飯田泰之, 雨宮処凛, 脱貧困の経済学 日本はまだ変えられる

経済学という表題がついているが、実際は経済談義とでも言うべき対談本。

対談本という形式の限界もあるのだろうが、テーマに掲げている貧困の定義自体がやや揺らいでいる。あるときは低所得の人々全般を指しているかの様でもあり、またあるときは労働者の中では少数派の非正規雇用労働者だけを対象としているようにも読める。また、因果関係も不明な箇所が多い。例えば、貧困の原因が小泉政権による構造改革であることが当然の様な口調だが、構造改革はるか前の1980年代から非正規雇用者比率やジニ係数が増加し続けている原因は触れられない (他の著作には書いてあるのかもしれないが、特に参考文献などは示されていない) 。

とはいえ、その種の対談の勢い故の細かいアラを抜きにすれば、読み物としては面白い。ソース不明な話も多く、鵜呑みにするのは危険だが、ネタ拾いとしても有用。

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