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斎藤美奈子, 戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る

戦時中の記録のうち、婦人雑誌のレシピに目を付けたのは見事。ただし、資料をまとめましただけで終わってしまっているのが少し残念。この手の企画には、実際に試作・実食しての評価を期待してしまう。巻頭カラーに少しだけ当時のレシピに沿って調理した写真が掲げられているが、あまり本文とリンクしていない。
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芳崎せいむ, 鞄図書館(1)

あらゆる本が揃っているという鞄図書館、という設定でもう間違いなし。本好きなら是非。
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北尾トロ, ぼくはオンライン古本屋のおやじさん

オンライン古本屋・杉並北尾堂の運営記。の文庫版なので、インターネット関連の記述はさすがに古すぎて実用には厳しい。また、ある意味ユルさを売りにしたビジネスの立ち上げ方なので、昨今のちょっと世知辛い古本流通の世界では、同じ様な趣味的な古本屋を立ち上げるのは難しいだろうと感じる。読み物としては楽しめる。
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高田高史, 図書館のプロが伝える調査のツボ

図書館のレファレンスサービス事例集をストーリー仕立てで。今では調べものをするときもネット検索だけで済ませてしまうことも多いが、もっと広く深く探し、より信頼できる情報源に到達するするためのノウハウが詰まっている。
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柴野京子, 書棚と平台 出版流通というメディア

現在の日本の出版流通がどのように成長してきたのかが学術的に検証されている。雑誌や教科書に始まるメインストリームはもちろん、赤本の歴史や書店の "読書空間" の変遷まで、出版流通史の大きな流れが俯瞰できるようになっている。本好きの人間ならば一度は必ず目を通すべき本。おすすめ。
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渋谷直角, 定本コロコロ爆伝!! 1977-2009 「コロコロコミック」全史

サブタイトルに1977-2009と書かれているが、80年代頃にウェイトが置かれている感じ。これは編者の渋谷氏の年齢から自然なところだろう。私は渋谷氏と同世代ということもあり非常に楽しめたが、もう少し若い世代には分からないネタが多いかもしれない (まあ、その世代はまだこんな本は買わないかも知れないが) 。歴代の漫画家や編集者はもちろん、高橋名人、前ちゃんなどの関係者を含む豊富なインタビューを中心に構成されており、当時の背景を伺うことができる。また、コロコロの企画記事や、イベント...
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葛西りいち, あしめし

漫画家のアシスタントの生活を描いたエッセイコミック。漫画家生活を描いた作品はよく見るが、アシスタント生活は珍しい気がする。テンション低めの自虐系マンガで少し好みが分かれそうではあるが、お好きならばぜひ。
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赤城毅, 書物迷宮

書物狩人の続編。相変わらず少し説明的すぎるきらいがあるが、歴史的事実と虚構の微妙なバランスはお見事。
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井原万見子, すごい本屋!

和歌山県の山奥にある小さな本屋、イハラ・ハートショップの物語。店長の井原さんが村の子供達に本の楽しさを知ってもらうために、様々な困難に負けずに次々とイベントを企画していく様子は見ていて元気付けられる。ただ、そういったイベントの話題が中心で、肝心の本屋の日常があまり伝わってこないところは少し残念。
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安藤健二, 封印作品の謎2

封印作品の謎の続編。前作は差別表現により封印されている作品が主だったが、今回はそもそもなぜ封印されているかがわからない作品達を扱う。対象となるのは、キャンディ・キャンディ、ジャングル黒べえ、オバケのQ太郎、サンダーマスクの4本。封印されている原因が、主に著作権がらみのビジネス上のもめ事や関係者間の対立であるのを見ると何ともやりきれない気持ちになってくる。前作同様、真相にたどり着けない残念な部分はあるが、それを除けば良い出来。