biography

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野口健, 落ちこぼれてエベレスト

アルピニスト野口健による自伝。 山行の記録ももちろん素晴らしいのだが、それ以上に興味深いのが著者の若気の至ったエピソードの数々。高校時代の喧嘩と停学、アルコール浸りの大学時代、シェルパの娘との結婚と離婚、それらを包み隠さず語っているところは好感が持てる。
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finalvent, 考える生き方

極東ブログらを手がけるfinalvent氏による自伝。波乱万丈な人生は送っているものの、社会的に超名人というわけではない人物の自伝が出版されるというのは、ブログ時代の面白さだろう。 本人は負け組を自称しているが、幅広い見識を持ち、曲がりなりにも文筆業で家族を養っている以上、謙遜のし過ぎというものだろう。内容はその波乱万丈な人生を写すかのように雑多なものだが、人生との折り合いの付け方など共感できる部分が多い。
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大西康之, ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正

あまりに小説的過ぎるセリフの数々など、さすがに脚色が過ぎるのではないかと思わせるところが多いため、史料として用いる場合は他の文献も併せて確認する必要がありそう。 そういった細かいところを気にせずに、ビジネスマンがテンションを上げるための自己啓発本として読むのならば文句なし。
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のむらしんぼ, コロコロ創刊伝説 (1) (2)

のむらしんぼ先生の視点から振り返ったコロコロ史。 マンガのセンスが当時のままなのが、直撃世代にはたまらない。作者本人の凋落などいたたまれない要素もあるが、それでもギャグにしてしまうところはマンガ家魂を感じる。
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フランク・ディケーター(著), 中川治子(訳), 毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962

機密解除された公文書を丹念に精査し、大躍進政策の実態を明らかにした労作。 大躍進政策の期間の拷問・処刑死、餓死者の総計が4500万人以上にのぼるという推計には目を疑ったが、その丹念な調査過程を読み解いていくと、実に真っ当な推計だと納得させられる。中間人民共和国史を学ぶ上で、間違いなく必読と言える一冊だろう。 訳はあまりこなれておらず、学術的な記述が多いことと相まって、今ひとつ読みにくいのが唯一残念なところ。
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巻来功士, 連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏

巻来功士の自伝的作品。 半生を駆け足でなぞったやや淡白な内容だが、失敗も含めて過去を総括しているところは好感が持てる。
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石原伸司, 歌舞伎町のシャブ女王 覚醒剤に堕ちたアスカの青春

夜回り組長こと石原伸司による、とある覚醒剤中毒者のドキュメンタリー。 その半生は、週刊誌的な興味をそそるものであり、一気に読んでしまう。著者の手により見事更生していればきれいなストーリーだったのだが、そう簡単にいかないところに、薬物中毒の難しさを感じる。
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横井軍平, 牧野武文, 横井軍平ゲーム館RETURNS ゲームボーイを生んだ発想力

買いそこねていた本が復刊されていたので購入。 横井軍平を称える本や記事は多いものの、本人が筆を執ったのは本書くらいか。ウルトラハンドやラブテスターといった玩具時代から、光線銃、ゲーム&ウォッチ、ゲームボーイと、横井の仕事を時系列に追う構成。本人ならではの裏話が豊富なのも嬉しい。
comic

おざわゆき, 凍りの掌 シベリア抑留記

著者の実父への聞き取りを元にしたシベリア抑留記。 一兵卒の主観的な視点からのシベリア抑留は実にリアルで底おそろしさを感じる。また、一次資料が少ないところをよくマンガに仕上げてくれたものだと思う。復員後のアカの扱いなども、復員者の視点で生々しく描かれている。 絵柄はマンガ的なシンプルなものだが、この内容でリアルな表現ではとても読めないだろう。
comic

卯月妙子, 実録企画モノ

人間仮免中があまりにも衝撃的だったので、こちらも読んでみた。 どのページをとってもまさに壮絶な内容なのだが、それをさらりとギャグマンガとして描ききってしまうところは狂気を感じる。