book 古川琢也, 金曜日取材班, セブン‐イレブンの正体 取次大手のトーハンに取次を拒否されたという告発本 (現在は普通に購入できる) 。今はネット上でも広く知られるようになったコンビニ会計の問題に始まり、仕入のピンハネ、業者への圧力などの実体が語られる。加盟店オーナーへのインタビューを中心にそれぞれの事例が良く描かれており一気に読ませるものの、もう一歩踏み込んだ考察が欲しかった惜しい本。 2009-02-06 book
book 富澤豊, ロングセラーを生み出す カスタマイズの法則 とみざわのマーケティングノートで有名な富澤先生の著作。ユーザによるカスタマイズの有無という観点での商品比較は新鮮。たとえば、袋麺とカップ麺、カレールウとレトルトカレー、ハーレーダビットソンとスーパーカブなど。マーケティング出身の人なので、理論的な裏付けはあまり厳密ではなく所々に飛躍があったりするが (さすがに、iPodとウォークマンの明暗を分けた理由をカスタマイズの有無に求めるのは無理があると思う) 、サクサク読めてわかった気にさせてくれるのはさすが。 2008-12-17 book
book Garr Reynolds, PresentationZen: Simple Ideas on Presentation Design and Delivery Presentation Zenの中の人による著作。タイトルでわかる通り、著者は日本文化にも造形が深く、所々に日本の心が取り上げられていて少し嬉しくなる。プレゼン資料の作り方を手取り足取りというタイプの本ではなく、もう少しメタな話。かといって、精神論だけの読むのが辛いタイプの本ではなく、本書自体が高いレベルのプレゼンでもあるため、主張がすんなりと頭の中に入ってくる。私は比較的プレゼンをする機会が多い職種なのだが、今までいかにダメなプレゼンをしてきたかに気づき少しヘコむ。最初に... 2008-11-17 book
book イアン・エアーズ, 山形浩生, その数学が戦略を決める データマイニングを元にした "絶対計算" が現在どのように使われているのかという事例が多数。ワインの値段の予測に始まり、野球選手の評価、病気の診断、教育手法毎の効果測定、映画のヒット予測、などなど。多くの分野で専門家を凌ぐ絶対計算が可能であることが次々と示されるのは実に爽快。しかしながら、これらを実際に活用するには大きな壁があることも事実だろう。本書中の以下の文章がそれを端的に表している。人々は自分の専門領域以外でなら絶対計算利用に抵抗がないまた、すでにあるデータの分析にとど... 2008-11-16 book
book スタジオダンク (編・著), 職業、サッカー選手 サッカーでメシが食えるか? 特別編 現実を知り夢を叶えよう S原氏に借りて読んでみた。サッカーでメシが食えるか?の様々な職種のうち、サッカー選手のみをもう少し深掘りした本。サッカーとの出会いに始まり、プロになるための道、入団後の生活、そして現役引退後のキャリアパスまで、Jリーガーを中心としたプロサッカー選手の現実がよく見える。また、前園、岩本、中村(憲) 、川島、浮氣らの有名Jリーガーのインタビューも多く、彼らの実例も参考になる。 2008-10-05 book
book Scott Berkun(著), 村上雅章(訳), イノベーションの神話 人々がイノベーションというものに対して漠然と抱いているイメージがある。曰く、"イノベーションはひらめきによってもたらされる" 、"優れたアイデアは見つけづらい" 、 "最も優れたアイデアが生き残る" 、等々 ……。本書はそれらのイメージがいかに誤っているかを蕩々と語ってくれる。翻訳も悪くなく、すっきりと読める一冊。 2008-09-10 book
book 細谷功, 地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 サブタイトルに "フェルミ推定" とあるが、フェルミ推定そのものの解説というよりも、それを土台にして "結論から"、"全体から" 、"単純に" 考える思考法を解説したもの。いかにもコンサルタントが書きましたという本なので、そういった本が嫌いでなければ読んで損はない。とりあえずサクサク読めてためになる (気がする) 一冊。 2008-08-29 book
book Ziv Yaar(著), Steve Mulder(著), 佐藤伸哉(監訳), 奥泉直子(訳), Webサイト設計のためのペルソナ手法の教科書 だいぶ時代に遅れながらもペルソナ手法を勉強してみる。期待していた統計分析の手法がさわりだけだったのは残念だが、ペルソナ作りの雰囲気はなんとなくつかめた気がする。ペルソナの作例が非常に具体的なのも良い。 2008-07-24 book
book 西田圭介, Googleを支える技術 巨大システムの内側の世界 著者はGoogleの中の人ではないので、論文などの公開情報からGoogleの中身を推測するスタイル。Googleの柱である大規模分散ストレージの解説に多くのページが割かれており、Google File SystemのみならずBigtableやChubbyまで含めた全体像を知ることが出来る。もちろん、その上でのMapReduceを用いた分散データ処理の解説もあり。また後半のGoogleの運用コストについての章が実に面白い。Googleがコストの観点から安価なPCを用いたクラスタ... 2008-06-01 book
book 橋本憲範, 奇想ヤフオク学 エーブックはどうやって古本を3億円売ったのか? 組版はワープロ打ちそのままで、校正も不十分な箇所が目立つが、内容は圧倒的に面白い。最初は私物の台本を売っていたのが、古本屋で仕入れるようになり、市中の古本屋を回るようになり、泊まりがけでせどりに出るようになり、果ては古本屋組合の市場で仕入れるようになり、と転がるような商売の流れがたまらない。著者がコンピュータにはそれほど詳しくないと公言しているだけあって、技術面ではあまり読むべき所がない。しかしながら、商材である写真集の物理的な管理方法や、それらを売り切るテクニックには見るべ... 2008-02-04 book