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渡辺仁, 起業バカ

近頃の起業ブームの中、その影の部分を、実例を交えて解説。著者自身のものも含めて、多数の起業失敗事例がおさめられている。起業はこういった事例を知ってなお燃えてくる様なタイプでないとつとまらないのかも、と思う。 特に、フランチャイズ参加の失敗事例が興味深い。脱サラ後の独立の選択肢としてフランチャイズへの参加はよく挙げられる。しかし、その実体は全面的に本部が有利な契約内容や杜撰な売上予想など多くの問題を抱えている (すべてのフランチャイズがそうだとは思わないが) 。 ところで、本書...
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土屋賢二, われ笑う、ゆえにわれあり

一冊まるまる屁理屈と高度にひねた笑いとが続く。じつにくだらない (褒め言葉) 。いわゆる読者を選ぶ本なのだが、わかる人には絶対のお勧め。 ……哲学者って、みんなこんな人なのか?
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ジョン・アレン・パウロス(著), 望月衛, 林康史(訳), 天才数学者、株にハマる

著者は数学者だが、数学のみならず投資家の心理をも踏まえて市場の様々な問題を解き明かす。中でも、著者自らがずるずるとワールドコム株に入れ込んでしまった過程などは、多少なりとも株式投資をしたことのある人ならば共感できるもの。 なお、具体的な株式投資の方法については全く触れられていないので、そういった手っ取り早い方法を求める向きにはお勧めできない。
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森達也, 職業欄はエスパー

前作のと同じく、テレビドキュメンタリーを元にしたノンフィクション。 清田益章、秋山真人、堤裕司といった有名超能力者を取材対象としているが、その超能力の真偽には触れない。超能力の真偽をテーマとしてしまうと、結局は信じるか信じないか、超能力の定義とは何か、といったところに終始してしまうばかりで、そんな企画は他にいくらでもある。 本書の興味深いところは、そういった泥沼的な論争ではなく、超能力者として生きることを選択した人々の生活にスポットを当てていること。特に、11歳の頃からテレビ...
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日垣隆, それは違う!

日垣隆氏が、あの「買ってはいけない」批判で名を上げた一冊。 「買ってはいけない」批判に加え、環境ホルモン、ダイオキシンといった、環境問題に関するある種ファッショ的な風説を切りまくる。それらの問題をただ頭ごなしに否定するのではなく、きちんと資料の原典にあたる科学的な姿勢をもって検証している点は評価できる。 ただし、まれに冷静さを失ったり、挑発的な発言を行うところは少々いただけない。本書でも一章を割き「諸先輩からの罵詈雑言集」として、他者からの (レベルの低い) 反論に対していち...
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クリス・ヘッジズ, 伏見威蕃(訳), 本当の戦争 すべての人が戦争について知っておくべき437の事柄

戦争についてのQ&Aが437個、淡々と続く。思想や政治的な話には全く触れず、あくまでも戦争についての客観的な事実だけが並べられる。 軍事について普段から積極的に情報を追っている人間には既知のことも多いと思われるが、そうでない人間が基本的な事実を押さえるにはお勧めの一冊。ただし、項目の多くは本書が出版された米国及び米軍に依存した内容であり、他国の状況とは異なっている可能性があることは十分に注意する必要がある。
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久保田和幸, 狛犬探訪 埼玉の阿・吽たち

最近マイブームの狛犬、しかも埼玉。ピンポイントで狙われてしまったので購入。 まずは "狛犬私考" と題して、狛犬の分類方法についての私案や狛犬のルーツなどが示されている。ここは埼玉とはあまり関係なく、狛犬一般の話なので、埼玉以外の狛犬ファンにもお勧めできる内容。 続いて、本書のメインディッシュと言える、"埼玉の狛犬たち" 。埼玉県内の代表的な狛犬たち、珍しい狛犬たちを、写真付き見開き2ページづつで。川越や加須といった狛犬どころについては、お勧め巡回コースが示されているのもうれ...
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烏賀陽弘道, Jポップとは何か 巨大化する音楽産業

いつの間にか生まれ、気がついたら定着していた、Jポップという言葉。しかし、これだけ広く浸透しているにもかかわらず、誰もがきちんと定義できない言葉。そんな不思議なJポップを、音楽産業の視点から分析していく。 よくあるJポップの音楽評論は隅に追いやり、あくまでも産業として分析していく姿勢は斬新。音楽がアナログ (生演奏+レコード) からデジタル (シンセサイザ+CD) へ変化していく中で何が起きていたのか、なぜ見渡す限りタイアップの音楽ばかりになってしまったのか、といったJポップ...
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小林信彦, 素晴らしい日本野球

既に絶版になっている短編集をamazon.co.jpのマーケットプレイスで購入。 表題作の「素晴らしい日本野球」と「素晴らしい日本文化」は実に下らなくも素晴らしい作品。しかし、他の作品は世代の違いもあり背景を共有できておらず、今ひとつ共感もできず。
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スティーヴン・ウェッブ(著), 松浦俊輔(翻訳), 広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由

なぜいまだに宇宙人が見つからないのか? 実際ここに地球人がいるのだから、他に宇宙人がいてもいいはずなのに、という古典的な問題に対する仮説を大真面目にまとめた本です。 50の仮説は、実は来ている存在するがまだ連絡がない存在しないに大きく分類されます。1番はちょっとトンデモな風味ですが読みものとしてはおもしろく、2番と3番は現実的な回答、といったところでしょうか。全体的に、宇宙科学一般やSFについてがっちりした知識がないとかなりツラい本ですが、そこを越えられる方には絶対のお勧めで...