biography

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いしいひさいち, 現代思想の遭難者たち

現代思想をある程度分かっていないと楽しめないネタが多い。 枠外に解説が付いているものの、それを読まないと理解できないというのはマンガとして成り立っていない様な気がする。
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飯田進, 地獄の日本兵 ニューギニア戦線の真相

太平洋戦争中にニューギニア戦線に携わった著者により語られるその実態。当時の日本軍の南方での兵站が破綻していた様子がリアルに伝わってくる。 著者の実体験に各種記録や手記の調査を加え、ニューギニア戦線各所の凄惨な事実がまとめられている。専門の学者ではないこともあり資料を素直にまとめただけだが、やはり当事者の言葉となると重みがある。
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奥野修司, ナツコ 沖縄密貿易の女王

戦後混乱期の沖縄における密貿易時代を追ったドキュメンタリー。 ほとんど文書としての記録が残っていない中、数少ない存命の関係者への取材でここまで調べ上げたのは素直に脱帽。タイトルにもなっている、密貿易の中心人物の一人であった金城夏子という人物が生き生きと伝わってくる。
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片桐頼継, レオナルド・ダ・ヴィンチという神話

"万能の天才" として語られ、もはや神話化された様な扱いをされることもあるレオナルド・ダ・ヴィンチの実体を追った本。 レオナルドが非凡なクリエイターであったことは間違いないものの、科学・工学への貢献や先見性については多くの疑問が残るのも事実だろう。
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小関智弘, 町工場巡礼の旅

鉄を削るに続いて、小関さんの本をもう一冊。 今回は旋盤の世界にとどまらず、大田区の様々な町工場を巡り、職人達の声を拾っている。自分も分野は大きく違えど技術屋の端くれであるので、その思想に共感できる部分は多い。
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小関智弘, 鉄を削る 町工場の技術

51年間に渡り、町工場の旋盤工を勤めてきた著者によって語られる、現場の職人魂。 技術をただの定型作業として捉えるのではなくその本質をきちんと理解していることで、持ち込まれる無理難題を解決していったエピソードには素直に拍手を送りたくなる。 また、従来の旋盤からNC旋盤への移り変わりによりブラックボックス化が進み、技術の伝達が失われていく様子が印象的。これは切削の世界に限らず、工学の多くの世界で同様のことが起きているように感じる。
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ウィリアム・パウンドストーン(著), 松浦俊輔(訳), 天才数学者はこう賭ける 誰も語らなかった株とギャンブルの話

クロード・シャノンやエドワード・ソープといった天才数学者が如何にして最適な裁定取引を実現するに至ったかを追った本。数式はほとんどなく、どちからといえばドキュメンタリーといった体裁だが、現代的な金融工学に繋がる流れはよく捉えられる。 翻訳が今ひとつで少し読みにくいが、それを差し引いても読む価値のある本だと思う。
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島本和彦, アオイホノオ (1)

やっぱり島本先生はマンガよりも本人が面白いのではないかと思えてくる。 庵野秀明をはじめとして、山賀博之やら南雅彦やら矢野健太郎やら、そうそうたる登場人物で、当時の大阪芸術大学の濃さが偲ばれる。
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デヴィッド・W・モラー(著), 山本光伸(訳), 詐欺師入門 騙しの天才たち:その華麗なる手口

1940年頃の作品の復刊なのだが、今でもあまり古さを感じさせない部分が多い。特に "カモを分析する" の章などは、騙される人間の本質は今でもあまり変わっていないのではないかと思わせる。 あまり読みやすい本ではなく、ノンフィクション的な面白さには欠けるが、詐欺師たちの生き方や哲学を知るには良書。
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花輪和一, 刑務所の中

自身の刑務所体験を綴った漫画。 制約の多い刑務所の生活なのだが、あまり悲壮感がなくユーモアすら感じる内容。特に食に関するエピソードが多いのは、やはり刑務所内の生活の楽しみはそれくらいしかないからか。