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業田良家, 独裁君

表紙を見れば一目瞭然、あの方をモデルにしたギャグ四コマ。 風刺もきいていてなかなか面白いのだけれど、中に数本、ギャグなしで独裁国家を描いた作品が挿入されているのが強烈。ギャグマンガのつもりで読んでいたら不意をつかれてエラい目にあった。
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内藤誼人, すごい!ホメ方 職場で、家庭で、恋愛で…相手を思うままに操る悪魔の心理術

コミュニケーションにおいて、相手をホメるのが大事というのはよく言われるのだが、では具体的にどうすれば良いのかというのはあまり語られることがない。 本書はそんなホメ方を取り上げた本で、何となくデキる気分にさせてくれる。
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キース・デブリン(著), ゲーリー・ローデン(著), 山形浩生(訳), 守岡桜(訳), 数学で犯罪を解決する

米国のドラマ、NUMB3RSのネタを中心に、犯罪捜査に用いられている数学を解説する。今までも、科学捜査に関する本などは出ていたが、数学に着目した本は珍しい。 単純な統計処理に止まらず、変化点検出、画像エンハンス、ベイズ推論、社会ネットワーク構造、ゲーム理論など、様々な数学世界を見せてくれるので全く飽きない。 もちろん、NUMB3RSを観ていない人間にも十分に楽しめる様に工夫もされている。お勧め。
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田端到, 図解 プロ野球「新・勝利の方程式」 「送りバント」と「守備力」が優勝を決める

統計分析に関する部分はほとんどが既存のセイバーメトリクスの技法をそのまま適用しているだけで新味はあまりない。また、著者は統計学の知識がないため、前著同様に極端にサンプル数の少ない事例で断定的な解釈をしてしまっている箇所が多く、有意水準などは一切出てこない。 落合監督の先発ローテーションなど、所々に面白い観点はあるのだが、思いつきレベルで終わっており、まともな検証までたどり着いていないのが残念。
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トム・ヴァンダービルト(著), 酒井泰介(訳), となりの車線はなぜスイスイ進むのか? 交通の科学

ちょっとあざとい新書のようなタイトル (原題は "Traffic: Why We Drive the Way We Do (and What It Says About Us)") の交通工学の本。 ドライバーの心理に根ざした内容が多く、同じ "トラヒック" でありながらも、自分の専門とする通信トラヒック工学とは全く異なるアプローチが必要となるのが興味深い。
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ウィリアム・パウンドストーン(著), 松浦俊輔(訳), 天才数学者はこう賭ける 誰も語らなかった株とギャンブルの話

クロード・シャノンやエドワード・ソープといった天才数学者が如何にして最適な裁定取引を実現するに至ったかを追った本。数式はほとんどなく、どちからといえばドキュメンタリーといった体裁だが、現代的な金融工学に繋がる流れはよく捉えられる。 翻訳が今ひとつで少し読みにくいが、それを差し引いても読む価値のある本だと思う。
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平林純, 論理的にプレゼンする技術 聴き手の記憶に残る話し方の極意

前著の理系のためのプレゼンのアイディアが比較的良かったのでこちらも読んでみた。本当に基礎中の基礎からの本だが、意外と出来ていないことが多いのに気付かされる良書。にしかわたくのイラストも面白い。
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安村敏信, 美術館商売 美術なんて…と思う前に

板橋区立美術館の学芸員の方の著作。 美術館、特に日本の古美術品となるとかなり敷居が高く、なかなか訪れる機会もないのだが、その中の人がどんな工夫をして客を呼び込もうとしているのかがよくわかる。もっとも、ここまで高い意識を持って、一般の人々への普及を心がけている人がどれだけいるのかはわからないが。 あまり食わず嫌いをせずに、たまには美術館に足を運んでみようかと思わせる一冊。
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小島寛之, 世界を読みとく数学入門 日常に隠された「数」をめぐる冒険

気軽に読める数学本だが、ただの雑学本よりはもう少しがっちりした内容。数式もそれほど端折られていないので、まじめに読むと少し骨がある。
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香西秀信, 論より詭弁 反論理的思考のすすめ

理工系な職場にいると、ついつい論理的思考に偏ってしまうが、それを自覚するのには良い本。 本書は論理的思考を真っ向から批判し、レトリックを用いた "人に訴える議論" を論じる。その技巧だけを見ると当たり前のことばかりにも見えるが、論理的思考にどっぷりと浸かっていると、その使用をためらわれるものも多い。