いわゆるFIREムーブメントを推奨する本で、明確にFIREを打ち出した本の中では最も売れている本だろう。
かなりの部分が自伝的な内容。中国の貧しい地域出身でカナダへ移民した家族という出自もあり、徹底してお金のリアルを追求している。専攻を選択する際に得られる超過給与と学費の比率であるPay-over-Tuition (POT) スコアを重視するなど、自らの情熱よりも期待できる収入に従う姿勢はその最たるものだろう (POTスコアに優れたコンピュータ・エンジニアリングの学位を取るために大学に行くことを “心躍る体験ではありません” と書かれているのはその分野の専門家としては少々複雑だが、著者の興味が元々創作やライティングにあったので仕方がないだろう)。
投資の部分は極めてオーソドックスな内容。インデックス投資と債権を組み合わせ、さらに生活防衛資金としての現金を保持することを推奨している。ただし、根底にあるのが伝統的な4%ルールであり、生活防衛資金による現金クッションを考慮してもリスクが残る点には注意が必要。
子供を持つ親のFIREに関する記述もある。費用面の試算は妥当なものだが、ワールドスクーリングに傾倒しているのは少々割り引いて読んだほうが良いかもしれない。
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