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岡本健太郎, 山賊ダイアリー (3)

前巻同様、淡々とした猟師生活が綴られるだけなのだが、これが実に面白い。ネタの面白さに加えて、生き物へのリスペクトや遵法精神の高さなどが端々から感じられるのも一因か。
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網野善彦, 古文書返却の旅 戦後史学史の一齣

東海区水産研究所月島分室で蒐集していた全国各地の漁村の古文書を返却する旅をテーマにしたエッセイ。その多くが (著者の責任でないものもあるたとはいえ) 借用期間を過ぎているもののため、懺悔の旅となるのだが、それでも関係者の温情に助けられる様子が描かれている。史学のフィールドワークの現場を知る上でも非常に興味深い一冊。
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福地誠, 「牌効率」入門ドリル76

初心者向けの牌効率本。4枚麻雀から始まり、徐々にステップアップしていく構成。地味ながら良書で、中上級者が基礎を見直す上でも役に立つだろう。冒頭と巻末には桐島いつみのマンガもあるがやや大人し目。こちらはもう少し毒があっても良かったか。
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西村賢太, 小銭をかぞえる

いつも通りの私小説。今回は同棲中の女性とのエピソードが中心。毎回読む度に嫌な気分になるのだが、それでも次々と読んでしまうのはなぜだろう。
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ビートたけし, 達人に訊け!

ビートたけしと各界の第一人者との対談集。ゲストは多くの分野に渡っているが、インタビュアーとしてのビートたけしは素晴らしい仕事を見せている。所々にユーモアを交えながらも茶化すことなく、専門家へのリスペクトが感じられるのが良い。
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中川基, 本当にコワい? 食べものの正体

前著のニセモノ食品の正体がなかなかの良書だったのでこちらも。前作同様、中立を意識した論考で好感が持てる。紙幅の都合もあってか各項の情報はやや浅目な点は注意が必要。自分で調べ物をする前提で読むのがおすすめ。
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西牟田靖, 本で床は抜けるのか

最初は "本で床は抜けるのか" という素朴な疑問から出発したドキュメンタリが、いつの間にか蔵書を巡る長い旅へ。特に結論や増え続ける蔵書への決定打が出るわけではないが、蔵書の扱いに困っている人間ならば共感を持って読めるのは間違いない。終盤は本論から外れた著者の家庭の事情が強く出る構成で、好みが分かれるところかもしれない。
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久松達央, キレイゴトぬきの農業論

著者は久松農園の設立者。農業論という表題が付いているが、経営論半分、随筆半分といったところ。小規模農家の関係者には非常に参考になる部分が多い様に思う。
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伊藤計劃, ハーモニー

虐殺器官が良かったのでこちらも。虐殺器官とは世界観を共有しているものの、それ以上の繋がりは薄い。どちらかというとライトノベル寄りの作品で、いわゆるセカイ系に分類されるのかもしれない。その種の作品を嫌っていないのならば十分に楽しめる佳作。文中に仕込まれた仕掛けも見事。
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九井諒子, ダンジョン飯 (1) (2)

1990年代の国産TRPGテイストが漂うマンガ作品。一発ネタかと思いきや、料理のディティールを描き切ることでリアリティを生み出し、連載に耐える仕上がりになっている。あの時代のTRPGファンには間違いなくおすすめできる。