中村敏雄, オフサイドはなぜ反則か

オフサイドのルールは本来不合理なものです。相手のゴールにボールを入れるのが目的のゲームでありながら、相手のゴール近くで待ち構えるという有利な戦術をとってはいけないというのですから。例えば、オフサイドのないバスケットボールでは、ボールを奪った後、最前線にいる味方へパスを出す速攻は最大の得点機です。しかし、現実にはサッカー、ラグビー、アメリカンフットボールなど、英国のフットボール起源のゲームの多くがオフサイドのルールを持っています。

その有利な戦術をとってはいけない理由について、子供の頃誰かに「相手ゴール前に待ちかまえるているのは卑怯者のすることだから禁止しているのだ」と聞いたか読んだ記憶があります。同じような理屈を聞いたことのある人も多いでしょう。しかし、ことはそれほど単純ではなく、この本では英国フットボールの起源までさかのぼった調査を行っています。

この本ではオフサイドに焦点を当てていますが、オフサイドに限らずスポーツのルールには不明な点が多くあります。例えば、なぜアメリカン・フットボールのタッチ・ダウンは6点なのか、陸上競技のトラックはなぜ400メートルなのか、なぜ野球のスリーバントに失敗するとアウトになるのか。それらのルールの疑問を追うことで、そのスポーツをより深く理解することができると思います。

ところで、以前も書いたような気がしますが、なぜ平凡社ライブラリーって文庫のくせに高いんでしょう。この本も1,300円もしますし。内容は十分に値段以上だと思うのですが、文庫の装丁でこの値段はちょっとアレな気もします。

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