各種漫画やドラマでも取り上げられている将棋奨励会の悲喜を綴ったドキュメンタリー。こういうのを読むと、きちんと積み重ねてきた業界の重みというものを感じる (麻雀業界でここまで深いドキュメンタリーが書かれるのはいつの日か……) 。
ちょっと気になったのが、エピローグで触れられていた、アマチュアとプロの差がかつてないほどに縮まってきているという現象。例えば、瀬川晶司という元奨励会会員のアマチュアがプロを相手に7人抜きを演じ、またプロ棋士がそれを驚きなく受け入れているという事実。
ネット将棋の普及に加えて、奨励会の過剰な競争のために本来ならプロ棋士になるべき才能が流出しているのもその原因の一つといえるのではないかということ。奨励会からプロへの門が極端に狭いのは、プロ棋士の権益を守るという点では合理的なシステムだが、別の面からみると消極的であり、優秀な新人を取りこぼすリスクをはらんでいる。
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