としては上々の出来。
book

丸山学, 先祖を千年、遡る 名字・戸籍・墓・家紋でわかるあなたのルーツ

静かなブームとなっている家系図作成の入門書。新書ということもあってほんのさわりだけだが、読み物としてはなかなか面白い。各種史料や現地状況の調べ方など、調査を疑似体験しているような気分になってくる。現代の戸籍調査の具体的な方法などがもう少し細かく補足されているとなお親切だったか。
book

石井光太, ニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死

在日外国人にスポットを当てたルポタージュ。著者が過去に海外の貧困をテーマに掲げたノンフィクションを書いていたのと関係するのかもしれないが、在日外国人一般ではなく貧困層を選択的に取材している様に感じる。それらを週刊誌的な記事と割りきって眺めるのには良い。
book

佐谷恭, パクチーハウス東京, みんなで作るパクチー料理

パクチーハウス東京のレシピ本。もちろんすべてのレシピがパクチーを使ったもの。パクチー料理で一番問題となるのがやはりパクチーの入手なのだが、パクチーの種子を配布するパクチー銀行といったプロジェクトも始められており至れり尽くせり。
book

久保象(文), ホリユウスケ(漫画), ドラッグの教科書

表題だけ見るとドラッグ全般を扱った本に見えるが、実際は大麻中心。著者が大麻推進派である以上、大麻の良いことしか書かれていないので、教科書と呼ぶには若干心許ない。しかしながら、随筆的な読み物としては十分に楽しめる。挿絵代わりのホリユウスケの漫画、"彼女はジャンキー" もなかなか。
movie

テッド

話題作を観に行くのは悔しいが、この作品テッドは大当たり。強いて難をあげるなら、アメリカ文化を共有していないために笑えない箇所が多いくらい。フラッシュ・ゴードンあたりが限界か。字幕は相当な意訳でごまかしていたが、よくここまで仕上げたものだと思う。星一徹やくまモンまで出てきたのにはさすがに苦笑したが。