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中川基, ニセモノ食品の正体

インジェクションビーフや代用魚など、偽装食品とまでは言わないまでもホンモノとは言い難い様な食品を集めたカタログ本。解説は中立的で、この種の本にありがちな "添加物=悪" といった短絡的な思考や無意味な自然信仰などはほとんど見られない。ニセモノ食品の長所である破棄の削減やコスト低減と短所である栄養バランス等の問題の双方がきちんと押さえられており、好感が持てる。
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グレッグ・クライツァー(著), 竹迫仁子(訳), デブの帝国 いかにしてアメリカは肥満大国となったのか

装丁は軽めだが内容は硬派。米国が肥満社会となるまでの過程を、農業行政、ファストフード業界、食品業界、教育界と多くの視点から丹念に追いかけていく。現状に至った要因は単一のものではなく、様々な原因が絡まり合っていることがよく分かる。肥満のリスクに関する記述も十分。
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津田信, 幻想の英雄

小野田寛郎のやその元となった雑誌連載のゴーストライターによる暴露本。原著は入手困難だが全文がWebで公開されているので、そちらを少し加工してKindleで読んだ。暴露本だけにあまり上品な内容ではないが、英雄視されがちな人物の本当の姿を描いたという点は価値がある。本書のために新たな取材をした様には見えず、裏が取れていない推測が多く見られるのが残念。
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中村敏雄, 日本的スポーツ環境批判

本作の主題はスポーツ環境。中でも日本の部活環境の論考に多くのページを割いている。日本人の多くが当然と感じている部活によるスポーツ活動を客観的に見直すという視点は新鮮。部活の存在理由や公的役割が曖昧なまま、もぐらたたき的な対策だけを繰り返している現状への批判は実に的確。おすすめ。
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畸人研究学会, しみったれ家族 平成新貧乏の正体

"しみったれ家族" とは、いわゆるニュープアを拡張したような概念で、"所得に不相応な見栄を張る層" と "夜間に家族でディスカウントショップに来店する層" を合わせたもの。あまり学術的なフィールドワークをしているようには見えないので、あくまでも読み物としてどうぞ。
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松本圭司, チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ

B級グルメ本だが、チェーン店に絞ったところがミソ。良さそうなメニューが見つかったら気軽に近場で試せる。カラーページ数の抑制の都合からか、写真のレイアウトが妙なのが残念。
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こうざいきよ, 財布の中身 inside of your secret life

様々な人の財布の中身を見せてもらおうという企画本。見開きの写真に一言コメントが付くスタイル。作者の交友関係からか対象はかなり偏っており、若い学生が中心で年配の方は少なめ。この種の本は数十年後に資料価値が出てくる気がする。
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太田あや, 東大合格生のノートはどうして美しいのか

ノートの取り方の解説本。表題通りの東大生のものを中心に、ノートの実物を多数収録。400冊以上のノートを集めたという労作だが、肝心の分析は浅め。一応、東大生のノートに見られる法則は挙げられているものの、主観的な基準が多い上に対照群がないので東大生のノートに特有の法則かは分からない。
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安島太佳由, 日本戦跡を歩く

日本全国の戦跡を巡り写真を撮り続けた労作。特に掩体壕への愛は素晴らしい。現存している戦跡は全国に散らばっているため、なかなか気軽に見に行けるものが少ないのは残念。2002年の発行のため、幾つかは既に失われている点にも注意。
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マーサ・スタウト(著), 木村博江(訳), 良心をもたない人たち 25人に1人という恐怖

米国では人口の4%を占める (アジアではこれよりもだいぶ少ない) と言われるSociopath/Psychopathの実態。心理セラピストとしての経験から得られた実際のエピソードを基にしており、Sociopath/Psychopathの行動原理が非常によく分かる。また、彼ら/彼女らに振り回されないための13のルールも実に興味深い。