economics

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宮川公男, 統計学でリスクと向き合う あなたの数字の読み方は確かか

統計学をネタにした小話集。体系的に統計学を学ぶ本ではないが、読み物としてはおもしろい。 特に、株式投資に関する統計の話や、ダウ平均株価の話などはそのあたりのいい加減なマネー本より参考になる。
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小室直樹, 論理の方法 社会科学のためのモデル

論理 (ロゴス) を使いこなすために必要なモデルの作り方を、多数の例を用いて説明している。そのモデルの例は、マルクスのモデルに始まり、経済学のモデル、ケインズ・モデル、一神教モデル、丸山真男教授の日本政治モデル、平泉澄博士の国史モデルと幅広く、小室先生の博識ぶりにいつもながら圧倒させられる。もちろん、小室先生の軽妙な語り口も健在。おすすめ。
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門倉貴史, 統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?

統計数字と言っても、そのほとんどが経済ネタだが面白い。 株価指数や少子高齢化に関する身近な統計に始まって、いい加減な経済効果の推計の批判、景気判断に関する統計のバイアスなど、豊富な内容で楽しめる。
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小室直樹, 経済学のエッセンス 日本経済破局の論理

小室先生お得意のケインズ、サムエルソンのマクロ経済学の入門書。経済学のエッセンスであるところのケインズモデルの解説のわかりやすさに加え、この文庫のために加筆された「平成大不況のエッセンス」がまた素晴らしい。まさにバブル後の平成大不況の仕組みが腑に落ちる。相変わらずの小室節も健在でお勧めの一冊。
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大竹文雄, 経済学的思考のセンス お金がない人を助けるには

経済学を身近なミクロの見地から眺めるので非常に読みやすい。各種のインセンティブが、人間の行動にどう作用するかに力点を置いている。 いくつかプロ野球を扱った話があるが、読み物としては面白いものの納得しかねる部分がある。"プロ野球における戦力均衡" は数値的な裏付けなしに理屈をこね回しているように見えてしまう。また、"プロ野球監督の能力" はチーム戦力の評価に下式を使用しているが、さすがにセイバーメトリクス全盛の現在に平均打率はないだろうと思う。元論文が1994年のものの様なので...
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スティーヴン・レヴィット, ヤバい経済学 悪ガキ教授が世の裏側を探検する

ヤバい経済学 (Freakonomics) と名乗っているが、経済学というよりは社会学の領域のものが多いと思う。 日本人としては、やはり大相撲の八百長の話題が興味深い。千秋楽で7勝7敗の力士が妙に強いのは日本人なら誰でも知っていることだが、それを数値で示し、さらに星の貸し借りが次の対戦で調整されている事実までを暴く。まあ、半分神事としての性質を残す相撲に対して大真面目に八百長を指摘するというのも野暮だとは思うけれど。 その他、一部アメリカ依存でいまひとつピンとこないもの (ク...
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友野典男, 行動経済学 経済は「感情」で動いている

いわゆる行動経済学の入門書。この分野の一冊目として読むのには良いと思う。 行動経済学の基本となるプロスペクト理論の解説が分かりやすい。特に価値関数や確率加重関数の実例は興味深い。人がギャンブルにハマる心理なども、これらの関数に大いに関係しているのだろう。
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小川進, 上田バロン, ドクター・オガワに会いにいこう

ボリュームは軽めの絵本形式で、じっくり読んでも1時間だが、マーケティングの入門書としての内容はしっかり押さえられている。上田バロンのイラストも良い。
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NTTインターコミュニケーションセンター, 信用ゲーム おかねって何だっけ?

前半は相良伸彦さんによるおかねの話。物々交換に始まり、金本位制を経て管理通貨制度に至るまでの流れの解説。 後半は2001年に行われた「信用ゲーム」展のカタログ。船田巧 (船田戦闘機) やクワクボリョウタ、デヴィッド・バーンといった意外な名前があるのは楽しいが、やはり現物を見たかった。
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ウォルター・ブロック, 橘玲(訳), 不道徳教育

リバタリアン (自由原理主義者) である著者が、「自由」とは何であるかを語るため、あえて本来は不道徳と思われる者たちを擁護する。売春婦、麻薬密売人、恐喝者、ダフ屋、闇金融、幼い子どもをはたらかせる資本家等は、現代社会では不道徳と見なされているが、リバタリアンの視点から見ればどれも何の問題もない人間同士の自発的な取引に過ぎない。 本書は橘玲氏のカラーが強く出た一冊となっている。翻訳はかなりの超訳で、日本の現状に合わせた大幅な改版をおこなっている (例えばSlandererとLi...