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書皮友好協会(監修), 日本のブックカバー

書店でかけてもらえるブックカバー (書皮) のカタログ。昔通った懐かしい書店のカバーも、見覚えがないものも、眺めているだけでノスタルジックな気分に浸れて幸せ。 とはいえ、今や私も書店で書籍を購入することはめっきり減っており、この本ももう少し経つと貴重な "史料" となってしまうのだろう。
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松原隆一郎, 堀部安嗣, 書庫を建てる 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト

巻頭の美しい写真に、本書の価値のほぼすべてが詰まっている。 本好きならば一度は夢想する書庫を本当に体現してしまったのは、ただただ羨ましい。それでも狭小住宅であるがために、庶民にももしかしたらという夢を抱かせてくれる。 なお、目の前の蔵書を整理する助けにはまったくならないので、その方面のヒントを探している方はご注意を。
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ナンシー関, ナンシー関全ハンコ5147

タイトルそのままの全ハンコ集。 下手に細々した解説など入れずに、ただただハンコだけを並べた構成が潔い。
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猪本典子, あてによし

写真重視のレシピ本。 写真は確かに美しく、眺めている分には楽しいが、実用的かというと少々疑問。盛り付けのサンプル集として見た方が良いかもしれない。
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FAMA(編集), P3 art and enviroment(翻訳), 柴宜弘(監修), サラエボ旅行案内 史上初の戦場都市ガイド

旅行案内の体裁でサラエボの戦場の現実を紹介した本。紛争中の1994年の出版 (原著は1993年) 。 皮肉の効いた解説と力のある写真の組み合わせが見事。
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今和泉隆行, みんなの空想地図

空想で地図を創りあげるという贅沢な遊び。 色川武大の "ひとり博打" に見られるような箱庭愛を見事に昇華させ、地図の形で結実させてくれた。実在の街の写真イメージを組み合わせ、その街の手触りまでを必死に伝えようという姿勢に頭が下がる。 著者が子供の頃から描き続けてきた地図の数々を "パンツを脱いで" 紹介する姿勢も素晴らしい。地図創りの根幹を支えているフィールドワークのノウハウも惜しみなく公開してくれている。 大判地図を収録するためのちょっと凝った装丁も実に良い。
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木村泰司, 名画は嘘をつく

西洋美術の名作によくある誤解を扱った雑学本。 ボリュームは軽めだが、西洋美術に詳しくない向きには十分な情報量。フルカラーなのも嬉しい。
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北大路魯山人(著), 平野雅章(編), 魯山人の美食手帖

魯山人の食エッセイ。後半は陶芸の話題も少々。 やや日本賛美が行き過ぎるのと名指しでの批判が引っかかるが、そこに目をつむれば食への見識はさすがと感じる。
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トーマス・トウェイツ(著), 村井理子(訳), ゼロからトースターを作ってみた

この "ゼロから" は、自然の中にある材料から、という意味。鉄鉱石を精錬し、マイカ (雲母) を引き剥がし、銅を電解精錬し、とバカバカしくも見事な企画。何気なく使っている安価な家電製品が世界中の様々な工業的プロセスに依存していることに気付かせてくれる。 著者はRoyal College of Artの学生で、卒業制作としてこのプロジェクトに取り組んだとのこと。学生故の準備不足や無計画さが目に付き、所々やむなく初心を曲げてしまっている個所もあるが、そういった細かい点を吹き飛ばす...
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谷口ジロー, 千年の翼、百年の夢

ルーブル美術館を舞台に夢と現の間を飛び回りながら、その歴史の重みを感じさせてくれる。 ルーブル美術館という尻込みしてしまうような題材を描き切る谷口ジローの筆致も見事。