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烏賀陽弘道, Jポップとは何か 巨大化する音楽産業

いつの間にか生まれ、気がついたら定着していた、Jポップという言葉。しかし、これだけ広く浸透しているにもかかわらず、誰もがきちんと定義できない言葉。そんな不思議なJポップを、音楽産業の視点から分析していく。よくあるJポップの音楽評論は隅に追いやり、あくまでも産業として分析していく姿勢は斬新。音楽がアナログ (生演奏+レコード) からデジタル (シンセサイザ+CD) へ変化していく中で何が起きていたのか、なぜ見渡す限りタイアップの音楽ばかりになってしまったのか、といったJポップが...
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小林信彦, 素晴らしい日本野球

既に絶版になっている短編集をamazon.co.jpのマーケットプレイスで購入。表題作の「素晴らしい日本野球」と「素晴らしい日本文化」は実に下らなくも素晴らしい作品。しかし、他の作品は世代の違いもあり背景を共有できておらず、今ひとつ共感もできず。
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スティーヴン・ウェッブ(著), 松浦俊輔(翻訳), 広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由

なぜいまだに宇宙人が見つからないのか? 実際ここに地球人がいるのだから、他に宇宙人がいてもいいはずなのに、という古典的な問題に対する仮説を大真面目にまとめた本です。50の仮説は、実は来ている存在するがまだ連絡がない存在しないに大きく分類されます。1番はちょっとトンデモな風味ですが読みものとしてはおもしろく、2番と3番は現実的な回答、といったところでしょうか。全体的に、宇宙科学一般やSFについてがっちりした知識がないとかなりツラい本ですが、そこを越えられる方には絶対のお勧めです...
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苅谷剛彦, なぜ教育論争は不毛なのか

複数の媒体に発表した原稿をまとめた本なので、雑多な印象があるが、主張はきちんと一本通っている。従来の教育論争で取り上げられている、ゆとり対詰め込みや、右対左といった対立軸にとらわれ過ぎることなく、社会階層による教育格差の問題をあぶり出している点がすばらしい。
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吾妻ひでお, 失踪日記

吾妻ひでお先生が、自身の失踪、ホームレス、自殺未遂、アル中と転げ落ちていった体験を漫画で綴る。テーマがテーマだけに悲壮な内容となってもおかしくないところを、ほとんどギャグ漫画にしてしまうところが吾妻先生のすごいところ。所々に、窃盗を思わせる表現がみられたりアレなところもあるが、そこさえ目をつむればお勧め。
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チャールズ・エリス, 敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのか

"敗者のゲーム" という言葉が、この本の内容を的確に表している。本書では "敗者のゲーム" を説明するのにテニスを例に挙げている。つまり、プロのテニスはミスを犯さずどちらかが強力なショットを打ち込むことで勝ちをつかみ取る "勝者のゲーム" であるのに対し、アマチュアのテニスは自らのミスによる失点が多い方が敗北する "敗者のゲーム" である。資産運用 (マネーゲーム) は最近の数十年で "勝者のゲーム" から "敗者のゲーム" へと変貌を遂げている。これは、多くのプロフェッショ...
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D.A.ノーマン, テクノロジー・ウォッチング ハイテク社会をフィールドワークする

で有名なノーマン先生の本。専門の認知工学だけでなく、もっと広い意味でのテクノロジーとのつきあい方について独自の視点から切り込んでいる。なぜ人は二度と見ることのない学芸会のビデオを撮るのか、デザインは進化とどう違うのか、など、門外漢にも興味深く読めるトピックも多く含まれている。おすすめ。
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ウィリアム・パウンドストーン(著), 松浦俊輔(訳), パラドックス大全

古今東西の有名なパラドックスを集めた本。論理のトレーニング用にもいいかも。読むだけでもおもしろいけど、グルー=ブリーンの逆説など、ちょっと冗長でテンポが悪く感じられる部分もあるのが残念。
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大崎善生, 将棋の子

各種漫画やドラマでも取り上げられている将棋奨励会の悲喜を綴ったドキュメンタリー。こういうのを読むと、きちんと積み重ねてきた業界の重みというものを感じる (麻雀業界でここまで深いドキュメンタリーが書かれるのはいつの日か……) 。ちょっと気になったのが、エピローグで触れられていた、アマチュアとプロの差がかつてないほどに縮まってきているという現象。例えば、瀬川晶司という元奨励会会員のアマチュアがプロを相手に7人抜きを演じ、またプロ棋士がそれを驚きなく受け入れているという事実。ネット...
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泉昌之, 新さん

やっぱり、泉昌之は良い。